広島市原爆死没者慰霊式・平和記念式典のニュースに続いて、リオ・オリンピックの開会式を観た。
昼飯を食って、外を覗いてみると、開けたドアから熱気が押し寄せてきた。
これでは外出は危険極まりない。
散歩がてら買い物に行こうと思っていたが、陽が落ちるまで待つことにした。
柵に寄りかかる立ち葵
買い物を済ませた帰り道で見かけたのが、この横着なタチアオイである。
ふつうは畑の中や日当たりのいい庭などでスックリ立っているものだが、後ろの立木に押されるように柵に寄りかかっている。
気の毒としか言いようがないが、見た目には横着な姿勢に見えたタチアオイであった。
日陰の夾竹桃
次に出会ったのは、白花の夾竹桃である。
この樹木も太陽がお似合いのはずなのだが、建物の裏側に植えられているので実に地味である。
もっとも、僕の外出した時間が遅かったせいもあるのだが、歩いてみないとわからない光景であった。
上空は意気揚々
角を曲がって商店街に近づくと、上空はまだ陽射しが溢れていた。
街灯とそれに提げられた広告物が、僕には意気揚々として見えた。
ちなみに、赤地に白抜きの文字は『映画のまち調布』と書いてある。
市内に日活の撮影所や大映角川、東京現像所などがあるので、それを街の目玉にしようということである。
壁際のおしろい花
まだまだ散歩はおわらない。
個人の家の壁に張り付くように咲いているのは、ピンクと白のオシロイバナである。
昔懐かしい草花だが、いつまでも愛されていくことだろう。
サルビア・ガラニチカ
この花は繁殖力が旺盛で、丈の高い草や木の隙間をねらって顔を出す。
青紫の筒状の花は美しく、それが連なって咲くさまは(メドセージ)とも呼ばれるだけあって、なるほどセージの咲き方に似ている。
少々ニオイがきついので好き嫌いがありそうだが、どことなく野性的な雰囲気が好ましい。
子供のいない公園
気温35度近い猛烈な暑さだから、この小さな公園にも人っ子一人いない。
もちろん子供の姿がないのは当然だ。
動物をかたどった遊具が寂しく佇むのを、サルスベリの花が見守っていた。
一時間にも満たないご近所散歩であった。
出会ったのはごくありふれた花々であるが、生活の場でつかの間見せる植物の陰影が印象的であった。
休日の午後、まだ空気がまどろんでいるような時刻に街が見せてくれる表情に、感謝の思いをつよくした。
(おわり)
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それを気負わず掬い取る自在な筆の技も名人級ですね。
私も歳とともに見慣れた日常の中のちょっとした変化を愉しめるようになってきました。
人目を引こうと作為された面白さより、遥かに深く味わえます。
これからも時々実の周りを見回すようなエッセイを楽しみにしていますよ。
暑い日が続きます。熱中症にはお気をつけて。
いつも散歩の楽しさをお聞かせいただきながら、億劫がっていましたが、たまたま近くを散策してみますと本当に面白いものですね。
今度からは、もう少し頻繁に外へ出てみようと思いました。
暑さ対策は怠らないようにします。