★夏めくや庭土昼の日をはじき 星野立子
★蜂ぶらと脚下げて飛ぶ夏めく日 上野章子
★仰ぎ見る窓みなやさし夏めく日 飯田龍太
「夏めく」には少し日が立ち過ぎたかもしれない。あるいは立夏の期間だから今の季節という主張もある。何を「夏めく」とするか、が俳句だという逆転の指摘もある。
第1句、土は光を吸収するものなのだが、ある角度から見ると反射光が眩しいことがある。多分梅雨前の湿気の少ない日、地面も乾燥しているときに感じる「夏めく」。
第2句、第1句よりもこちらの句のほうが私には「詩」を感じる。この蜂は青空と白い雲を背景に飛んでいる。観察の細やかさと同時に、孤独な蜂の営みが空をバックに浮き出てくる。鉢に作者は自分の人生を重ねて見ている。何も事件は起こりそうもない情景に孤独の影が浮かんでくる。
第3句、梅雨明けの強烈な太陽の陽射しは、仰ぎ見る人を刺す。この時期の窓の反射光には受け入れてもらえそうな気がする。読む人にとっては、「窓」はひょっとしたら「社会」の喩かもしれない。
本日はわたくしの勝手読みの3句である。