私どもの世代は、お正月というと旧暦で祝っていた。新暦でするようになったのは新制中学頃であったろうか。旧暦でいうと今日は大晦日、その日は、普段使わない上段の間で全員正装し食事をおするのが慣わしだった。それまでにお正月を迎えるための祭事はすべて父が取り仕切り、実に頼もしく眺めていたものである。
山の神を祀るところをはじめお稲荷様、産土様等と氏神様すべてと神棚に手作りの注連縄をはり幣束を取り付けるのである。門松は、土間に杭を打ち背丈ほどもあろうかという松を山から切ってきてそのまま縛り付ける。「今年の門松は枝振りがいい」などと言いながら、、、父は当に正月を迎えるプロデューサー、兄弟たちがそれを見つめていた頃が懐かしい。