LGBTQ理解増進法について、制定の経緯や立法時の国会での答弁等を紹介し、各条文の趣旨を解説した本。
著者はこの法律自体については「特定の政党のアドバイザーを務めたり、講師として勉強会に参加したりということも行ってきていないため、入手資料は、誰もが入手できる公開資料を基にしている」としつつ、「審議中継において公開されている審議経過をすべて視聴し、筆記起こしを行うなどして、文字通り手間と労力をかけて執筆したものである」(序説:1ページ)ととても力の入った前振りをしています。文教区男女平等参画推進条例が先進的に規定した性的指向または性的自認に起因する差別的取扱の禁止に関して著者が立案担当者として「全身全霊をかけて」制定した(219ページ)という思いがにじみ出ているということでしょう。
ただ一読者としては、「自治体職員のための」と銘打ち、「筆者のもとには、現在、多くの自治体担当者から相談がひっきりなしに来る」(215ページ)というのであれば、この法律を受けて自治体が何をすべきかについてより踏み込んだ解説が欲しいと感じました。第5条の施策の策定、実施では何をすべきか、特に第10条でより具体的に挙げられている教育及び学習の振興、広報活動、相談体制の整備はどうすればいいのかなど、まさしく自治体職員として取り組んできた立場からのイメージや説明があった方がよかったと思います。
本筋の法律の逐条解説は、法律自体が理念を定めるものだから仕方ないとはいえ、抽象的である種ありきたりのもので、むしろ資料編の困難のリスト(116~131ページ)と条例の紹介(131~146ページ)が一番読みでがあるように思えました。
鈴木秀洋 第一法規 2023年12月25日発行
著者はこの法律自体については「特定の政党のアドバイザーを務めたり、講師として勉強会に参加したりということも行ってきていないため、入手資料は、誰もが入手できる公開資料を基にしている」としつつ、「審議中継において公開されている審議経過をすべて視聴し、筆記起こしを行うなどして、文字通り手間と労力をかけて執筆したものである」(序説:1ページ)ととても力の入った前振りをしています。文教区男女平等参画推進条例が先進的に規定した性的指向または性的自認に起因する差別的取扱の禁止に関して著者が立案担当者として「全身全霊をかけて」制定した(219ページ)という思いがにじみ出ているということでしょう。
ただ一読者としては、「自治体職員のための」と銘打ち、「筆者のもとには、現在、多くの自治体担当者から相談がひっきりなしに来る」(215ページ)というのであれば、この法律を受けて自治体が何をすべきかについてより踏み込んだ解説が欲しいと感じました。第5条の施策の策定、実施では何をすべきか、特に第10条でより具体的に挙げられている教育及び学習の振興、広報活動、相談体制の整備はどうすればいいのかなど、まさしく自治体職員として取り組んできた立場からのイメージや説明があった方がよかったと思います。
本筋の法律の逐条解説は、法律自体が理念を定めるものだから仕方ないとはいえ、抽象的である種ありきたりのもので、むしろ資料編の困難のリスト(116~131ページ)と条例の紹介(131~146ページ)が一番読みでがあるように思えました。
鈴木秀洋 第一法規 2023年12月25日発行
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