経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (13)

2020-06-06 07:41:51 | なし
◇ スウェーデンの不思議な実験 = 日本時間5日午前0時の集計。アメリカの死亡者は10万7191人。次いでイギリス、イタリア、そしてブラジルが3万人台。フランスとスペインが2万人台で続いている。前週に比べた増加数はアメリカを含めて縮小しているが、なかで拡大したのはブラジルとイギリス。まだブラジルは最悪期を脱していない。イギリスの死亡者数が拡大したのは、一時的な現象なのかどうか。

アジア諸国の状態は、相変わらず落ち着いている。中国は4634人で、週間の死亡者はなし。韓国は273人で、4人増えた。ベトナムは依然として死亡者ゼロを続けている。こうしたなかで日本は926人に。増加数は30人だが、第1波の残り火なのか。それとも第2波の前触れなのか、気にかかる。

気候風土や生活様式、あるいは食物、遺伝子が持つ免疫。専門家の間では、アジア人の死亡者がなぜ少ないかについて、いろいろ研究されているようだ。と同時に北欧スウェーデンの状況にも、大きな関心が寄せられている。というのもスウェーデンは、行動規制など新型コロナ・ウイルス対策を全く実施していないからだ。

それでも5日時点での感染者数は4万0803人、死亡者は4542人にとどまっている。デンマークやノルウェーなどの近隣諸国、あるいはヨーロッパ全体と比較しても、被害はかなり少ない。スウェーデン政府は、何も対策を講じないで国民の大半が自然に感染し、免疫力を持つことを期待しているのだ。この独特の政策は、いまのところ成果を挙げているようにみえるのだが。

       ≪5日の日経平均 = 上げ +167.99円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】    

トランプ大統領 再選に赤信号 (下)

2020-06-05 08:12:21 | アメリカ
◇ 米中関係は尖鋭化へ = デモの背景には、過激派グループの存在が確認されている。その扇動で略奪などの暴力行為がエスカレートすると、デモは一般国民からの支持を失うことになるだろう。そうなれば、トランプ大統領に対する反発も和らぐかもしれない。トランプ氏はそうなることを期待しているフシがある。しかし、それでも国民の分断を助長した大統領の責任は、問い続けられるに違いない。

大統領選挙の結果を左右する最大の要因は、コロナと景気の動向だ。景気が回復すれば、現職の大統領は優位に立つことが出来る。しかし現状からみると、コロナが早期に終息し、景気が回復する可能性は小さい。ワシントン・ポスト紙による最新の世論調査では、トランプ大統領の支持率は43%。民主党のバイデン候補は53%だった。景気の回復がなければ、この差を縮めることはかなり難しい。

内政が不調なら、国民の目を外へ向ける。古今東西、あらゆる権力者が用いる常套手段だ。今回、その標的は中国になるだろう。したがってトランプ大統領が、中国に対する姿勢をさらに強める公算はきわめて大きい。ただし中国も状況は十分に心得ている。適当にあしらっていれば、トランプ大統領が姿を消すかもしれないことを。

民主党の大統領候補になったバイデン前副大統領は、人柄や信頼感という点では定評がある。ただセクハラ疑惑が取りざたされるほか、喋り過ぎて脱線する傾向もなくはない。いまはコロナのために、集会も思うようには開けない。皮肉な評論家はこう言う。――「バイデン氏にとってはプラスの環境だ。彼が何も言わなければ、トランプ氏の支持率は勝手に下がって行く」

       ≪4日の日経平均 = 上げ +81.98円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

トランプ大統領 再選に赤信号 (上)

2020-06-04 08:15:49 | アメリカ
◇ 全米に広がった反トランプ運動 = 「大統領がデモ隊に囲まれて避難」というニュースを見て、一瞬どこかの後進国の話だと思ってしまった。だが、これは世界一豊かなはずのアメリカでの出来事。ホワイトハウスがデモ隊に包囲され、危険を感じたトランプ大統領が地下のシェルターに逃げ込んだというのだ。笑い話では済まされない。5か月後に迫った大統領選挙で、トランプ氏の勝ち目はなくなったのではないか。

反トランプのデモは、全米140の都市に広がった。首都ワシントンをはじめ15の州には州兵が出動。ニューヨーク、ロサンゼルス、シアトルなど40都市では、夜間外出禁止令が出る騒ぎ。警官隊との衝突も激しく、各地で死者も出ている。アメリカでは1968年にキング牧師が暗殺されて以来の大騒動となった。いまのところ、収束の見込みは全くない。

コトの起こりは5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで白人警官の暴行が黒人を死に至らしめた事件。これに抗議するデモが暴徒化したとき、トランプ大統領のツイッターが火に油を注ぐ形になった。大統領は警官の暴行事件には触れず、「デモ隊は悪党だ。略奪が始まれば銃撃も始まる」と書き込んだのである。さらに大統領は「州兵の出動が不十分なら、国軍に出動を命じる」とまで、付け加えた。

当初は警察権力に対する怒りだったデモの性格が、これで一変した。大統領に対する抗議となり、デモには多くの白人も参加するようになった。トランプ大統領は黒人の票を失っただけではなく、無党派の白人からも愛想をつかされたと言えるだろう。共和党の右派からは支持されるかもしれないが、これで11月の大統領選挙で再選されるのだろうか。

                                (続きは明日)

       ≪3日の日経平均 = 上げ +288.15円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

休業者600万人の 重大なイミ

2020-06-03 07:49:52 | なし
◇ 失職すれば日本経済は崩壊 = 総務省が発表した4月の労働力調査によると、休業者の数は597万人。前月の2.4倍に急増した。その半面、失業者数は178万人で、前月より6万人しか増加していない。リーマン・ショックの際には全く逆で、失業者が急増して休業者はあまり増えなかった。今回の休業者の急増は、なぜ生じたのか。そして何を物語っているのだろうか。

失業者というのは、文字通り職を失った人。勤め先の会社や店舗が倒産したり、経営が苦しくなって解雇された人たち。これに対して、休業者は工場や店舗が閉鎖されて仕事がなくなった人。解雇はされておらず、操業が再開されたら呼び戻されるはずの人たちだ。自宅待機中も、休業手当を支給される。

したがってコロナ規制が緩和されるにつれて、休業者は再び職につける。今回は多くの経営者が早期の規制緩和に期待して、解雇をせずに休業させた。また政府が雇用調整助成金を増額したことも、失業者の増加を抑制したと考えられる。要するに現在の雇用状態は、企業がなんとか頑張って失業者の増加を最小限に抑えているわけだ。

だが経済の再生が遅れると、企業も人員整理に乗り出さざるをえない。国や地方自治体が規制緩和を急ぐのも、それを恐れるからである。仮に300万人いる非正規雇用の休業者が失業すると、完全失業者の数は500万人近くにも達してしまう。そうなれば日本経済は崩壊状態に陥るだろう。そうならないためにも、コロナの第2波を大きくしてはならない。

       ≪2日の日経平均 = 上げ +263.22円≫

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

≪事業規模≫は 政府の誇大広告

2020-06-02 08:10:43 | 予算
◇ 大きいことはいいことなのか = 政府は先週27日の閣議で、20年度の第2次補正予算案を決定した。一般会計の歳出額は31兆9114億円で、補正予算としては最大。また事業規模は117兆1000億円にのぼると発表した。すでに成立した第1次補正予算と合わせると、事業規模の総額は233兆9000億円に達する。GDPの約4割にも当たる金額で、安倍首相は「空前絶後の対策だ」と胸を張った。

では、この「事業規模」というのは何だろう。一般会計の歳出は、政府が国債発行で調達したカネを政策・行政費として使い切る。だから判りやすい。これに財政投融資による資金の支出、民間金融機関の協調融資、さらには納税猶予の想定分などを加えた金額を、事業規模と呼んでいる。法的な定義はなく、歴代の政府が勝手に算出しているのが現状だ。

財政投融資による支出はすべて貸し金だから、いずれ回収される。また民間金融機関による協調融資などは、あくまで想定するだけ。実際に実行されるかどうかは不明だ。こうして不明なものまでブチ込んで、全体を大きく見せようとする。政府の誇大広告である。歴史は古く、1986年には日米交渉で事業規模を持ち出し、アメリカ側から強く批判されたという。

今回のコロナ不況に際して、アメリカやヨーロッパ主要国はみな巨額の対策費を計上した。安倍首相の心のなかには、負けられないという競争心があったのだろう。また対策費を大きく見せた方が、支持率の上昇にもつながると考えたのかもしれない。しかし効果が不確かなものまでカキ集めて全体を大きく見せる手段は、どう考えてもいいとは思えない。

       ≪1日の日経平均 = 上げ +184.50円≫

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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