高校生の料理コンテスト「ワンポーション」で前年優勝を逃しリベンジを誓う私立円明学園高校3年生の調理部長新見蓉、高校生限定のSNSアプリ「オルタネート」にハマり周囲にそれを勧める円明学園高校1年生の伴凪津、小学生のときの演奏仲間が東京に引っ越して連絡がなくなったのをあきらめきれずに追いかける高校中退のニート・フリーター楤丘尚志らが突き進む様子を描いた青春学園小説。
新たな機能を持つ(架空の)SNSを駆使し、同性愛の高校生コンビを登場させと、序盤で今風の設定をしているのですが、円明学園の調理部員は女子生徒しか登場しない(個別の人物として女性しか出てこないし、新入生部員全体を「彼女ら」と呼んでいる:22ページ。コンテストでライバル校の代表は男子生徒ですが、代表になるのはある意味プロ的な位置づけなのでシェフ・板前がむしろ男の世界というのにも似て…)など、全体としては旧来の男女の描き分けがなされている印象です。
マッチングアプリにスマホに記録されている個人情報全部を読み込ませたり、さらには遺伝子情報まで入力するということに、凪津が肯定的である上に、他の登場人物を通じても警戒感が示されないという新技術・IT企業への無警戒ぶりは、いかがなものかと思いました。
加藤シゲアキ 新潮文庫 2023年7月1日発行(単行本は2020年11月)
吉川英治文学新人賞受賞作
新たな機能を持つ(架空の)SNSを駆使し、同性愛の高校生コンビを登場させと、序盤で今風の設定をしているのですが、円明学園の調理部員は女子生徒しか登場しない(個別の人物として女性しか出てこないし、新入生部員全体を「彼女ら」と呼んでいる:22ページ。コンテストでライバル校の代表は男子生徒ですが、代表になるのはある意味プロ的な位置づけなのでシェフ・板前がむしろ男の世界というのにも似て…)など、全体としては旧来の男女の描き分けがなされている印象です。
マッチングアプリにスマホに記録されている個人情報全部を読み込ませたり、さらには遺伝子情報まで入力するということに、凪津が肯定的である上に、他の登場人物を通じても警戒感が示されないという新技術・IT企業への無警戒ぶりは、いかがなものかと思いました。
加藤シゲアキ 新潮文庫 2023年7月1日発行(単行本は2020年11月)
吉川英治文学新人賞受賞作
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