綿花
(城跡ほっつき歩記)より
ほんとうに おまえは綿なのか
ルイジアナ州の炎天下で
多くの奴隷を苦しめたコットンボール
摘んでも摘んでも 終わりのない
綿花の元が おまえなのか
白から黄色へ 一日かぎりの綿の花
まるで奴隷が見る 短い夢のよう
おまえの美しさは 苦しみとの引き換え
来る日も来る日も碧空がのしかかり
目覚めるたびに 一面の綿ぼこり
純白の花は 天のしずく
愛らしさは 脆弱さのあかし
生まれたての命だけにさずけられる
侵しがたい領域
時空を超えて ゴスペルが聴こえないか
コットンプランテーションは 植民地の象徴
東印度会社を支えた戦略物質か
コットンベルトは アメリカ南部の欲望地帯
安く作らせ高く売る
奴隷の汗と血を運ぶ 搾取ルート
ああ マハトマ・ガンジーよ
そしてエイブラハム・リンカーンよ
あなたたちも 白い花に心動かされ
コットンボールがもたらす厄災を
命賭けて 阻止したのか
渦中にあっては 苛烈なことも
時を経れば 記憶さえ薄れる
ファッションだスタイルだと浮かれる者たちよ
ついに綿花の白い花びらに
瞠目する日が 来たようだ
むかし田舎で生活していた頃はまだ綿畑があって、たくさんのコットンボールが茶色い鞘から覗いていたのを覚えています。
しかし、花の記憶はすっかり消えてしまって、画像を見てこんなに美しかったんだ・・・・と新鮮な驚きを感じた次第です。
ご説明いただきましたように、画像にある花はアメリカ由来とのこと、はからずも詩の背景に奥行を与えてくれたように思います。
数個とはいえコットンボールを手にとった時の感触は如何かと、自分の記憶と照らし合わせて想像しております。
白い綿毛から出てきた黒い種子に、モノが出来上がっていく過程の滞りのような感覚を抱いたことを思い出しました。
この年のコットンボールのは2個にとどまりましたが、翌年には数個ほどに増えました。
その後は、糸紡のサンプルとして使用していたと記憶しております。
国産綿花の栽培もめっきりと少なくなり、この画像のものも残念ながらアメリカ由来の種苗です。
結果的には、ポエムの内容と符合しておりますが(>o<)
綿の花は完全な一日花で、正味8時間咲いているかどうか至って短命で儚いものでした。
花弁自体もとてもふわふわとしていて、触れること自体がはばかれた記憶があります。
記憶によれば、この年に採取できたコットンボールは僅かに2個だけでしたが、翌年は数個に増えたようです。
その後は、糸紡のサンプルとして使用していたようです。
今回画像を拝借して、こんなに美しかったんだ・・・・と見直したほどです。
この花が、どういう過程を経て綿毛に変化するのか、観測を続けた方の記録写真もあって、ますます興味が深まるばかりです。
綿花の変遷と人間の歴史、決して切り離すことのできない因縁が他人事でない重みを感じさせます。
コメントありがとうございました。
この花を見て辛い思いをした人たちが開拓期のアメリカには少なくなかったのでしょうね。
そんな思いに心を馳せる詩の言葉に時の流れを感じました。いまは黒人のアメリカ大統領が登場してくる時代なのですから。
人類も少しずつ進化しているということなんでしょうね。