公職選挙法違反(買収)で懲役3年の実刑判決を受けて服役した元法務大臣の著者による獄中日記。
法務大臣経験者の獄中日記ということなので、体験した刑務所・拘置所の処遇の実情と、霞ヶ関で上から見ていた/聞いていたこととのギャップが語られるのかと期待して読みました。そういう記載がまったくないというわけではないのですが、この本の半分くらいは事件についての言いわけと妻案里の無実の主張、検察批判、マスコミ批判、そして安倍晋三への追従・礼賛です。刑務所の処遇についても、刑務官には苦労を労い感謝することが中心でいわば優等生的な文章に満ちています。
処遇関係では、「思い起こせば、喜連川に移ってから、受刑者の処遇改善について先輩や同僚の国会議員にずいぶん助けていただいた」(236ページ)と、まぁ国会議員が官庁に注文をつけるのはいつもの仕事で、それで刑務所の処遇が本当に改善されるのならそれはいいことと思えますが、ここで出てきているのは元法務大臣、国会議員が収監されているからということで圧力がかけられ特別扱いされたということに見えます。仮釈放前の2週間、ふつうは同衆と共同生活をするのにいざこざが起こりがちということで特別に1人で過ごすことになった(273~274ページ)など特別扱いされていたわけですし。そのことへの疑問は何ら語られません。
元法務大臣の獄中日記としてよりも、今後の復活・政治生活のために書かれた政治家本として読んだ方がいいかと思います。
河井克行 飛鳥新社 2024年6月30日発行
月刊「Hanada」連載
法務大臣経験者の獄中日記ということなので、体験した刑務所・拘置所の処遇の実情と、霞ヶ関で上から見ていた/聞いていたこととのギャップが語られるのかと期待して読みました。そういう記載がまったくないというわけではないのですが、この本の半分くらいは事件についての言いわけと妻案里の無実の主張、検察批判、マスコミ批判、そして安倍晋三への追従・礼賛です。刑務所の処遇についても、刑務官には苦労を労い感謝することが中心でいわば優等生的な文章に満ちています。
処遇関係では、「思い起こせば、喜連川に移ってから、受刑者の処遇改善について先輩や同僚の国会議員にずいぶん助けていただいた」(236ページ)と、まぁ国会議員が官庁に注文をつけるのはいつもの仕事で、それで刑務所の処遇が本当に改善されるのならそれはいいことと思えますが、ここで出てきているのは元法務大臣、国会議員が収監されているからということで圧力がかけられ特別扱いされたということに見えます。仮釈放前の2週間、ふつうは同衆と共同生活をするのにいざこざが起こりがちということで特別に1人で過ごすことになった(273~274ページ)など特別扱いされていたわけですし。そのことへの疑問は何ら語られません。
元法務大臣の獄中日記としてよりも、今後の復活・政治生活のために書かれた政治家本として読んだ方がいいかと思います。
河井克行 飛鳥新社 2024年6月30日発行
月刊「Hanada」連載