1950年代終わりに美術系の小さな出版社で同僚だったときからの付き合いが続いている86歳の篠田完爾、80歳の重森勉、82歳の宮下知佐子の3人が2019年の大晦日にホテルの部屋で猟銃自殺し、長く音信もなかった子や孫、知人らが驚き、困惑し、後悔し、懐かしむ様子を描いた小説。
この作品でただひとり一人称(僕)で語る宮下知佐子の孫である獣医は、死んだ3名以外の登場人物として最初に登場します(9ページ)が、登場頻度は低く(姓は106ページになって1回だけ登場)主人公と評価できるような重みは全然なくて、自分の母親や姉、祖母にも怨念を持ち続け関わり合いを避け不機嫌であり続ける性格的にも共感しがたい人物で、作者がなぜこの人物だけを一人称で語らせ続けたのか不思議です。
私は、小説を読むときには、自分のことは棚に上げて、素直で前向きの人物を好み共感するたちなので、残された人たちの中で宮下知佐子の孫踏子、篠田完爾の孫葉月には自然に入れましたし、登場の頻度から見て作者もそう感じているのではないかと思うのですが。
コペンハーゲンの葉月の下宿の大屋の好物がかっぱえびせん(90ページ)というのに、何かほっこりしました。
江國香織 新潮社 2021年12月20日発行
「小説新潮」連載
この作品でただひとり一人称(僕)で語る宮下知佐子の孫である獣医は、死んだ3名以外の登場人物として最初に登場します(9ページ)が、登場頻度は低く(姓は106ページになって1回だけ登場)主人公と評価できるような重みは全然なくて、自分の母親や姉、祖母にも怨念を持ち続け関わり合いを避け不機嫌であり続ける性格的にも共感しがたい人物で、作者がなぜこの人物だけを一人称で語らせ続けたのか不思議です。
私は、小説を読むときには、自分のことは棚に上げて、素直で前向きの人物を好み共感するたちなので、残された人たちの中で宮下知佐子の孫踏子、篠田完爾の孫葉月には自然に入れましたし、登場の頻度から見て作者もそう感じているのではないかと思うのですが。
コペンハーゲンの葉月の下宿の大屋の好物がかっぱえびせん(90ページ)というのに、何かほっこりしました。
江國香織 新潮社 2021年12月20日発行
「小説新潮」連載
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