今朝の寒さは、体感的にこの冬1番の寒さであった。近くの駐車場の車には、一面に霜が降りていた。初霜かな。気象学的に云うと未だらしい。
田舎で初霜を体感するのは、桑畑である。強い霜が降りた朝は、それまで青々としていた一面の桑畑が1夜にして様変わりし、暗い灰色の海となるからである。二、三日もすると明るい朝日を浴びる頃、一枚そして一枚と申し合わせたように「カサッ」「カサッ」散るのである。真夏に蚕の世話でまるで戦場のように桑摘みをさせられた喧噪さはない。そこには静寂があるのみである。
そして間もなく、麦踏みにいそかしくなるのである。今では見られなくなった懐かしい風景がそこにはあった。