“Chinese Currency Reserves Swell(中国外貨高膨張)”の見出しで、15日付けのWSJ紙でAndrewBatson記者が、先週末、中国人民銀行が、昨年末時点で、中国の外貨高が2.4兆ドル(ドル90円換算216兆円)と発表しインフレ懸念が高まってきたと書いていた。
9月末から12月末の3ケ月で1,266億ドル増えた。ただ、ドル、ユーロその他の通貨別は発表されていない。12月にユーロが対ドルで値下がりした影響でドル建てで12月は、103.6憶ドル(10月557億ドル、11月605億ドル)へ大幅に減少したと解説していた。
なぜ中国の外貨が増えるのか。多国籍企業の中国経済拡大持続との見通しから、中国市場へ巨額の資金が流れ込んで来るためである。ところが、中国政府は、かたくなに人民元をドルに固定している。そのため国内に資金が還流する。結果バブルが発生する。インフレ
退治に金融機関へ準備率を15.0%へ0.5% 引き上げにつながったとWSJ紙は書いていた。
人民元は現在1ドル=6.8269元前後で枠の中で動いている。1ドル=90円で換算すると1元は13.28円前後となる。理屈通り進まないのが為替の世界であるが、人民元に切り上げ圧力がかかると理論的にはその分円高になると見られている。
18日付けのWSJ紙によれば、先週末のNY外国為替市場では、ドル、円ともに対ユーロで買われた。1ユーロ=1.43ドル、1ユーロ=130円で取引された。今朝の東京外国為替市場でもその流れを受けて、1ドル=90円、1ユーロ=130円で取引されている。
18日付けの読売新聞朝刊の経済欄で、「揺らぐユーロ」の見出しで、「ギリシャ財政危機、国債格下げ、為替市場はリストラ策に懐疑的」と小見出しをつけ、ユーロ先安を予見する記事を掲載していた。ギリシャの財政赤字額は対GDP12.7%に達したことが理由である。
一方、日本の財政赤字は、10年度末で862兆円(ドル90円換算で9.6兆ドル)である。対GDP比率で180%である。それでも円が買われるのは、日本の個人金融資産額が債務残
高を上回っているからだ。しかし、現政権は消費税引き上げを封印していると書いていた。
話は飛ぶ。JALの株価が今朝6円になった。1年前は215円だった。3月末決算で赤字が1.2兆円と17日付けの日経朝刊に出ていた。朝日ニュースターというテレビ番組で先物の為替予約を1ドル=160円で16年間固定していたと紹介していた。恐ろしい話である。
JALは航空会社の生命線の原油先物でも巨額の損を出した。日本の経営トップは為替・金利は「財務」、原油は「資材」の仕事だと責任回避する人が多い。中国で外貨が急膨張している。エネルギーが過度に集中すると地震が起こる。2010年は為替に注意したい。(了)