伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

猫弁と狼少女

2024-09-18 22:12:53 | 小説
 成績はトップクラスの天才だが、採算度外視の行動をとり続ける弁護士百瀬太郎が、困ったちゃん少女の言動で、未成年誘拐未遂の現行犯で逮捕されるが、百瀬が弁解もせずに黙秘を続け勾留され続けて周りはやきもきするが…という展開のヒューマンドラマ小説。「猫弁」シリーズシーズン2の第4弾とされています。
 児童養護施設から公立小学校に通っていたときから学校創立以来の秀才とされ全国共通学力テスト1位だったという百瀬の、貧困故かネグレクト故か食事も満足に取れず靴もなく風呂にも入れていなかった同級生の記憶・心残りがバックボーンになる、弁護士としてよりも百瀬という人物・人物像の物語という印象です。
 弁護士としての部分ではないですが、百瀬が「名画を次々と並べまくり『立ち止まらないでください』などと言う美術館は無神経だと思った」(37ページ)というくだり、私としては同感です。
 前作(シーズン2第3弾)の「猫弁と幽霊屋敷」についての記事で、被疑者国選弁護人は勾留状発布後でないと選任されないもので、被疑者国選弁護人が勾留前でも選任されるが活動が制限されていて本人には会えないかのように書いているのは誤りだと指摘したのですが、本作でもまた「国選弁護人は仕事に制約があって、逮捕直後はダメなの。勾留が決定してからしか動けないという微妙な制約があるのよ」(26ページ)と書いています。実質的には大差ないのかも知れませんが、制度理解はちゃんとして欲しいなと思います。


大山淳子 講談社 2023年9月20日発行

シーズン1
「猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼者たち」は2022年10月25日の記事で紹介しています。
「猫弁と透明人間」は2022年10月26日の記事で紹介しています。
「猫弁と指輪物語」は2022年10月27日の記事で紹介しています。
「猫弁と少女探偵」は2022年10月28日の記事で紹介しています。
「猫弁と魔女裁判」は2022年10月31日の記事で紹介しています。
シーズン2
「猫弁と星の王子」は2022年11月1日の記事で紹介しています。
「猫弁と鉄の女」は2022年11月2日の記事で紹介しています。
「猫弁と幽霊屋敷」は2022年11月3日の記事で紹介しています。

コメント
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