経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

まゆツバの GDP改定値

2020-06-12 07:37:57 | 統計
◇ 上方修正の根拠なし = 内閣府は8日、ことし1-3月期のGDP改定値を発表した。それによると実質成長率はマイナス2.2%で、5月に発表した速報値のマイナス3.4%を上方修正している。マイナス成長ではあるものの、その幅が大きく縮小したことで一安心した経営者も多かったに違いない。だが、この上方修正は全く信用できない。根拠が不確かで、ないのも同然だからである。

GDPが上方修正された原因は、民間企業の設備投資が急増したこと。速報値では年率2.1%減だったものが、改定値では8.0%増になった。これは財務省が1日に発表した法人企業統計の結果を反映させた結果だ。こうした作業はいつも行われており、別に問題はない。ところが、今回は法人企業統計の内容そのものに大問題が発生していた。

というのも今回の法人企業統計は、コロナ不況の影響で十分な回答が集まらなかった。先行きが不透明で、多くの経営者が質問に答えられなかったからである。財務省も発表に際しては結果が不備なことを認め、調査をやり直すとコメントしている。したがって「設備投資が8.0%増」という数字も、信頼性に欠けるわけだ。

にもかかわらず内閣府は、信頼性に欠ける数字を基に改定値を計算した。おそらく確定値を出す段階では、逆に下方修正を余儀なくされるに違いない。また4-6月期の成長率はマイナス20%前後と予想されているが、1-3月期の数字を上方修正したために落ち込み方は激しくなってしまう。内閣府は実情を率直に説明し、発表を延期すべきだった。

       ≪11日の日経平均 = 下げ -652.04円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

少子化ガ 止まらない : 19年 (下)

2020-06-11 07:48:50 | 人口
◇ 発想を大転換しないとダメ = 人口が減少すると、経済には3つの面から大きなマイナス圧力がかかる。労働力の不足、消費需要の低下、そして年金など負担の問題。だから少子化・人口減少に悩む海外諸国もいろいろ対策を講じているが、あまり成功していない。一時は成果を挙げたフランスも、近年は出生率が低下した。中国も“一人っ子政策”の後遺症で悩んでいる。韓国の出生率は1を割った。

こうしたなかで、安倍内閣は「出生率1.8」を目標に掲げ、児童手当の増額や男性の育休促進を目指すことになった。しかし適齢期の女性が減りつつあるいま、その達成は容易ではない。コロナ問題も、状況をいっそう悪くしている。この際は発想を根本的に転換しなければ、改善はムリなのではないか。革新的な方策は、次の2つだ。

現在、0-14歳の年少人口は約2000万人。その全員に年100万円を支給する。子どもが3人なら300万円、5人なら500万円。ここまですれば、赤ん坊は必ず増える。子は宝となり、虐待もなくなるだろう。毎年20兆円の財源が必要だが、保育所も学費補助も止めていい。それでも不足する分は、コロナと同様、日銀が国債を直接引き受ける。少子化問題をコロナ以上に重視すれば、出来ないはずはない。

もう1つは、少子化対策はほどほどにする。その代り、経済成長率を絶対にマイナスにしない政策をとる。成長率がプラスを維持している限り、人口が減れば1人当たりのGDPは増加するからだ。具体的には、たとえば多くの資源を「ロボット、新エネルギー、医療技術」の3点に集中する。人口が少なくなっても、国民生活は豊かな国を目指すわけだ。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +33.92円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

少子化ガ 止まらない : 19年 (上)

2020-06-10 07:44:05 | 人口
◇ 人口は51万5000人減少した = 少子化が一段と加速している。コロナ騒動に隠れて大きな話題とはならなかったが、日本の将来を左右する一大事だ。厚生労働省が発表した人口動態推計によると、19年の合計特殊出生率は1.36で前年より0.06ポイント低下した。これで低下は4年連続。出生数は86万5234人で、前年比5万3166人の減少。1899年に統計を取り始めてからの最少を記録した。20年はコロナの影響で、さらに減る可能性がある。

合計特殊出生率というのは、女性が生涯に産む子供の数。男性は産まないから、この数字が2を上回らないと人口は維持されない。この数字は戦後、第1次ベビー・ブームが起こった1947年には4.59という高さだったが、そこから1.36まで下落した。新生児の数が減れば、人口は減少する。その結果、出生数から死亡者数を差し引いた人口の減少数は、19年に51万5864人。初めて年間50万人を超えた。

出生率が低下した理由は、いくつも挙げられている。女性の社会進出、未婚化・晩婚化、経済に対する不安・・・。なかでも出産適齢期の女性が減ってしまったことが大きい。25-39歳の女性人口は00年に約1320万人だったが、19年7月時点では約970万人にまで縮小した。国立人口問題研究所の推計では、40年に810万人に減少する。

政府は04年に「少子化社会対策大綱」を策定。待機児童ゼロや保育の受け皿確保を、具体的な目標として掲げた。また19年秋には、幼児教育・保育の無償化も実現した。ここ数年は、毎年5兆円程度の対策費も予算に計上している。しかし結果からみると、これらの施策が成果を挙げたとは言えない。どう対処したら、いいのだろうか。

                             (続きは明日)

       ≪9日の日経平均 = 下げ -87.07円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

お先真っ暗の 企業経営

2020-06-09 07:42:03 | 利益
◇ でも1割強の会社は史上最高益 = 東証1部上場企業の3月期決算発表がほぼ終了した。SMBC日興証券が1265社の決算を集計したところによると、売上高の合計は480兆円で前年度比2.0%の減少。最終利益は20兆円で、前年度比31.8%の減少だった。このように年間の決算で減収減益となったのは、リーマン・ショック後の09年3月期以来11年ぶり。減益に落ち込んだ企業は746社、全体の6割近くに及んでいる。

新型コロナ肺炎の影響が現われた1-3月期だけをみると、全体では1兆2900億円の赤字。業種別では自動車などの輸送用機器が7870億円の赤字。一般機械、鉄鋼、電機も赤字決算だった。また非製造業でも空運、陸運、小売り、情報・通信が、いずれも赤字を計上している。ただ情報・通信だけはソフトバンクGの大幅赤字が影響しており、コロナのためではない。

来年3月期の見通しについては、全体の6割に当たる752社が「未定」と発表した。コロナの終息が見通せないため致し方ないが、まことに異常と言うしかない。現状では、半数以上の企業が設備投資や人員計画を建てられない。こんな状態が長引けば長引くほど、日本経済の再生も覚束なくなる。

そんな逆風のなかで、黒字を出した業種もなくはない。コロナ騒ぎが追い風となったのは、ITインフラ、通信、医療関連機器など。これらの業種では、増益を記録した企業も少なくない。日経新聞によると、1-3月期に最高益を出した企業は133社。全体の1割強を占める。業績悪化が多いなかでの最高益だから、こうした企業の株価は大きく上昇した。

       ≪8日の日経平均 = 上げ +314.37円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫       

今週のポイント

2020-06-08 07:46:56 | 株価
◇ 止まらない株価の高騰 = 一点の雲もない絶好調の景気。最近の株価をみていると、そんな錯覚を起こしてしまいそうだ。多くの専門家が口を揃えて株価と実体経済の乖離を指摘、調整が近いことを予想した(このブログも)。しかし株価はそんな予想をあざ笑うかのように、ぐんぐんと上昇している。こうした状態は、なぜ起きるのだろうか。そして、いつまで続くのだろうか。

ダウ平均は先週1728ドルの大幅な値上がり。終り値では2か月半ぶりに2万7000ドルを回復した。人種差別反対のデモが全米に広がっても、失業率が記録的な高さになっても、市場は無視している。つれて日経平均も先週は986円の値上がり。こちらも3か月ぶりに2万2000円を回復した。ドイツやイギリスの株価も、コロナ・ウイルス拡大前の水準にほぼ戻している。

市場は経済活動の本格的な再開を先取りしている。と解説されているが、それは株を買うための口実だろう。実際の原動力は、各国政府の財政支出や中央銀行による無制限の金融緩和に違いない。これによって放出された膨大な資金のかなりの部分が、株式市場に集中している。だから市場は、燃料の供給にコト欠かない。こうした構造が崩れない限り、株価の上昇は続くのだろうか。

今週は8日に、1-3月期のGDP確定値と5月の景気ウオッチャー調査。9日に、4月の毎月勤労統計。10日に、5月の企業物価と4月の機械受注。11日に、4-6月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは10日に、5月の消費者物価。11日に、5月の生産者物価。10日に、6月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、5月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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