経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

片肺飛行の 中国経済

2020-06-18 08:20:01 | 中国
◇ 輸出と消費の回復に手間どる = 中国統計局が15日に発表した5月の主要指標をみると、生産は前年比4.4%の増加だった。4月の3.9%増を上回っており、順調な回復ぶりにみえる。また小売り売上高は前年比2.8%の減少。まだマイナスの領域だが、4月の7.5%減よりは改善した。一方、固定資産投資額は1-5月で6.3%の減少。これも1-4月の10.3%減から改善した。中国経済が、コロナ不況の最悪期から脱出しつつあることは明らかだ。

ところが、その内容はあまりよくない。投資も政府によるものは増えたが、民間はさっぱり。たとえば補助金の支給で自動車の販売・生産が増加、また鉄道・道路の建設でインフラ資材の生産が伸びた。しかし自動車とネット通販を除くと、一般の小売り業は停滞したまま。ムリに生産を刺激したため、鋼材などは在庫が急増して価格の暴落を招いている。

特に輸出は伸びが止まっている。4月には前年比3.5%の増加を記録したが、5月は再び3.3%の減少に逆戻りしてしまった。輸出先の経済がコロナで不況に陥ったためである。このように中国経済は最悪期を抜けたものの、非常に不安定な片肺飛行の状態。今後も消費や輸出の回復には手間取りそうだ。つまりコロナ不況からのV字型回復は望めそうもない。

いち早くコロナ感染を抑制し、経済再生に走った中国。それはある意味では、経済正常化への“先駆者”とも言える。いま日本をはじめ世界各国が、行動規制の解除に走り出した。しかし中国の現状をみても判るように、正常化への道は平たんではない。日本もどのような方策をとれば、経済再生を最短距離で達成できるのか。チエを集中しなければならない。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -126.45円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

NY株を反落させた 6つの“警戒” (下)

2020-06-17 07:16:04 | 株価
◇ バイデン候補の当選は大きな悪材料 = アメリカではコロナ・ウイルスの第2波に対しても、警戒度が強まっている。全国的な行動規制の解除に人種差別反対のデモが加わって、カリフォルニアやテキサスなど多くの州で感染者や入院者が増え始めた。このままだと再び規制が強化され、経済の再生が遅れるかもしれない。ワクチンや治療薬の開発が進めば株価は上がるが、さもないと市場は警戒を強めざるをえない。

コロナ発生当時の情報開示や香港問題を巡って、米中の関係は最悪の状態に陥った。選挙を控えてトランプ大統領が反中国派の支持を得るため、強硬な姿勢をみせていることも一因。大騒ぎの結果たどり着いた経済合意も、実行されそうにない。ある意味では新しい形の冷戦に突入したと言えるが、株式市場にとっては重大な警戒材料となっている。

大統領選挙まであと4か月半。現時点での世論調査では、民主党のバイデン候補がトランプ大統領を上回る支持率を獲得している。まだ勝敗の結果を占うのは尚早だが、バイデン勝利の可能性が少しずつ大きくなってきた。しかしバイデン氏は、大企業に対して批判的な考え方。もし当選すれば、市場にとっては大きな悪材料になるだろう。ウォール街では、その警戒感が膨らみつつある。

こうした6つの“警戒”が重複して、先週はニューヨーク市場の株価が暴落した。このうち高値警戒感については、株価の下落でかなり解消した。しかし、あとの5つについては、今後どの警戒感が強まって行くのか。いずれにしても財政金融政策の深掘り期待との綱引きが始まり、株価は乱高下しやすくなるだろう。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +1051.26円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

NY株を反落させた 6つの“警戒” (上)

2020-06-16 08:23:18 | 株価
◇ 財政・金融政策との綱引きが始まる = ダウ平均株価は先週1500ドルの値下がり。3か月ぶりの大幅な下落となった。反落の原因は6つの警戒感。①高値警戒②実体経済との乖離③景気の先行き警戒④コロナ第2波警戒⑤米中関係⑥トランプ大統領の敗北――である。これらのなかで、今後はどの要因が強まって行くのか。そして市場にとって最強の援軍である財政・金融政策との綱引きが始まる。

巨大IT企業が上場しているナスダック市場の株価指数は先週、初めて10000を記録した。3月の安値からは4割も急騰している。なかにはPER(株価収益率)が、なんと100倍を超えた銘柄も出現した。ダウ平均も先週初には2万7500ドルに達し、3月の安値からは9000ドル上昇した。高値警戒から売り注文が殺到したのは、むしろ当然だったかもしれない。

ナスダック指数が最高値を更新しているとき、NBER(全米経済研究所)は「アメリカ経済が2月に景気後退入りした」と発表した。また1-3月期の実質成長率は年率マイナス5.0%に急落。失業率も4月は戦後最悪の14.7%に急上昇している。決算でも減益を発表した企業が続出している。いかにカネ余りとはいえ、実体経済との乖離が広がり過ぎたことへの警戒感は日に日に増大していた。

FRBは先週11日、ゼロ金利政策を22年末まで継続すると発表した。本来なら株式市場には、大きな朗報のはずである。だが株価は大幅に下げた。あと2年半もゼロ金利が必要なほど景気の先行きは暗いのかと、愕然とした投資家が売り急いだと言われている。コロナ不況はことし後半からV字型の回復をみせるという期待は危うい、という見方が急速に広がった。

                            (続きは明日)

       ≪15日の日経平均 = 下げ -774.53円≫


今週のポイント

2020-06-15 08:04:28 | 株価
◇ 3か月ぶりの大幅な反落 = ダウ平均は先週1505ドルの値下がり。3月中旬以来3か月ぶりの大幅な下落だった。先々週の大幅な上昇をほぼ相殺したから、6月に入ってからの値動きは“行って来い”の形となっている。高値警戒、景気の先行き警戒、コロナ警戒という3つの警戒が、下落の原因となった。したがって今後これらの警戒感が強まるか弱まるかで、株価の方向は決まってくる。

ニューヨーク市場では先週10日、ナスダック指数が終値で10000を超えた。3月の安値から41%も上昇している。グーグルやアップルなどIT関連の巨大企業が上場しており、コロナに対する抵抗力も強かった。株価はナスダックがスタートした1971年に比べると100倍になった勘定。PER(株価収益率)が100倍を超えた銘柄も少なくない。このナスダック指数10000乗せが、株価の高値感を意識させたことは否定できない。

日経平均は先週558円の値下がり。ニューヨークに比べると、下げ幅はかなり小さかった。下値を拾う個人投資家の動きが活発だったためだと思われる。ただ日本国内でも経済再生が進み、コロナ第2波への警戒感が強まってきた。と同時に景気のV字型回復に対する期待も、揺らぎ始めている。調整色は、まだ続くのではないか。

今週は15日に、4月の第3次産業活動指数。17日に、5月の貿易統計と訪日外国人客数。19日に、5月の消費者物価。アメリカでは16日に、5月の小売り売上高と工業生産。17日に、5月の住宅着工戸数。18日に、5月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が15日に、5月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (14)

2020-06-13 07:57:59 | なし
◇ アメリカは第2波の危険性が大 = 日本時間12日午前0時の集計。アメリカは感染者数が200万人を超し、死亡者数も11万人台に達した。次いでイギリスの死亡者が4万人台。ブラジルも来週は4万人台にのせるだろう。あとはイタリアが3万人台、フランスとスペインが2万人台の死亡者を出している。ただヨーロッパ主要国は、たとえばスペインの新規死亡者が8人にとどまるなど、おおむね鎮静化してきたようだ。

その半面、新型コロナ・ウイルスは新興国で猛威を振るい始めた。ブラジルをはじめとする中南米諸国、インドやアフリカ大陸など。特に貧困層が居住するスラム街では、密集が避けられない。外出を規制すると、収入が絶たれてしまう。そして不十分な医療体制。こうした地域での対策は非常な困難が伴うから、終息にはかなりの時間がかかるとみなければならない。

もう1つ心配なのはアメリカだ。経済再開に動き出したところへ、人種差別反対のデモが重なった。各種の調査によると、主要な都市部での人出は完全にコロナ発生前の水準に戻ったという。そしてカリフォルニア、テキサス、アリゾナ州では、再び新規の感染者が増え始めた。第2波の危険性は、決して小さくない。

日本の死亡者数は938人に達した。一週間の増加数は12人だった。経済活動の再開も着々と進んでいるが、大丈夫なのだろうか。やや不安がないでもない。中国の新規死亡者はゼロが続いている。また韓国ではクラスターも発生したが、死亡者は3人の増加。どうやら落ち着いたと考えてよさそうだ。

       ≪12日の日経平均 = 下げ -167.43円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】    

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