元NHK記者の著者が2012年前期に東工大で行った「現代日本を知るために」という連続講義を出版したもの。
東日本大震災と津波被害で壊滅的打撃を受けた地方の復興への展望を、日本全国が焼け野原だった戦後からの復興を思い起こすことから始め、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉を強調しています。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉は、あとでバブルとその後の長いデフレ、「バブルの甚大な被害」を語った後、「アベノミクス」でデフレ脱却となるかバブル再来となるかという文脈で登場します(251~252ページ)。あとがきに代えてでも重ねて触れていますから、そこが一番言いたかったのかもしれません。しかし、そこは結論的判断は避け、「注目しましょう」で終わっています。あとは、学力テスト復活をめぐる混乱のところで「日本の教育行政は歴史に学んでいない」と述べています(144ページ)。
他方、現代政治史では、自社さ政権での社会党の180度転換、鳩山首相の普天間基地移転問題をめぐる「無責任な発言」、小沢一郎を軸とした政局など、野党側への厳しい評価が目立ちます。これは、著者の体質なのか、この講義当時は民主党政権時代なので権力へのチェックの視線なのか…
池上彰 文春文庫 2015年11月10日発行(単行本は2013年10月)
東日本大震災と津波被害で壊滅的打撃を受けた地方の復興への展望を、日本全国が焼け野原だった戦後からの復興を思い起こすことから始め、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉を強調しています。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉は、あとでバブルとその後の長いデフレ、「バブルの甚大な被害」を語った後、「アベノミクス」でデフレ脱却となるかバブル再来となるかという文脈で登場します(251~252ページ)。あとがきに代えてでも重ねて触れていますから、そこが一番言いたかったのかもしれません。しかし、そこは結論的判断は避け、「注目しましょう」で終わっています。あとは、学力テスト復活をめぐる混乱のところで「日本の教育行政は歴史に学んでいない」と述べています(144ページ)。
他方、現代政治史では、自社さ政権での社会党の180度転換、鳩山首相の普天間基地移転問題をめぐる「無責任な発言」、小沢一郎を軸とした政局など、野党側への厳しい評価が目立ちます。これは、著者の体質なのか、この講義当時は民主党政権時代なので権力へのチェックの視線なのか…
池上彰 文春文庫 2015年11月10日発行(単行本は2013年10月)