メディアで報じられる疑わしい統計の評価方法について論じた本。
基本的には、人口統計などの基本的な数字を自分の頭に入れておき、あり得ない数字を洗い出す、社会的なことを議論する統計数字を聞いてそんなひどいことになっているとは思ってもみなかったというときは統計数字に嘘がないか疑ってみるべきというような、一種の常識をベースに誤った統計の生まれ方を紹介しています。
悪意がなくても小数点の打ち間違いをしているかもしれない、メディアはそういうことをチェックできていないかもしれない。その統計は誰が作成したのか、その数字によって利益を受ける者が作成したのではないか。対象の定義はどうなっているか、広い定義を取れば当然数字は大きくなるし、定義が変更されることによって実態は変わっていなくても急増したことにされる場合もある。ある問題が注目されることでそれまで申告されなかったことが多く申告されることになって急速に蔓延したと扱われることもある。といった基本的な説明が続き、ある意味で当然のことですが、頭の整理にはなります。
鳥インフルエンザで初期に東南アジアで治療を受けた人の50%が死亡したという話から死亡率50%という数字が一人歩きしたが、東南アジアの貧困層で病院に入院するのは最後の手段で大部分の人は感染しても入院することなく回復していたという可能性が見過ごされていた(118ページ)とか、1990年から2003年までに主要な医学雑誌に掲載された論文のうち特定の治療法が有効であることを述べ1000回以上他の論文で引用された論文は45本あったが、後の研究により7本は間違いであることがわかり7本は間違いではなくても言い過ぎであることがわかった(146~147ページ)など、医学・科学領域のものでも驚くべき発見は結局間違いであることも少なくないという指摘は、肝に銘じておきたいところです。
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原題:Stat-Spotting
ジョエル・ベスト 訳:林大
白揚社 2011年12月20日発行 (原書は2008年)
基本的には、人口統計などの基本的な数字を自分の頭に入れておき、あり得ない数字を洗い出す、社会的なことを議論する統計数字を聞いてそんなひどいことになっているとは思ってもみなかったというときは統計数字に嘘がないか疑ってみるべきというような、一種の常識をベースに誤った統計の生まれ方を紹介しています。
悪意がなくても小数点の打ち間違いをしているかもしれない、メディアはそういうことをチェックできていないかもしれない。その統計は誰が作成したのか、その数字によって利益を受ける者が作成したのではないか。対象の定義はどうなっているか、広い定義を取れば当然数字は大きくなるし、定義が変更されることによって実態は変わっていなくても急増したことにされる場合もある。ある問題が注目されることでそれまで申告されなかったことが多く申告されることになって急速に蔓延したと扱われることもある。といった基本的な説明が続き、ある意味で当然のことですが、頭の整理にはなります。
鳥インフルエンザで初期に東南アジアで治療を受けた人の50%が死亡したという話から死亡率50%という数字が一人歩きしたが、東南アジアの貧困層で病院に入院するのは最後の手段で大部分の人は感染しても入院することなく回復していたという可能性が見過ごされていた(118ページ)とか、1990年から2003年までに主要な医学雑誌に掲載された論文のうち特定の治療法が有効であることを述べ1000回以上他の論文で引用された論文は45本あったが、後の研究により7本は間違いであることがわかり7本は間違いではなくても言い過ぎであることがわかった(146~147ページ)など、医学・科学領域のものでも驚くべき発見は結局間違いであることも少なくないという指摘は、肝に銘じておきたいところです。
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原題:Stat-Spotting
ジョエル・ベスト 訳:林大
白揚社 2011年12月20日発行 (原書は2008年)