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やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ263 カメムシの逆襲 episode2

2020年05月17日 00時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ、第263回。5月17日、日曜日。

―カメムシが強力な能力を身につけて襲ってきた。人間とカメムシの新たな闘いが始まるー

ーまずは新型カメムシのニュースです。
中国の漢武を発生源とする新型カメムシの被害が拡大しています。
AB通信によりますと、新型カメムシは物流や人間の移動にともない国境を越えて世界に広まり、各地で被害が報告されています。イタリアなどヨーロッパ各地では人や物資の移動を禁じるロックダウンが始まっています。人間が襲われた場合はカメムシが出す液体によって皮膚がただれ、目に入った場合は失明になるケースも出ているとのことです。
アメリカのトリンプ大統領はTwitterで「これは中国の陰謀だ」と発言、それに対して中国外務省が「証拠を見せろ」と猛反発しています。一方フランスのマカロン大統領は海外からの入国禁止を発表。ドイツのメルカリ首相はテレビを通じて外出の自粛を呼びかけました。

ーここからは昆虫の生態に詳しい国立昆虫研究所の香川照之教授にお話を伺っていきます。
香川さん、新型カメムシはこれまでのものとどこが違うのでしょうか。
香:今回発生しているカメムシがこれまでのものと違うところは3点あります。その一つは飛行距離が格段に伸びたことです。これまでのカメムシは飛ぶというより跳ねるぐらいの距離しか飛べなかったのですが、新型のカメムシはバッタと同じぐらいの飛行能力があります。
二つ目は、体から発射される液体の毒性がとても強力だという点です。これまでもカメムシは、危険を察するとヘキサナールという液体を出していてこれがあのニオイの正体だったわけですが、それがとても強力になりしかも大量に発射されるようになりました。
三つめは、繁殖力が爆発的に増したということです。これまでのカメムシは春から秋に活動して夏に産卵するのでしたが新型カメムシは冬の間も冬眠せずに繁殖するようになりました。そのために大量発生が起きているのです。
ー人間を襲うというのは何か理由があるのでしょうか。
香:人間ばかりでなく、動物の発するわずかな二酸化炭素に寄って来るということです。それと体温ですね。その目的は動物や人間の毛の間に入り込んで移動する、中には卵を産み付けることもあります。人間がそれを払おうとするときに危険を感じたカメムシが体液を出しそれが害を及ぼしているのです。
ー体液が強力ということですがどんな症状が出ているのでしょうか。
香:液体が直接体に付着してしまった場合、はじめかゆみを覚えそれを掻くことによって毒が広がり、やがて皮膚がただれてくるという症状が現れます。目に入った場合は網膜を傷つけ最悪失明に至るケースも出ています。
ーこれまでの殺虫剤のようなものは効かないのでしょうか。
香:これまでに存在しなかった種類なので各国で試しているようですがこれといった薬剤はまだ出ていません。アメリカで開発されたバッタ駆除の薬剤ノンデシビレルがある程度の効果があることが分かり日本でも認可に向けて準備が進められています。
ー国の対策ですが、日本政府は緊急事態宣言を出して生活物資以外の物流の制限、不要不急の外出を控えること、人との接触を8割削減することを求めています。
香:カメムシの個体はちょっとした隙間に入り込んで物資と一緒に移動します。また、人間の衣服の隙間、袖口や襟口、ズボンやスカートの裾からも入り込んで移動します。もうすでに相当数日本に入って来ていると思った方がいいです。更に厄介なのは卵ですが、卵は人の移動によって広がりますから外出を控えることは自分の身を守るだけでなくこれ以上の発生を抑えるためにも必要だと思います
ー一般の人々はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
香:まずは外出から帰ったら衣服をすべて脱いでよくはたいてから家に入ること、掃除機で吸うとカメムシは掃除機の中で繁殖しますからやめてください。洗濯物に付いたまま取り込むこともありますから外には干さないほうがいいです。特に白い服に付くことが報告されています。それから手洗いうがい、無帽で出かけた場合は洗髪することも大事です。
ーシャンプーは普通のものでいいでしょうか。
香:基本的には洗い流すということですから普通のものでも構いませんが、卵を殺すためには先に木酢液かハッカ油で洗うという方法もあります。
ー頭髪を保護するために使い捨てのキャップを被る人が多いようですがこれは効果あるのでしょうか。また、使い捨てのキャップが不足して普通の帽子をかぶっている人もいますが、これは。
香:カメムシは髪の間に産卵しますから、それを防ぐためにはキャップは効果があります。帽子もビニール製のようなものであればいいと思いますが、布製のものはお勧めしません。スキンヘッドにする人も増えていますがこれは効果があると思います。
ー政府は国民の不安を解消するため布製のキャップを全国民に2枚ずつ配布する方針を固めたと発表しました。
香:布製といっても卵が付きにくい加工がされているものですが、ただ、洗って繰り返し使えると言っていますが、洗えばどんどん縮んで小さくなりますし加工がとれて毛羽だってきますので卵が付きやすくなります。
ーなぜ今この時期にカメムシの新型が発生したのでしょうか。その原因は何でしょうか。
香:地球温暖化の影響が大きいと思います。また、これまで人間はカメムシを嫌いその駆除のために様々な方法をとってきましたが、薬剤だとか灯油だとか、それらに耐性ができたということが考えられます。更には、経済中心のグローバル社会、地球上の生物に対する差別意識、人間ファーストで他の生物の存在を無視するような考え方に地球が警鐘を鳴らしているとも考えられます。全ての生物と共生する本来の命の在り方に立ち戻らないとこういった問題はこれからも繰り返さえることになるだろうと思います。
ーありがとうございました。ここまで新型カメムシについて香川さんとお伝えしました。次のニュースです…

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。