なあむ

やどかり和尚の考えたこと

福島に届ける仏法

2014年04月08日 22時48分02秒 | ふと、考えた

曹洞宗は今年度、昨年度に引き続き布施行を布教方針の柱にあげています。

一般的に考えれば、布施とは施しのことで、与えることの意味になりますが、道元禅師は「布施とは不貪なり」と教示しています。貪らないことが布施だという教えです。

だから、貪りの心がなければ、たとえ父母妻子に施すのも、自分のために使うのも布施になると展開をしているのです。花が咲くのも鳥が鳴くのも布施だと。

今この国で、最も苦しい状況に置かれているのは原発事故の被災者の方でしょう。

もちろん、苦しみは個人個人の問題であり、誰かと比べて1番2番と優劣をつける事柄ではないことは承知です。

しかし、突然襲ってきた地震、津波により家を失い家族を失い、原発事故で故郷を追われ、仕事を失いコミュニティが破壊され、更にその上に、事故の補償の問題で金銭的に差別感を生み、疑心暗鬼になり、親戚、友人関係まで精神的にバラバラにされてしまっている状況は、これまでにこの国の国民が経験したことのない数重苦と言わなければならないでしょう。

事故前まで、それぞれの生活の違いがありながら、お互い認め合って穏やかな社会を形成していたところへ、襲いかかってきた金銭による差別感、不公平感は、人工の津波のような被害ではないでしょうか。

金銭的な問題は、簡単に人の心と人間関係を変えてしまう大きな力をもっていると思います。恐ろしい力です。

人間が生きていくのにお金は必要です。しかし、人間は金銭によってのみ幸せを享受できるものではありません。

むしろ、金銭をはじめとする欲は、最も簡単に人間を破壊し、精神的に貧しくしてしまう毒なのです。

仏教が「三毒(貪欲、瞋恚、愚痴)」と示す、人間にとって害ある煩悩の筆頭に貪欲を挙げているのはそれ故でしょう。

そういう意味で、福島の原発被災の方々とその周辺の方々の精神的な苦しみは、人間の根本の煩悩を煽ってしまったところにあるのではないかと思っています。

その苦しみの中にいる人々に、仏教は何が説けるのか。

法ー仏の教えが、苦しむ人々を救う薬なのだとすれば、福島の方々へ届ける薬は何か。

何を伝えればいいのか。それを考えます。

簡単なことではないことは分かっています。

ですが、仮にも僧侶であるならば、ギリギリと頭を使い、歯ぎしりをしながら考える産みの苦しみを味わう責務があるのではないか。

誰も経験したことのない苦しみにも、仏教は全く役に立たないはずはない、と思っています。


第9回松林寺集中講座

2014年04月08日 21時45分24秒 | 集中講座

第9回を迎えた松林寺集中講座、本日の実行委員会で事実上のスタートです。

昨年より6月第1日曜の開催となっています。

今年は6月1日(日)開催。

毎回、講演と音楽、そしてお笑いの三本柱でプログラムを組んでいますが、今回の講師陣は、

講座1,南相馬市、北屋形の神楽。

講座2,エッセイスト 朴慶南さんの講演。

講座3,入船亭扇遊師匠の落語。

の三講座です。

併せて、女川町出身の写真家齋藤伸さんの写真展を同時開催いたします。

更に、毎年好評の地産品即売もあります。

半径500メートルにミニFMの生中継もいたします。

入場料1500円、前売り1000円。電話・FAX・メールでの予約受付もいたします。

必要な方には、近くの赤倉温泉の宿の手配もいたします。

山菜のおいしい、最上地方最高の季節、命の洗たくに、是非お越しください。

お問い合わせは、0233-45-2833松林寺まで。

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