作家と漫画家の著者2人が、読者からの結婚に関する悩みの相談に答えるという形で、自分の結婚生活を紹介し、論評する本。
一応、相談の形にはなっていますが、大半は、自分の結婚生活の経験談をネタにしつつ、惚気ている風情です。2人とも、同じ業界の住人で仕事に理解のある者同士の結婚で、共働きでほどよい距離感を保っている点で共通し、深刻な対立は感じられず、その意味で読者からは、自分のところとは違うという感じを持たれる場合も多そうです。悩みについて直接の答えを期待するよりは、自分と違う夫婦の結婚生活の様子を読むことで、さまざまな生活、結婚観・人生観があることを知り、夫婦はかくあるべしという硬直した考えを見直す/捨てるという点に、この本の一番の意味があるのだと思います。
深刻な話はあまり採りあげられていませんが、そういう話はそもそも書きにくい(書いたら夫婦生活に亀裂/危機を呼ぶことでしょう)し、読者のニーズとしても、少ないだろうと思います。巻末ゲストトークで「幸せな話っていうのは絶対必要なんです。でも幸せなときにしか幸せな話は書けない。ていうか、幸せな人がそれを書くのと、不幸な人が書くのとではエネルギーが別物だと思うんですよ」(253ページ)とされているのは、至言だと思う。
夫婦関係について、あぁこういう夫婦がいるんだ、こういうふうでもいいんだと、ふっと力を抜けるところが心地よい本だと思います。
山本文緒、伊藤理佐 講談社文庫 2014年2月14日発行(単行本は2010年8月)
一応、相談の形にはなっていますが、大半は、自分の結婚生活の経験談をネタにしつつ、惚気ている風情です。2人とも、同じ業界の住人で仕事に理解のある者同士の結婚で、共働きでほどよい距離感を保っている点で共通し、深刻な対立は感じられず、その意味で読者からは、自分のところとは違うという感じを持たれる場合も多そうです。悩みについて直接の答えを期待するよりは、自分と違う夫婦の結婚生活の様子を読むことで、さまざまな生活、結婚観・人生観があることを知り、夫婦はかくあるべしという硬直した考えを見直す/捨てるという点に、この本の一番の意味があるのだと思います。
深刻な話はあまり採りあげられていませんが、そういう話はそもそも書きにくい(書いたら夫婦生活に亀裂/危機を呼ぶことでしょう)し、読者のニーズとしても、少ないだろうと思います。巻末ゲストトークで「幸せな話っていうのは絶対必要なんです。でも幸せなときにしか幸せな話は書けない。ていうか、幸せな人がそれを書くのと、不幸な人が書くのとではエネルギーが別物だと思うんですよ」(253ページ)とされているのは、至言だと思う。
夫婦関係について、あぁこういう夫婦がいるんだ、こういうふうでもいいんだと、ふっと力を抜けるところが心地よい本だと思います。
山本文緒、伊藤理佐 講談社文庫 2014年2月14日発行(単行本は2010年8月)