脳内に手術不可能な疾患を抱え富裕層向けの療養型病院「葉山の岬病院」の特別室でいつ訪れるかもしれない死に怯えつつ日々を過ごす28歳の女性患者と、アンティークショップを経営していた父親が従業員に金を持ち逃げされて巨額の借金を背負いヤクザまがいの取立屋に追われたあげく母に離婚を求めた後失踪し1年後に山で滑落死したことにトラウマを持ち借金を返すために金儲けにこだわる歪んだ思考を持つ広島の大学から研修に訪れた研修医碓氷蒼馬が、お互いの境遇について知り、話し合ううちに惹かれて行くが、碓氷の側のためらい、相手の気持ちを測りきれない不安と戸惑い、女性患者側の言動の不審さなどから告白できないうちに研修期間が終了し、碓氷は広島に戻るが、その後思いがけない事態が展開し…という恋愛ミステリー小説。
文体、分量、謎の程度など、軽く読むのにほどよい加減で、エンタメとして手頃な読み物です。
ただ、弁護士の立場から言わせてもらうと、自分が襲われる危険を感じながら、遺言を確実に実行させたいと考える人が、弁護士事務所で遺言を作成してそれを自分で持ち帰るというのは考えられません。遺言書を奪われる可能性を感じるなら、遺言書は弁護士に預ける、さらに言えば公正証書遺言にするのが確実です。そうしちゃったらミステリーとしておもしろくないということかもしれませんが、ちょっと非現実的に感じました。
あと、プロローグの「もうすぐだ。もうすぐ、僕の前から彼女を消した犯人に会える」(5ページ)は、不適切で、その場面にたどり着いて、これはないだろうと思いました。
知念実希人 実業之日本社文庫 2020年10月15日発行(単行本は2017年9月)
文体、分量、謎の程度など、軽く読むのにほどよい加減で、エンタメとして手頃な読み物です。
ただ、弁護士の立場から言わせてもらうと、自分が襲われる危険を感じながら、遺言を確実に実行させたいと考える人が、弁護士事務所で遺言を作成してそれを自分で持ち帰るというのは考えられません。遺言書を奪われる可能性を感じるなら、遺言書は弁護士に預ける、さらに言えば公正証書遺言にするのが確実です。そうしちゃったらミステリーとしておもしろくないということかもしれませんが、ちょっと非現実的に感じました。
あと、プロローグの「もうすぐだ。もうすぐ、僕の前から彼女を消した犯人に会える」(5ページ)は、不適切で、その場面にたどり着いて、これはないだろうと思いました。
知念実希人 実業之日本社文庫 2020年10月15日発行(単行本は2017年9月)
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