男子だけのチアリーディングチームのスポーツ根性もの青春小説。
柔道の強豪の姉坂東晴子を応援することが生き甲斐だったが負傷と自らの才能の限界を感じて柔道をやめる坂東晴希と、幼い頃から晴希のライバルで亡くなった母がチアリーダーをしていてそれを思い出す寝たきりの祖母の看病に疲れる一馬の呼びかけで、チアリーディングチームに集まった最初は7人、後に16人のメンバーのキャラと背景設定で読ませています。
しかし、7人の頃までは、キャラの設定の工夫で読み応えがありますが、16人になるとついて行けなくなるというか、ポケモンが次々新たに登場するような感じになりますし、学園祭での舞台は、急造のチームが苦心惨憺して形にいていく青春グラフィティとして読めても、そのまま全国大会まで突っ走るのは、いくら経験者を参入させ、トップチームのコーチが付いてくれたという設定でも、無理を感じるし、特訓の描写があっても慌ただしさが気になります。私たちおじさん世代でいえば、「あしたのジョー」で力石戦後、またはカーロス・リベラ戦後に急速に強くなり世界の頂点に挑むまでに突っ走る展開に快感を感じられるか違和感を持つかというあたりの感覚の違いがあるんだろうと思います。私は、この作品については、7人での学園祭までにした方がよかったんじゃないかと思いました。
主役(語り手)に据えた晴希の姉への思いが、鬱々と続きながら、最後まで引っ張るのも、何だかなぁと思い、やっぱり学園祭くらいのところで、晴子との和解、晴子の立ち直りがないと、読んでいてしんどい/悲しいなと思いましたし。

朝井リョウ 集英社文庫 2013年2月25日発行(単行本は2010年10月)
柔道の強豪の姉坂東晴子を応援することが生き甲斐だったが負傷と自らの才能の限界を感じて柔道をやめる坂東晴希と、幼い頃から晴希のライバルで亡くなった母がチアリーダーをしていてそれを思い出す寝たきりの祖母の看病に疲れる一馬の呼びかけで、チアリーディングチームに集まった最初は7人、後に16人のメンバーのキャラと背景設定で読ませています。
しかし、7人の頃までは、キャラの設定の工夫で読み応えがありますが、16人になるとついて行けなくなるというか、ポケモンが次々新たに登場するような感じになりますし、学園祭での舞台は、急造のチームが苦心惨憺して形にいていく青春グラフィティとして読めても、そのまま全国大会まで突っ走るのは、いくら経験者を参入させ、トップチームのコーチが付いてくれたという設定でも、無理を感じるし、特訓の描写があっても慌ただしさが気になります。私たちおじさん世代でいえば、「あしたのジョー」で力石戦後、またはカーロス・リベラ戦後に急速に強くなり世界の頂点に挑むまでに突っ走る展開に快感を感じられるか違和感を持つかというあたりの感覚の違いがあるんだろうと思います。私は、この作品については、7人での学園祭までにした方がよかったんじゃないかと思いました。
主役(語り手)に据えた晴希の姉への思いが、鬱々と続きながら、最後まで引っ張るのも、何だかなぁと思い、やっぱり学園祭くらいのところで、晴子との和解、晴子の立ち直りがないと、読んでいてしんどい/悲しいなと思いましたし。

朝井リョウ 集英社文庫 2013年2月25日発行(単行本は2010年10月)