岡山で母と暮らしていた朋子が中学生となる1972年に芦屋に住む裕福な伯母夫婦に預けられ、1つ年下の従妹ミーナやコビトカバのポチ子らと過ごした1年をまばゆく懐かしい想い出として語る小説。
それまでの人生と隔絶した裕福な暮らしを夢のような楽しい日々として思い返す、ノスタルジー小説の王道を行く作品で、暗さや辛さとは無縁なものですから、読後感は軽く清々しい。
朋子と同学年となり、1972年を関西で過ごした私には、触れられるできごとや世相も懐かしく、物語世界に入りやすかったという点からも基本的には読みやすいものでした。
TIMEが「2024年の必読書100冊」に選んだ(日本人作家の作品としてはこの1冊だけだとか)という記事を見て、読んでみたのですが、そういった明るい青春ノスタルジー小説ということが評価されたのでしょうね。「ラジウム飲料」が体にいいということに何の疑問も呈されず、ミュンヘンオリンピックでのイスラエル選手団殺害事件について、もちろん選手たちが被害者であることはそのとおりですが、「イスラエルは迫害を生き延びたユダヤ人が作った国」としてイスラエルが100%正しいみたいなことを無邪気に言えるセンスがアメリカ人に評判がいいのかなと勘ぐってみたりもしますが。
小川洋子 中公文庫 2009年6月25日発行(単行本は2006年4月)
読売新聞連載
谷崎潤一郎賞受賞作
それまでの人生と隔絶した裕福な暮らしを夢のような楽しい日々として思い返す、ノスタルジー小説の王道を行く作品で、暗さや辛さとは無縁なものですから、読後感は軽く清々しい。
朋子と同学年となり、1972年を関西で過ごした私には、触れられるできごとや世相も懐かしく、物語世界に入りやすかったという点からも基本的には読みやすいものでした。
TIMEが「2024年の必読書100冊」に選んだ(日本人作家の作品としてはこの1冊だけだとか)という記事を見て、読んでみたのですが、そういった明るい青春ノスタルジー小説ということが評価されたのでしょうね。「ラジウム飲料」が体にいいということに何の疑問も呈されず、ミュンヘンオリンピックでのイスラエル選手団殺害事件について、もちろん選手たちが被害者であることはそのとおりですが、「イスラエルは迫害を生き延びたユダヤ人が作った国」としてイスラエルが100%正しいみたいなことを無邪気に言えるセンスがアメリカ人に評判がいいのかなと勘ぐってみたりもしますが。
小川洋子 中公文庫 2009年6月25日発行(単行本は2006年4月)
読売新聞連載
谷崎潤一郎賞受賞作
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