公園にて
(黙って)
露にぬれた 青いベンチは
もう誰かが坐ったものだから
くさむらに
ふたりだけの愛を敷こうと
あなたは 頭を押しつけた
ぼくの胸を
聞かないでくれ
ぼくの胸は薄いから
公園の若葉の陰で
いままた灯が消えた
闇はあなたを重くするが
ぼくの薄い胸に塗られた
前科の証は
発光するのです
徘徊する木ねずみの足音
こうもりの 眠りの舞踏も
営みは
すべて密かに遠ざかるもの
瞼を消す時間です
ゆっくりと
ぼくの胸に頬を傾ければ
かすかな夜光の海へ
どこまでも 沈んでいく
石の 夢を
あなたは見るかもしれない
それでも
ぼくの胸を聞かないでくれ
晩春の夜更け
すべて消えた 営みの灯の背後で
発光する薄い胸の痛みに耐えて
星の出を ぼくは
じっと待っているのです
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