最上町は昭和29年に合併してできた町。その前身は東小国村と西小国村の二村だった。
この地は元々小国郷と呼ばれ、「小国駒」の名で名馬産地でもあった。
「小国」の地名は東北各地や九州にも散在する。日本語で読めば、「小さな国」で、大きな町にたいして「こぢんまりした土地」というように考えられるが、果たして、そこに住んでいる人が、自分の住んでいるところを他所と比べて「小さな土地」などと呼ぶだろうか。大きな町の側からの呼び名だと考えても、それを素直にそのまま地名とするだろうか。しかも、「小国郷」は面積としてはかなり大きな土地と言ってもよく、そのままの意味では合わないように思われる。
大友幸男は、「小国」もアイヌ語からの言葉ではないかと推測している。
アイヌ語で読むとすると「オ・クン・イ」で「そこに・我ら・住むところ」となる。山や川の猟場に対して、居住する場所という意味だろうか。
元々「クニ」はアイヌ語の「クン・イ」(我ら住むところ)からきたと考えられ、「ムラ」は群がる・群れからの言葉だと言われている。
「クニ訛り」や「クニのおふくろ」などという場合は「国」ではなく、生まれた「故郷」という意味に使われる。それが次第に「日本国」の「国」に拡大していったものと考えられている。つまり、自分の住む場所、という意味が「クニ」にはあるようだ。
だとすれば、やはり「小国」はアイヌ語からの呼び名ではないのか。
日本語の漢字になってしまうと、漢字の意味が先行して、その意味が地名の理由にされてしまうことが多い。もちろんそういう場合もあるのだろうが。
しかし、文字をもたなかった人々が古来より住んで、呼び習わしてきた土地の名に思いを馳せると、その生活が垣間見えるようで、想像することが楽しくなる。
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