経済なんでも研究会

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所信表明演説は 落第点!

2023-10-25 07:04:53 | 政治
◇ 国民の知りたい点をすっぽかした = 「経済、経済、経済」と連呼した岸田首相の所信表明演説。経済を‟一丁目一番地”にしようという意欲は、よく伝わった。だが結論から言うと、残念ながら落第点を付けるしかない。というのも、その結果として日本経済はどんな姿になるのか。国民の生活は、どうなるのか。みんなが知りたいと考えている点に全く触れなかったからである。だから演説は空回り、岸田首相の独りよがりになってしまった。

経済の部分は、①供給力の強化②国民への還元--の2つに分かれる。このうち供給力の強化では「低物価・低賃金・低成長だったコストカット型経済を、持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済に変革する」と表明。このため賃上げ減税や投資減税を行う。またAI、自動運転、宇宙などの技術開発を支援して行くと述べた。一方、国民への還元は減税とガソリン・電気・ガスへの補助金を継続することが中核となっている。

だが国民が本当に知りたいのは、その結果どうなるかということ。たとえば平均2%の実質成長率を持続できるようになるのか。常に賃上げ率が物価上昇率を上回るようになるのか。そして、かつて岸田首相が唱えていた所得倍増論は、消えてしまったのか・・・。こうした疑問に答えていないから、あの演説を聞いても日本経済の将来像は全く浮かんでこない。

さらに財源の問題。防衛費や少子化対策費には、巨額の財源が必要だ。しかし財源の話は先送りのまま。いま減税されても、1-2年後には大幅な増税が待ち構えているのではないか。国民は不安を感じているが、所信表明演説では何も触れなかった。こうした国民の将来に対する不安を払拭することこそが、経済の活性化に直結する。岸田首相の演説には、この観点が欠けていた。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +62.80円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

‟先”が読めませんね! 岸田さん

2023-10-24 07:10:34 | 政治
◇ 期限付き減税の危うさ = 岸田首相は20日、自民・公明党の幹部に対して「所得税の期限付き減税と低所得者への給付金支給」を検討するよう指示した。これを受けて政府・与党は、政策懇談会を26日に開いて議論を始める。税制改正法案を通常国会に提出、年度内の成立を図る方針だ。減税については与党内からも疑問の声が出ているが、岸田首相は所信表明演説でも明言。強行突破する姿勢を見せている。

減税の規模はまだ不明だが、5-10兆円程度。すべての納税者に一定の金額を還付する定額減税になるとみられる。期間は自民党の宮沢税調会長が述べたように、1年間となりそうだ。また所得税を納めていない低所得者に対しては、数万円の給付金を一律に配布する。所得税減税は実現すれば、小渕内閣が1999年に実施した定率減税以来のこと。ただ今回は、岸田首相がなぜ突然の形で持ち出したのか。疑問が続出している。

ふつう所得税減税は、景気の浮揚策として実施される。しかし今回は、物価高対策が目的。それなら年収が高い人にまで減税する必要があるのか。大半は貯蓄に回るだけだろう。インフレを助長する。国債の格下げにつながる。いや、選挙目当ての単なるバラマキだ。たしかに岸田首相は、衆院長崎4区と参院徳島・高知の補欠選挙の直前に、この減税政策を打ち出している。

たしかに減税は、選挙の票集めには有効かもしれない。年内にも可能性がある総選挙で「減税をします」と、叫びたいのかもしれない。しかし1年後のことを考えたら、どうなるか。来年秋には自民党総裁の任期が切れる。そのとき減税の期限切れが迫れば、それは増税になってしまう。いま仮に内閣の支持率が5%上がったとしても、1年後には10%下がりかねない。岸田さんは、そこまで‟先”を読んでいますか。

        ≪23日の日経平均 = 下げ -259.81円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2023-10-23 07:49:20 | 株価
◇ 長期金利の上昇が波乱要因に = ダウ平均は先週543ドルの値下がり。週の前半は9月の雇用・消費者物価・小売り売上高がそろって予想を上回ったにもかかわらず、株価は上昇。ところが水曜日になると、長期金利が4.9%にまで上昇し株式市場には警戒感が走った。そこへパウエルFRB議長が講演で「さらなる引き締めが正当化されることもありうる」と言明、木曜日には金利が5%と16年ぶりの水準に到達した。イスラエル情勢なども悪材料になったが、先週は長期金利の上昇が最大の波乱要因となっっている。

日経平均は先週1057円の大幅な値下がり。週の前半は先々週に‟はしゃぎ過ぎた”ことの反動で下げ、後半はニューヨークに引きずられて下げた。長期金利もニューヨークの影響を受けて上昇、木曜日には日銀が国債の臨時買い付けに乗り出している。しかし金曜日には0.845%まで上昇した。市場では、日銀が1%までの上昇を容認するのではないかという推測も広まっている。

FRBは31-1日に政策決定会合を開くが、市場では「金利は据え置き」の見方が大勢。ただし「現在の高金利政策はずっと長続きするだろう」という推測も強まり、これが株価の頭を抑えている。一方、日銀は珍しくFRBより前の30-31日に会合を開く。そこで政策の修正を打ち出せるのかどうか。東京市場にとっては、中国の株価が年初来安値に落ち込んだことも気になる。

今週は26日に、9月の企業向けサービス価格。27日に、10月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは25日に、9月の新築住宅販売。26日に、7-9月期のGDP速報、9月の中古住宅販売が発表される。なお23日には、岸田首相が臨時国会で所信表明演説。

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

5%成長は 達成できるのか? / 中国

2023-10-21 07:52:44 | 中国
◇ 現状判断では「きわめて微妙」 = 中国統計局の発表によると、7-9月期の実質成長率は前年同期比の年率で4.9%だった。前4-6月期の6.3%から大きく減速。不動産不況に改善の兆しが見られず、個人消費や輸出も伸び悩んだ。地方政府は財源難で景気対策を打ち出せず、北京政府はもっぱら金融緩和で需要を喚起しようとしている。だが今後の見通しは厳しく、習近平政権が目標としている「23年の5%成長」を達成できるかどうか。微妙なところだ。

統計局が同時に発表した主要指標をみると、1-9月の鉱工業生産は前年比4.0%の増加。1-6月の3.8%増を上回った。自動車や電機の生産が伸びている。また1-9月の小売り売上高は6.8%の増加、1-6月の8.2%増を下回った。一方、1-9月の固定資産投資額も3.1%の増加で、1-6月の3.8%増を下回っている。特に不動産開発投資は9.1%の減少、1-6月の7.0%減より悪化した。輸出も7-9月では10%の大幅な減少となっている。

こうした統計をみて、専門家の見方は割れている。「不動産不況が続いていて、回復の動きが鈍い」という見方と「予想以上にいい数字が出た」という評価。どの数字を重視するかによって、判断が分かれるようだ。そこから習近平政権が目標としている「23年の5%成長」も達成できるかどうか、その見通しも2分している。

個人消費と輸出が拡大するかどうか。その一方で、不動産不況がどのくらい改善するか。この3点が今後を予想するうえでのカギになる。まず消費は雇用情勢の好転がないと伸びにくい。それには時間がかかりそう。輸出は欧米の景気とアメリカの規制しだい。こちらも、やや望み薄。不動産不況の改善も、遅々として進まない。となると「5%成長」の達成は難しい? でも正確に言うと、目標は「5%前後」だから、4.7%でもOKなのかもしれない。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -171.26円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
   

大変だ! 人手不足⑨ 国家の危機

2023-10-20 07:26:02 | 人手不足
◇ 政府は鈍感すぎる = 機械化・ロボット化・AI化、女性と高齢者の活用、外国人の招聘、それに生産性の向上。--人手不足を解消するための方策は、これしかない。だから政府・自治体・企業・個人は、これらが進展するように地道な努力を重ねるしかない。たとえばロボット・AI化減税、リスキリング、年収のカベの撤廃、外国人労働者に対する優遇策、週休3日制の推進・・・。しかし、こうした努力を重ねたとしても、今後に予想される大量の人手不足を埋め切れるとはとても考えられない。

「同一労働同一賃金」の原則を徹底することも重要だ。いま非正規雇用というのはバイト・パート・派遣社員など、正規社員以外のすべてを指している。だが、このなかには希望して短時間労働をしている人と、正規社員と同じように働いている人が混在している。これをはっきり分けて、たとえば正規社員と同じように1年間働いたら、必ず正規社員に登用しなければならないようにする。人手不足が深刻になれば実現しやすいし、この措置で働きたい人も増えるだろう。

それでも人手不足の解消は、とてもムリ。人口減少の直接的な影響も、そろそろ出始める。労働需給のひっ迫が続けば、賃金は上がる。すでにことしの最低賃金は、多くの都道府県で国が提示した金額を上回っている。もっと賃金が上がらないと、優秀な外国人労働者も日本にはやってこない。したがって人件費の増加を原因とする物価騰貴は、覚悟しておく必要があるだろう。

大問題は、政府に危機感がないこと。先ごろ発表した「2024年問題対策」をみても、鉄道や船舶の輸送量を増やすほか、置き配にポイントを付ける程度。なんとも、お粗末だ。もっと広範な視点から将来を見通す姿勢が、まったく欠如している。人手不足の問題は一過性ではなく、国家の危機を招きかねない一大事なのに。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -611.63円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
   

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