なあむ

やどかり和尚の考えたこと

僧力

2012年08月17日 21時23分55秒 | ふと、考えた

巷では「女子力」なる言葉が話題なそうな。

料理、洗濯、掃除や整理整頓などの能力、女性としての魅力、母性、やさしさなども含まれる「らしさ」を指すのでしょう。

お坊さんに置き換えて、「僧力」とすれば、それはどんな内容を指すでしょうか。

読む、書く、話す、能力は当然入るでしょうね。

お経をありがたく読むことができる。私の師父などは今だに「お経の読み声がよかった」と多くの方から懐かしがられています。

筆字を上手に書くことができる。これも師父は「位牌や塔婆の字はみんなが拝むのだから丁寧に書け」と言っていたものでした。

話すは、法話ですね。読経の後に何か一言話すことによって、檀信徒の信心を育てることになります。

この、読む、書く、話すがちゃんとできれば、お坊さんとしてそれほど批判されることはない、と教えてくれた老師がおりました。

こうした能力以外に、僧力としてあげるとすれば、態度、姿勢、雰囲気、人相などもあげられるかもしれません。

お坊さんから見ても、お坊さんらしい雰囲気の人というのがあります。

特に禅宗であれば、坐禅を基本とした背筋がピシッと伸びている人は雰囲気があると思います。

逆に、厳しさは感じられず、丸く暖かい雰囲気を醸し出す人。こちらも、居るだけで人を安心させるというお坊さんとしては大事な要素だと思います。

一番お坊さんとしてそぐわないのは、雰囲気に貪欲さが感じられることでしょうか。

だとすれば、欲が少ないというのも僧力になるかもしれません。

それから、人の痛みを想像できる共感力。争いを好まない静けさ。時流に流されない信念。仏の教えを理解する智慧。人の苦しみを放っておけない慈悲。などが僧力としてあげられるでしょう。

生まれつきの性格や人相というのもあるかもしれません。そして、お坊さんとして生きる、という覚悟。理想とするお坊さんとの道交の中で導かれる「薫習」など、僧力をつける方法もあります。

ひとりひとりのお坊さんの「僧力アップ」が世界を正しい方向に導くことになると信じています。

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