魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

代わりのないもの

2007年06月04日 | ワイン ~2020年
背中の痛みも軽くなってきましたが、まだまだ本調子まではいきません。
知り合いの名医もいるので、病院へ行けばいいのでしょうが・・・、
まあ、たいていは「湿布を貼って安静!」を言い渡されるだけですよね。

実は自営業ではそんな通院する時間さえも心配なのです。
だって代わりはいないのですから。健康あっての毎日、健康あっての人生なのです。
大きな会社のように誰かがカバーやフォローしてくれたりもしません。辛いです。

しかし、赤ワインだけはそんな心も体も優しく包んでくれます。

さて、今宵は
2003 アース・ポエティカ・ヴォルカノ(ドナート・ダンジェロ)
    イタリア、1000円代前半

黒糖っぽいブラックチェリーやプラム、樫や白檀のような木の香り。
味わいは熟した(過熟した?)リキュールっぽさを含むような濃厚さ。
その割には案外スイスイと飲めてしまいます。
2003年らしくとても熟して、濃い果実味、酸不足で締まりがありません。

現段階で私は美味しく飲めると思います。好きです。

しかし・・・・・、妻は「過熟すぎて、だれている」と言いました。
なるほど、間違いなくそうなのです。

このワインをお奨めすると、「あのお店はこんな“だらけた味”を美味いと
奨めやがった!」なんて数人の方から思われる可能性があります。

酸が足りないのを、将来性がないとは、危ういとか・・・、仰る方が多いです。
特にプロの方はそうです。
でもね・・・・・、「いいじゃん、今飲むんだから」とも思うのです。
私はそれなりに好きなんですよ。こんな評価の低いであろう?2003年ものを
10年くらい持っていて、「ほら、十分保ったじゃない立派でしょ!」って
見せつけてやりたい!思い知らせてやりたい!


でも・・・・悲しいかな私もプロのはしくれとしてこのワインの採用は
見送らなければなりません。

誤解を招くようなお奨めはすべきではないし、今飲むのにしても
他に代わりはあるんじゃない?との判断からです。
「アース・ポエティカ」君、ゴメンよぉ~。

厳しいのですが、もしも「他に代わりのない味」に出会えれば、
それは商売人としても、ワインバカとしても幸せの瞬間なのです。


コメント
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