伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

定年認知症にならない脳が冴える新17の習慣

2017-06-12 22:13:19 | 自然科学・工学系
 脳神経外科専門医の著者が、「脳神経外科医としての30年以上の経験をもとに脳の取り扱い方法を書いた」(13ページ)という本。
 「はじめに」で、「皮膚や肝臓と同じように脳も再生します」「大事に使えば、人間の脳は、一生枯れることがなく成長し続ける、驚異の臓器なのです」と書かれており、魅力的な文句で釣り込まれます。ビジネス書張りの見事なキャッチといえるでしょう。
 そのために、第1に、生命の中枢の脳幹には負担がかからないように、質のよい睡眠を確保する(「夜は寝ないと脳が壊れる」なんて記載も:69~70ページ)、体温を保つ、水分補給を怠らない、毎日一定量歩く、太りすぎないようにする、第2に大脳辺縁系を制御する(欲望と感情を暴走しないように制御する)、第3に大脳新皮質を「育てる」ために新しい情報を与えほどほどに休ませながらも脳を使い続けることが大切だとしています。
 人間は周りの目があるから感情をコントロールできている、組織を離れると感情を抑えなければならないと感じさせてくれる社会的な枠組みから外れてしまい暴走しやすくなると著者は論じています(95~96ページ)。70にして心の欲するところに従えども矩を超えず、というわけにはいかないものか・・・
 第1章で、「どんなに優秀な脳でも、必要な鍛錬をいつも続けていなければ、こと第三層の理性中枢に関しては、あっというまに急坂をすべり落ちてしまうのです」という説明の例として、半年間外国に赴任していた超多忙の弁護士が帰国したら日本語で数が数えられなかったというエピソードが語られ(21ページ)、業界人としては引き込まれて読み続けましたが、「定年認知症にならない」というタイトルの本が最後に推奨する対策が「転職力を鍛えていつまでも仕事をやめない」(193~196ページ)っていうのは、いやそれはそうなんだろうけど腑に落ちない。


築山節 集英社 2017年5月7日発行
コメント
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