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経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

11兆4000億円の 貿易赤字

2022-08-19 07:18:31 | 貿易
◇ これでは景気はよくならない = 財務省は17日、7月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は8兆7528億円で前年比19.0%の増加。輸入は10兆1896億円で47.2%の増加だった。その結果、貿易収支は1兆4368億円の赤字となっている。原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などエネルギーの価格急騰に円安の影響が加わって、輸入額が異常に膨張した。

貿易収支の赤字は、これで12か月連続。かつて東日本大震災で、すべての原発が停止したとき以来の記録である。このときと同様に今回も鉱物性燃料の輸入増加が、大赤字の原因。ただ7月の場合をみると、輸入数量はやや減ったが、価格が高騰して輸入額を膨張させた。たとえば原粗油の価格は1キロリットル=9万9667円で、昨年の約2倍となっている。

貿易収支の赤字は、昨年8月から続いている。その間の赤字額を合計してみると、11兆4224億円にのぼる。1か月平均で約1兆円だ。これだけのおカネが電気・ガス料金やガソリン代の値上がりという経路を通じて、海外に支払われている。その金額は消費税の5%分を上回るから、国民は15%の消費税を払っているようなものだ。

日本は輸入エネルギーに頼らざるをえない。だから国民は、かなりの負担を覚悟しなければならない。だが、それにしてもコロナ禍にあって‟消費税5%分”の負担は痛い。この負担を少しでも和らげるためには、原発と再生エネルギーを活用するしか方法はない。ところが政府は、この点での努力を全く怠ってきた。その結果が11兆円にのぼる貿易赤字となって表われている、と考えるべきだろう。

        ≪18日の日経平均 = 下げ -280.63円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

若者の失業率が 最悪に / 中国

2022-08-18 07:43:25 | 中国
◇ もたつく景気の回復 = 中国の景気回復が予想以上にもたつき、特に若者の雇用環境が最悪となった。統計局が発表した7月の完全失業率は5.4%で、6月よりも0.1ポイント改善した。ところが若年層(16-24歳)だけをとってみると、失業率は19.9%と過去最悪になっている。5人に1人は失業しているわけで、大学を卒業しても職に就けない人が多い。政府も頭を痛めて手を打っているが、効果はなかなか表われない。

コロナによる上海市などの完全封鎖は終了したものの、景気は好転しない。統計局が発表した7月の主要な経済指標をみると、鉱工業生産は前年比3.8%の増加で、6月の3.9%増をやや下回った。小売り売上高も2.7%の増加で、6月の3.1%増から縮小。固定資産投資額も1-7月は5.7%の増加、1-6月間の6.1%増に達しなかった。政府のインフラ投資は伸びているが、民間の不動産投資が6.1%も減少した。

人民銀行15日、金融機関に貸し出す金利を0.1%引き下げ2.75%にした。インフラ投資に加えて、金融面からも景気を刺激しようとしている。特にコロナ不況に際して、政府は金融機関に返済の猶予を要求。このため中小金融機関の経営が苦しくなっている。その救済と住宅ローンの引き下げで、不動産投資の回復を図ることが狙いのようだ。じっさい、7月の住宅販売面積は前年比30%減、住宅ローン貸出額は63%減となっている。

中国は10月下旬に、第20回共産党大会を開く予定。習近平主席は、この大会で異例の3期続投を狙う。その習氏にとっての難関は、コロナと景気と物価。コロナは7月から再拡大し始めたし、消費者物価も7月は2.7%上昇と2年ぶりの高さとなった。そのうえ若年層の失業が増えて、国民の不満が高じては一大事。その意味では、正念場を迎えている。

        ≪17日の日経平均 = 上げ +353.86円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

増益なの? 減益なの? : 4-6月期・決算

2022-08-17 07:40:14 | 利益
◇ ソフトバンクが大混乱要因に = 上場企業の4-6月期決算がほぼ出そろった。ところが集計したSMBC日興証券は「純利益が18%の増加」と発表。日経新聞は「26%の減益」と報じている。SMBCは旧東証1部の1237社、日経は東証プライムの1160社を対象にしているが、なんで正反対の結果が出たのか。答えはソフトバンクが異常に大きな損失を計上したためである。

SMBCによると、製造業の利益は前年比で横ばい。非製造業はコロナ規制の解除で、49.7%の増益だった。また22年度の通期としては、世界経済の停滞により横ばいになるとみている。一方、日経は自動車・電機・食品が減益。商社・石油・鉄鋼が増益。通期では4%の増益になると予想した。そして最大の違いは、SMBCがソフトバンクを集計から除外、日経は算入していることだ。

ソフトバンクは3兆1627億円の損失を計上した。保有する株価の値下がりが主な原因。とにかく四半期の赤字がこんなに巨大になったことは、初めての経験だ。これを全体の集計から除外した方がいいのか。それとも算入すべきなのか。物価高や経済の正常化が企業業績に与えた影響をみるには、ソフトバンクを除いた方がいいかもしれない。だがソフトバンクも上場企業の1員であることに違いはない。

この問題は、あとあとまで尾を引く。たとえば7-9月期の決算が増益になったとしよう。この場合「2期連続の増益」とは書きにくい。しかし「一転して増益」でもなさそうだ。さらに来年の4-6月期についても、全く同様の事態が発生する。その結果、「ソフトバンクを入れたら増益、入れないと減益」なんて判りにくい発表になりませんように。

        ≪16日の日経平均 = 下げ -2.87円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

疑問点も多い GDP速報

2022-08-16 08:16:43 | 景気
◇ 4-6月期は2.2%のプラス成長だったが・・・ = 内閣府は15日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率換算で2.2%、名目成長率は1.1%となっている。コロナによる行動規制が解除され、個人消費が増加して成長率を押し上げた。個人消費は年率換算で4.7%伸びている。企業の設備投資も5.8%増加した。ただ住宅投資は7.3%減少している。

実質GDPの実額は542兆円。コロナ前の19年10-12月期は540兆円だったから、ようやくコロナ前の水準を取り戻したことになる。また4-6月期の成長率はアメリカがマイナス0.9%、中国がマイナス10.0%、ユーロ圏はプラス2.8%だったから、日本の成績はまずまずと言えるかもしれない。ただしアメリカとユーロ圏は昨年中にコロナ前の水準に戻っており、この点では日本がいちばん遅い。

またプラス2.2%成長になったと言われても、景気がよくなったという実感は乏しい。名目成長率が1.1%しか増加しなかったからである。雇用者報酬も名目ではプラス0.5%だったが、実質ではマイナス0.9%だった。ここで1つの疑問。雇用者報酬では物価が上昇したため、実質値がマイナスになった。しかしGDP統計では、実質値が名目値を上回っている。なぜだろう。

さらにGDP速報では輸出が3.7%の増加、輸入は2.7%の増加となっている。輸出の伸びの方が大きいから、その分が成長率を押し上げたと考えられる。だが財務省が集計した貿易統計をみると、4-6月期の前期比の伸び率は輸入の方が輸出よりずっと大きい。この食い違いは、なんなのか。もっともらしい説明はあるのだろうが、なんとなくフに落ちない。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +324.80円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

今週のポイント

2022-08-15 07:39:30 | 株価
◇ 原油価格の下落がすべて = ダウ平均は先週958ドルの値上がり。終り値は3万3761ドルで、5月9日以来の高値を回復した。7月の消費者物価が前年比8.5%の上昇と発表された10日から、株価は一気に上昇している。この上昇率は6月より0.6ポイント低下しており、FRBの金融引き締めテンポが緩むのではないかという期待が盛り上がった。市場では、9月の利上げが0.5%にとどまるという予測が広がっている。

日経平均は先週371円の値上がり。終り値は2万8500円台を回復した。1月12日以来の高値である。ニューヨーク市場の活況にも引きずられたが、4-6月期の企業決算が予想よりも好調だったことが株価を支えた。原油価格の下落と行き過ぎた円安の修正も、好材料になっている。市場の関心は、岸田改造内閣が打ち出す経済対策に移ってきた。

アメリカの物価上昇が頭打ちになったのは、ほとんど原油の値下がりによるものだ。その原油価格は先々週から大きく下げ、WTI(テキサス産軽質油)の先物価格は一時87ドルにまで低落している。だが、そのとき株価は反応しなかった。原油価格の下落はアメリカの景気後退を懸念したもの。だったらFRBの引き締め緩和を連想してもいいはずだが、消費者物価の発表まで動かなかったのは、いかにも理屈を重んじる市場らしい行動だった。ただ原油価格が、さらに下落する可能性は小さい。

今週は15日に、4-6月期のGDP速報。16日に、6月の第3次産業活動指数。17日に、7月の貿易統計、訪日外国人客数、6月の機械受注。19日に、7月の消費者物価。アメリカでは15日に、8月のNAHB住宅市場指数。16日に、7月の工業生産、住宅着工戸数。17日に、7月の小売り売上高。18日に、中古住宅販売。また中国が15日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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