河北町の字名に「岩木」がある。
「岩」と「木」なので地名としても違和感はなく、「木のある岩のところ」や「岩のような木」などからの地名としてもおかしくないのだが、これもアイヌ語だという一説がある。
「いわき」をアイヌ語で読むと「エ・ワク・イ」で、意味は「神々の・住む・ところ」となる。
高い山や大きな岩のある、神々しい場所をそう呼んできたのだろうか。
「岩木」も「岩城」も「磐城」も「いわき」も東北に多く分布する地名で、岩木山のように山間に多いことも確かなようだ。
アイヌの人々も、また縄文の人々も、自然のあらゆるものに神の存在を感じ、畏敬の念を以て接してきた。
特に山は獲物を与えてくれると同時に、災害を及ぼしたり災害から守ってくれたりする存在であったろう。そこに神をみたのは当然のことと思われる。
そこに特徴的な岩や木があれば尚のこと「神が住まいするところ」と感じたのではなかったろうか。だから「岩木」の当て字もまんざら外れてもいないということになろう。
「イワキ」と呼ばれる地区に神社や古い寺院があるとすれば、それはやはり、古来よりその地を神聖な場所ととらえてきたからではないだろうか。
古代より神聖な場所としてきた地に今住んでいる人々は、その地名の由来を知ることによって、自分の住んでいるところを「いいところだ」と自覚することができるのではないだろうか。