なあむ

やどかり和尚の考えたこと

地名とアイヌ語 11 一刎

2009年05月05日 17時34分19秒 | アイヌ語と地名

尾花沢から山刀伐峠を越えて最上町に入ると最初の集落を「一刎(ひとはね)」という。前々から気になっていた地名の一つだ。

地名由来の説もいくつかあって、①ひとまたぎできるほどの小川から、②昔、人(落ち武者か、山賊か、罪人か)の首をはねた場所から、というもの。

①は、分からないではないが、そんな場所はいたるところにあって、地名になるかどうか疑問。②は、近くにある山刀伐峠の伝説から派生した説のように思う。

「ハネ」は、羽田や赤羽などのように赤土を意味する「埴」を指す場合が多いので、当初そこからの地名かとも思った。

で、ずーっと気になっていたのだが、アイヌ語で読むとどうなるか。

ヒトハネの「ネ」は、サバネやオバネと同じように川をあらわす「ナイ」が詰まった形だと考えられる。

すると、「ヒト(あるいはシト、シット)」と「ハ」が分かれば解明できるのではないかと見当をつけ、調べてみた。

それらしい言葉があった。

「しト(si-tu)」(アイヌ語の表記では正式には「ト」に破裂音の゜がつく)は尾根で、「ハ(pa)」は向こう側という意味がある。

つまり、「シト・パ・ナイ」で尾根の向こう側の川というふうに読め、何となくアイヌ語の地名らしくなる。地形を見ると、確かに満澤側から見れば、尾根を一つ越えたところにある川のあたりが一刎だ。

もちろんこれは、私の自分勝手な解釈で、誰もそのように読んでいる人はいない。

日本語では意味不明の変わった地名も、漢字を充てて地名として残ったお陰で後世に掘り起こすことができる。


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