メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『アルゴ探検隊の大冒険』

2008-08-23 23:55:55 | 映画
『アルゴ探検隊の大冒険』~Jason and the Argonauts(1963)イギリス・アメリカ
監督:ドン・チャフィ
出演:トッド・アームストロング、ナンシー・コヴァック、ゲイリー・レイモンド、オナー・ブラックマン、ローレンス・ネイスミス、ニオール・マッギニス、マイケル・グウィン、ダグラス・ウィルマー、ジャック・グイリム、パトリック・トラウトン、ナイジェル・グリーン ほか

もはや言うまでもなく、近所のレンタル屋の1週間100円VHSシリーズ。
先日観た『シンドバッド 黄金の航海』と同じく特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼン製作。彼の最高傑作とのこと。
ギリシア神話のイアソン率いるアルゴ船探検隊(アルゴナウタイ)の冒険を描いたもの。
ゼウスをはじめ、その妻ヘラ、ヘルメスなどなど一度は耳にしたことのあるキャラがたくさん出てくる。
ちなみにヘルメスは双子座の守護神。商人、旅人、使者の神であり、翼の生えた靴を履いてる「情報伝達」の神様。太陽系では「水星」(エルメスのブランド名はこの神にちなんだとか
ヘラクレスもなにげに好き。生まれたばかりでもう蛇を掴み殺したっていう怪力の逸話がたくさんある。
ギリシア神話に登場する神々はとっても人間臭さがあって面白い。
人間もまた、現代よりずっと神の世界に近いところで暮らしていた頃のお話。

story
ペリアスは預言者に「国を奪って王位に就いても、片足がはだしの男に殺されるだろう」と言われる。
王位に就いて20年後、預言通り前国王の王子ジェイソンが成人して国を立て直そうとやってくると、
「病気を治し、死人を生き返らせるという黄金の羊の毛皮があれば国民は永遠の幸せと平和が得られるだろう」と彼を決死の旅へ追いやる。
女神ヘラはジェイソンのために5つの願いを聞くことを約束。毛皮のある場所は地の果てコルキスだと教える。
ジェイソンはゼウスの助けを断って、力自慢の競技大会を開いて勇者を集め、丈夫な船を造らせて航海に出る。
水と食糧の調達に降りた島ではヘラクレスが神の宝物を盗んだため青銅の巨人ティロスが目覚める!
預言者を救うために怪鳥を捕えたり、崩れる岸壁を通り抜ける時にも海の神さまが助けてくれたり(カッチョいい!
コルキスにたどり着き、女神官の助けを得て、7本の首を持つ竜を倒して毛皮を盗り、
ガイコツの剣士とも戦って、帰途に着く。

今作で一番カッコよかったのは、青銅の巨人ティロス(写真)。
神さまが作った巨大な銅像が立ち上がって、ジェイソンらの乗る船をぶん回したりするんだけど、
踵にフタがあって、それを開けたらプシューって白煙が出て、一気にパワーダウン
本人も「・・・あれ???」て感じに踵を見るシーンが可笑しいw
神話のアキレウスの踵同様、彼のウィークポイントだったみたい。

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『キャラクター』

2008-08-23 16:33:28 | 映画
『キャラクター』~Karakter(1996)オランダ
監督:マイケ・ファン・ディム
出演:ヤン・デクレール、フェジャ・ファン・フエット、ベティ・スフィールマン、ビクトー・ロウ、タマル・ファン・デン・ドップ

いまさら言うまでもなく、近所のレンタル屋の1週間100円VHSシリーズです。
ぶくろのTSUTAYA もVHSを大量に売りに出してたな(買う気はないが
きっと、新宿のTSUTAYA 本店が在庫の数も種類も一番充実してると思うけど、
せめてDVD化されるまでは、VHSで残ってる貴重な作品を処分せずにいて欲しいっ!(切願

「1997年のアカデミー外国語映画賞を受賞した全世界を驚嘆させた最高のミステリー!!」
ってジャケのふれこみに魅かれて借りてみた。
20年代のロッテルダムが舞台らしい。暗くて湿気の多そうな貧民街と、
弁護士事務所のある明るい陽射しに輝く開放的な街のまったく対照的な画面づくりが見事。

story
貧困層の住む区域を圧倒的な権力で牛耳るドレイブルハーブン殺人容疑で逮捕されたヤコブは、
事情聴取で生い立ちを語り始める。
ドレイブルハーブン宅で女中として働いていたヨバと一度限りの関係で生まれたヤコブ。
懐妊後すぐ辞めて離れた町で母親手ひとつで育てるが、「いつ結婚する?」と一言だけ書かれた手紙と
生活費が執拗に届けられても断固として断りつづけた母。理由はいつも「必要ない」
無口で性格が真逆な母の元を離れるべく、金貸しから大金を借りて煙草屋を始めようとして失敗。
ヤコブは破産手続きで訪れた弁護士事務所に運命を感じて、得意の語学を生かして職を得る。
弁護士を目指して勉強の日々。同僚のローナに想いを寄せるも、突然姿を消す。。

なぜ息子に構うのか?というヨバの問いに、父である男の答えは「苦しめて、苦しめて、鍛えるのだ」
母も父も謎に包まれた人物で、何も語らないが故に人を惹きつけ、作品を引っ張ってゆく。
親殺しの謎解きより、親子の愛情の形にもいろいろあるってことに考えさせられる。

どこにいても、何をしても、どんなに自分で努力したようでも、常に影には父親のパワーが潜んでいて、
親切そうに見えた同僚も、敵に見えた借金取立て人も、すべて父の計画のうちに見えてくるのが凄い。
でも、操っている父親自身もヨバを自由に出来ず、何か見えない力で動かされているようで、
人智など取るに足らないもので、もっと壮大な計画によってみな動かされている存在なんだってことに気づかされる。

そこまでして息子を弁護士にしたかった父親の意図は?タイトルの意味は???
謎が謎のまま永久凍結されたような話だった。

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