右側に並ぶのは石炭が運ばれた道です。
24時間、交代制で炭鉱は一時も休むことなく石炭を掘り出していました。宝の山が、途切れることなく次々と地中奥深くから運び出されていたのです。
この下へ向かう中央の階段、これが地下への入口で、すべての鉱夫たちはここを歩いて、地下深くへ降りていったのです。
まず二階建てのリフトで垂直に地下1000m降りました。想像するのも難しいですが、東京タワー3つぶんです。長い長い時間だったでしょう。おそらく地獄の底まで続いているような気分になったのではないでしょうか。
それから何百メートルも斜めに降りてゆき、それから水平にまた何百メートルも掘り進んだのです。湿度はほとんど100%。ものすごい暑さ。狭くて真っ暗。屈強な男でも、この環境にはなかなか慣れることはできなかったそうです。まさに命をかけた仕事だったのでしょう。
この廃墟を見ていると、それもすべて遠い過去の出来事だったのだなあ、としみじみ…。
こうやってポツンと朽ちかけた建物に対峙していると、何かその建物が背負った過去を語りかけてくるような気がしてくるのです。