リンカーンの後部座席を事務所代わりに違法すれすれ(私の感覚ではすでに違法に思えますが)の手段を用いながら麻薬の売人や娼婦らの事件で司法取引で減刑を勝ち取っていくちょい悪敏腕弁護士マイクル・ハラーを主人公とするリーガル・サスペンス。
日本語訳は2009年の出版ですが、2012年の映画公開を機に読んでみました。
真犯人と思われる被告人を無実と主張する弁護、依頼者である被告人の罠にはめられて脅される、かつて証拠上勝ち目がないと判断して死刑を免れさせるために説得して有罪答弁をさせて司法取引で無期懲役にした服役囚が本当に無実とわかるという弁護士にとっては悪夢といえる状況が二重三重に訪れる設定で、弁護士としてはいろいろと考えさせられます。
法廷シーンが多く、弁護技術・尋問技術という観点からも弁護士としては参考にもなりまた興味深く読めます。ただ、アメリカの刑事司法制度からすると、ディスカバリーがあるのにそれがまったく描かれずディスカバリーの手続を経ていればこういう事態が訪れるのかに疑問を感じ、ちょっと首をひねる場面もありました。
そういう部分をとりあえず無視すれば、リーガルサスペンスとしての読み味はいい。これ1作で判断するのはちょっと早計な感じはしますが、展開のテンポのよさと主人公が危険にさらされる度合いとかからはスティーヴ・マルティニっぽい作風かなと思えます。日本語訳がもう1作品あるようですので、ちょっと期待してみたいと思います。
原題:THE LINCOLN LAWYER
マイクル・コナリー 訳:古沢嘉通
講談社文庫 2009年6月12日発行 (原書は2005年)
日本語訳は2009年の出版ですが、2012年の映画公開を機に読んでみました。
真犯人と思われる被告人を無実と主張する弁護、依頼者である被告人の罠にはめられて脅される、かつて証拠上勝ち目がないと判断して死刑を免れさせるために説得して有罪答弁をさせて司法取引で無期懲役にした服役囚が本当に無実とわかるという弁護士にとっては悪夢といえる状況が二重三重に訪れる設定で、弁護士としてはいろいろと考えさせられます。
法廷シーンが多く、弁護技術・尋問技術という観点からも弁護士としては参考にもなりまた興味深く読めます。ただ、アメリカの刑事司法制度からすると、ディスカバリーがあるのにそれがまったく描かれずディスカバリーの手続を経ていればこういう事態が訪れるのかに疑問を感じ、ちょっと首をひねる場面もありました。
そういう部分をとりあえず無視すれば、リーガルサスペンスとしての読み味はいい。これ1作で判断するのはちょっと早計な感じはしますが、展開のテンポのよさと主人公が危険にさらされる度合いとかからはスティーヴ・マルティニっぽい作風かなと思えます。日本語訳がもう1作品あるようですので、ちょっと期待してみたいと思います。
原題:THE LINCOLN LAWYER
マイクル・コナリー 訳:古沢嘉通
講談社文庫 2009年6月12日発行 (原書は2005年)