いよいよ段階的な高速道路無料化が始まるということが、一昨日前原国交大臣より発表されました。
ご紹介する著者の山崎養世さんは、昨秋に政権交代が実現した民主党のマニフェストで高速道路無料化を政策提案し、「次の内閣における国交大臣」として民間から指名されていた経済アナリストで、その後も太陽(エネルギー)経済や環東京湾構想など、「日本経済の復活と活性化」をテーマとして常に新鮮な視点から提案をされています。
この本は2008年3月に出版された『道路問題を解く』に、長い序章を新たに加筆して改訂文庫版として昨年末頃に出されたものです。高速道路無料化についてはマスコミなどの世論調査によると反対の意見が多いと報じられていますが、世論自体が特定の受益者(政治家・天下り官僚・関連業者など)により、ねじ曲げられ誘導されることも多いと批判されている昨今です。そのような状況の中で文庫化という国民に手に取りやすい形で、反論攻勢に転じようとする試みと想われます。本当のところはどうなのか僕自身詳しく知りたいと、以前から興味を持っていた政策なのでこれを機会に読んでみました。
戦後の復興期から現代に至る高速道路を取り巻く状況を詳しく述べた上で、成熟化からの経済停滞から抜け出せない日本(そして地方)の活性化の切り札として、世界でも常識的な高速道路の無料化の実現が喫緊の政策であるとしています。自民党小泉政権時の道路公団民営化についても、いかにまやかしの改悪であったかということが説得力を持って主張されています。
『環東京湾構想』では高速料金無料化で大きく発展が予想される都市として、アクアラインが繋がっている千葉県の木更津周辺をあげていますが、関西では僕の故郷でもある徳島県が明石・鳴門大橋で神戸や大阪に近くクローズアップされていました。本四架橋が出来た当時はそのような経済効果が期待されながら、通行料の高さから日常的に使われることが少なく宝の持ち腐れ状態になっています。
ずいぶん昔になりましたが、僕もオートバイ旅行で初めてドイツのアウトバーンを自由に乗り回した時のことを想い出します。一般道路と多くの出入り口で結ばれた高速道路ネットワークの便利さは、きっと交通全体の円滑さと活発な人や物の流れを創り出すと想われます。現在あるインフラを無駄にしないで、国全体の活性化のために使うことこそ、未曾有の閉塞状況にある経済復活が予感できる政策だと想います。
※ 余談ですが山崎養世さんのお母様は千里山出身の方だと地元の知人に聞いたことがあります。
高速道路無料化 新しい日本のつくり方 (朝日文庫) 山崎養世 朝日新聞出版 このアイテムの詳細を見る |
大逆転の時代―日本復活の最終処方箋 (講談社プラスアルファ文庫) 山崎 養世 講談社 このアイテムの詳細を見る |