小学生の時の親友美園に他の友達ができて疎外感を感じていた中1の宗谷真帆が原因不明の尿意のために1時間も座っていられなくなり悩み続けるが、ある日市民会館の崖下の廃倉庫を改造した喫茶店「深海」にたどりつき、ひっそりと静かに時間不定で好きなお菓子やコーヒーを出して営業する素子とカメラ好きの娘ナオミと貝集めを続ける少年ユウタとつきあううちに心がほどけていくという青春小説。
多数派の歩む道を信じ明るい海しか知らない母親とそりが合わず、母親や父親の言うことを正論と認識しつつも、自分はそれにあわせてやっていけないと感じて悩む真帆が、暗くて静かな深海のような場所が居心地がいい人間もいるんだと知ることで心に余裕を取り戻していく姿が心地よい。一人一人が持つ悩みの重みとそれが一人一人違っても、人間はやはり独りじゃないことを知りたい、大勢となじめなくても一緒にやっていける仲間はどこかにいる、そう語る作者の柔らかな視線が感じられる作品です。
河合二湖 講談社 2011年6月16日発行
多数派の歩む道を信じ明るい海しか知らない母親とそりが合わず、母親や父親の言うことを正論と認識しつつも、自分はそれにあわせてやっていけないと感じて悩む真帆が、暗くて静かな深海のような場所が居心地がいい人間もいるんだと知ることで心に余裕を取り戻していく姿が心地よい。一人一人が持つ悩みの重みとそれが一人一人違っても、人間はやはり独りじゃないことを知りたい、大勢となじめなくても一緒にやっていける仲間はどこかにいる、そう語る作者の柔らかな視線が感じられる作品です。
河合二湖 講談社 2011年6月16日発行