過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はディランの切り抜きが貼られた黄色いノートからご紹介。
まだまだコメディブームは続いて、クラシックにも波及していった。
photo1:図書館で借りたビデオの解説書をコピーして貼ってる
これはチャップリンだけど、私はキートンが好き。この年にキートンや、ダニー・ケイを知ったらしい/祝
photo2:フレンチ・オープンの記録。この年はグラフ、トマス・ムスターが優勝。
photo3:北海道旅行。おたる水族館、大通り公園、植物園などを見た。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『正義一直線』(1987)
監督:トム・マンキウィッツ 出演:ダン・エンクロイド、トム・ハンクス、クリストファ・プラマー ほか
SNLの同窓生2人が共演する刑事コメディ。元ネタはコミックシリーズらしいけど、
とにかくオールドファッションでお堅い刑事ジョーと、元ヒッピーで軽いノリのペップの
対照的なコンビが組んでペガンなる犯罪者集団を追う。
宗教がらみに毒ガス・・・ちょっと待って、最近世間を騒がせている大事件によく似てるじゃないか?
エンクロイドは超お堅いジョー役、早口の得意技が生きてる。トムは最近はドラマ志向、
『フォレストガンプ』で2度目のオスカー受賞で立派に俳優の仲間入り。
でも、やっぱり隣りのお兄ちゃん風の親しみやすさで、エルム街の悪夢のフレディ演技は笑える。
■『ルートヴィヒ 神々の黄昏』(1972)
監督:ルキノ・ビスコンティ 出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー ほか
ちょっと記憶が薄れてきた。ヴィスコンティ作品は、文学的で映像美は古典画のよう。
ちょっと肩が凝るハイレベルな会話、おまけに政治関連ときて、ついていけない感じ。
たぶん実在した王の歴史に基づいてると思うけど、同じ貴族でもある監督の視点もあって、
欺瞞に満ち、はてしなく孤独な王が愛されることもなく、疑心暗鬼の陰に追い詰められ、
近親相姦による精神異常の血筋である恐怖にも怯え、狂気、倒錯のはてに謎の死を遂げるまでをじっくり描いている。
ルートヴィヒ役の俳優のほか、美しい男優が目白押し。まあ、『ヴェニスの商人』の少年には敵わないけど。
特に主人公は希望と理想に燃える若き王から、次第に変わりゆく様子を熱演。
シェイクスピア悲劇ばりの品格ある作品。
ストーリーは現在進行形と、後々の側近らの証言とで成り立っている。
傀儡としての王族制ならやめちゃえばいいのにって思うけど、シンボルとして必要なのかしらね。
それにしても舞台はドイツ、役者は英語を喋っている上にイタリア語の吹き替えをかぶせてあるからなんとも妙な違和感。
イタリア語はあんまり文学的超大作向きじゃないなと思うのは偏見かしら?
ロミーも妙にあだっぽい声になっちゃってるからイメージへの影響が大きいと思うんだけど
■『アルジャーノに花束を』(1968)
原作:ダニエル・キイス 監督:ラルフ・ネルソン
出演:クリフ・ロバートソン、クレア・ブルーム、リリア・スカラ ほか
今や世界的な人気作家原作の映画化。日本でもキイスの作品は未だに書店の棚を埋めるベストセラーで
「多重人格」という言葉が話題となったのもこれらの影響。
この初期作品の主人公チャーリーは、精神薄弱、知的障害者であって、多重人格とは異なるけれども、
ニンゲンの脳の仕組みのフシギという視点、そしてこのような人々に世間の理解が薄く、
社会的にも人間的にもさげすまれている事実を描いていることは一貫したテーマだ。
自分の幻から逃れて走るシーンを迷路のネズミとだぶらせるあたりは上手い。
音のない静かな終わり方はむしろ心を動かし、仏映のようなエスプリを感じる。
『シルベールの日曜』のように、途中ワイルドになったチャーリーの妙な踊りとバイクシーンは
一気にブッ飛んだアメリカ・ニュー・シネマの世界だけど。
チャーリーは知力を持って幸せになれたかしら?
たしかに知力が人間とほかの動物との分岐点で、NOと言える意志と自由、物事をあるがままに捉え、人を愛することもできる。
でも、同時に不安と恐怖、現代社会が抱えるあらゆる悪とストレスも見えてしまう。
ラストシーンの子どもと一緒に遊ぶ彼の笑顔には、純粋な満足、楽しい気持ちがあふれている。
そんな彼らを笑う者こそ、捻じ曲がった心を抱える不幸な者なんだ。この邦題は美しい響きをもっていてイイ。
■『ライアンの娘』(1970)
監督:デビッド・リーン 出演:ロバート・ミッチャム、クリストファ・ジョーンズ、レオ・マッカーン、バリー・フォスター ほか
ひと昔前の小説にある政治状況を背景とした女性の貞節の話。『緋文字』みたいな。
文学的にどうかなんて批評は恐れ多くてとてもできそうにないから、90年代の女性としてシンプルな感想を記録することにしよう。
女は妻として家にいるのが当たり前って考えで凝り固まった町。
「他になにかあるはず、夫、金、健康の他に」てセリフに、私は「楽しみ」があると思うな。
ストーリーを和ませる道化・マイケルが、戦争を続けざるを得ない兵士らの狂った世の中すべてを代弁している。
(この映画のミッチャムはセクシーだったなあ そっかヒロインのサラ・マイルズは『白い炎の女』の彼女だったのか!驚
■『拝啓、検察官閣下殿』(1949)
監督:ヘンリー・コスタ 出演:ダニー・ケイ、ウォルター・スレザク、バーバラ・ベイツ ほか
作詞・作曲・製作協力:シルヴィア・ファイン(ダニー・ケイ夫人)
ダニー・ケイは天才だ 芸人中の芸人。輝くブロンドに、青い瞳、スラリと高い背丈、高い鼻、
ルックスはバツグンで、真面目に歌えばオペラ歌手並なのに、ひとたび歌い出せばおもちゃ箱をひっくり返したように
次から次へと出てくる出てくるびっくり、可愛くて、可笑しな芸ばかり。
それほど出演作は多くないけど、1作品ごとに詰まってるパフォーマンスは、これ以上ないほど人々を楽しませる
これぞワン&オンリー。話によれば普段からしょっちゅう周りを笑わせている人だったとか。天性の賜物ってわけね。
夫人が作ったこれまたなんとも楽しい曲の数々が今作にも盛りだくさん
公私共に良きパートナー、まったくパーフェクトなカップルで羨ましい!
オーケストラのハデハデしい演奏はまさに'50年代ハリウッド。双子の郵便屋はイイね!
アザで見分けるのに自分たちもこんがらがって、やっとどっちか分かって「そうだったのか」なんて納得したりw
ダニー・ケイの情報をもっと集めなきゃ。ちなみに今作はあの楽しい『虹を掴む男』に続いて出演したものだそうな。
■『ウッドストック'94』
出演:DEL AMITRI, LIVE, COLLECTIVE SOUL, VIOLENT FEMMES, JOE COCKER, JAMES BLIND MELON, SHERYL CROW, CRANBERRIES, ZUCCHERO,
CYPRESS HILL, ROLLINS BAND, TRAFFIC, GREEN DAY, NINE INCH NAILS, SALTN' PEPA, METALLICA, AEROSMITH,
PORNO FOR PYROS, NEVILLE BROTHERS, BOB DYLAN, RED HOT CHILI PEPERS, PETER GABRIEL ほか
1日目はともかく、2日目はいにしえのウッドストックのスター、コッカー殿から始まる。
ずっと老けちゃってるのに驚いたけど、♪I'm feeling all right のブラックな音はなかなかイイ。
次のクランベリーズとやらは裏声の女の子。その次がまたすごいメロンとかいう人。
聴いてるほうも、ステージの連中もブッ飛んだショーだね。戦争を知らないラブ&ピース、ロックンロール・チルドレン。
ヒッピーでもない現代のMTV世代による、過去のウッドストックの焼き直し。というかトップチャートの連中を集めたフェスの1つ。
観客のウェイブならぬ大玉競争もあり。相変わらず泥んこの連中もいるし、一応35$も払っているらしい。
一緒に歌っている人もいるけど、みんな聴いてるのかな?て感じ。
ドラッグ解禁の場所。WSもヤッピーやアーティストの街に変わっちゃったんだね。
ミック・ジャガーと称するあのおやじさんは一体誰だったんだ?
観客は見る限りみんな白人。突然、そこにジャマイカ音楽。こうゆう個性も欲しいよね
ギターやドラムをコンピュータサウンドとすり変えても誰も気づかないかも。
これだけ大勢の観客を1つにまとめるには、攻撃性と扇動的になるしかない。2日目は雨
あの世からこの様子を見ているミュージシャンはどう思うかな。ジャニスや、ジミヘンは。同窓会じゃないもんね。
古顔のディランや、エアロスミスでさえWSのメンバじゃなかったし。
3日目のブルースはイイ。火を吹くお姉さんの大道芸まである。
ネヴィルbrosによる♪カム・トゥゲザー のハードロックver.にはビックリ!
きっとこれをジョンが聴いたら気に入ったと思うな。♪ハイウェイ61 までハードロック!!!
エレクトリックのディランには参った! 彼はこれがやりたかったんじゃない? でも最近また「アンプラグド」出したけど。
規模的には前回と同じか、それ以上の大祭典となったわけだけど、ラブ&ピースと言いつつ、
世界平和へのメッセージより、個人を解放する主旨のほうが強いみたい。25年経って音楽シーンも変わっていった。
次なんかもまたあるのかな? その時は誰が残って、どんな新しいムーブメントが起こっているのか?
今回もチケなしでもぐりこんだ人もかなりいたみたい。今回は採算合ったのか?
前回のビデオは、ステージとオフステージのドラマが半々だったのに比べて、
今回はライトがギンギンに当たったステージとその他大勢って感じ。
これを観て、俺も音楽やるぞー!て奴もまた出てきて、WS'94世代ってのも活躍する時代もくるんだろうね。
こうして何度も再生し、受け継がれていってる。どんなに形が変わろうと、ロックバンザイ!ってお祭り。
■『アンディ・ウォーホルのフランケンシュタイン』(1973)
監督:ポール・モリセイ 出演:ジョー・ダレッサンドロ、ウド・ギアー ほか
ウォーホルがこんなスタンダードホラー映画のリメイクに関係していたのは意外。
こんな企画をわざわざ取り上げてくれたBSに感謝。でもアンディがどこまで製作にタッチしてたかは不明。
モリセイが監督だから彼独自の作品として観たほうが正解かも。
しかし見事にスプラッタしてるね。内臓づくしってとこ
で、姉弟が夫婦だったり、姉が色情魔で、男ゾンビがどことなくゲイ風なのは、いかにもファクトリー色がにじみ出てる。
出ている俳優がこれまた美形、長髪ぞろい。子役までもが妖しい魅力でアングラホラーって感じ。
イタリア・フランフ映画? 確かに訛りはキツいけど立派にアメリカ映画だ。
美しい肉体を自ら作り上げて自分の命令どおりに動かすってゆうのは、そんなに人を惹きつけるものかね。
しかし考えてみると、脳や体の各パーツは別人の組み合わせだから、その子どもは必ずしも完璧じゃないんじゃないか?
医学のプロにしてはおかしな推論だ。どんなにキスしても反応しなくて、何度もキスさせるシーンなんかユーモアもあるけど、
やっぱこんなにはらわたを出さなくてもいいのではないかい? 退廃的でアートな雰囲気はやっぱある。
■『アンディ・ウォーホルのドラキュラ』(1974)
監督:ポール・モリセイ 出演:ジョー・ダレッサンドロ、ウド・ギアー ほか
前と同じスタッフ、キャスティング、したがってほとんど同じトーンのスプラッタなんだな
この2本立てを劇場の大スクリーンで続けざまに観せられた日にゃたまんない!
気が滅入るほど血どろどろなんだ。ここまでくると笑っちゃうしかない。
なんといってもちょっとジョン・ローンを思わせる異色の魅力を放つギアと、その助手役のコンビが実に危ない。
完全にキレてる。普段からこうだったら絶対近付きになりたくない。
あくまで処女にこだわって4姉妹の館に行き、次々と試していくんだけど、ことごとく外れ。
そのはず唯一の雇い人がウォーホル畑の美青年で彼が全部手をつけてたんだもの!お気の毒さま。
“純潔の愛”を高らかに歌い上げたコッポラがこれを観たらさぞかし怒ることだろう。
太陽の下も案外平気だし、十字架もつまめる!、祭壇も避けながら、結構大丈夫な吸血鬼じゃん。
ま、最初の始まり方、ドラキュラが完璧メイクしても鏡に自分が映らないってゆうのはスゴイ。
自分がどんな顔か一度も見たことないことになるよね。でも、そこは作り話、彼らはみなこの上なく美しい容姿。
■『クロウ 飛翔伝説』(1994)
監督:アレックス・プロヤス 出演:ブランドン・リー ほか
なるほどかつてないヒーローの誕生だ。なんとも哀しく、なんとも美しい。
闇を飛び、不死身でありながら、復讐のためだけに蘇ったロックスターの魂。
これほど人間味にあふれたキャラをもつヒーローは今までにない。
今作は撮影中に亡くなったブランドンとエルザに捧げられている。エルザとは母だろうか?
またハリウッド映画はスターを失ったわけだ。興行的には大成功。
他の作品と同じく、ラストシーンまでリーが演じているがどのシーンで亡くなったのだろうか?
どのシーンでもおかしくないほどリアルな撃ち合いのシーンは何度もあり。
最近はスタントも使わず俳優本人が演じて絶賛される傾向にある。
過激なバイオレンスシーンはますます過激に、リアルになる一方で、これからも起こり得る事故だ。
アクションだけでなく、道に炎で浮かび上がる鳥の絵のシーンなど見とれてしまう演出の数々も見どころ。
夜の街でエレキギターを弾く超人ヒーローなどなかなかいない。
この若さで、これからメジャーで活躍する可能性が開けた主演第1作で亡くなるなんてなにかの呪いとしか思えないリー一家。
「ビルは焼け灰となるが本当に愛し続けるなら真実の愛は永遠に続く」
もうひとつ屋上を高速で駆け抜けるシーンもスゴイ。
■『ブローン・アウェイ 復讐の序曲』(1994)
監督:スティーブン・ホプキンス 出演:トミー・リー・ジョーンズ ほか
今ノリノリのハリウッドドル箱スター、ジョーンズと『フィアレス』で熱演を魅せたジェフ・ブリッジスの演技対決と、
『バックドラフト』を超える芸術作品ともいえる爆弾仕掛けの数々
都市の夜に突如現れる真っ赤なキノコ型の炎は、恐怖をこえて美しささえ感じる。
ラストのテロップに亡くなった3人と巻き添えになった千人余りの追悼が捧げられているが、実話に基づいた話なんだろうか?
ジョーンズが特に怪演で大活躍。U2にのって踊るシーンまである。
アイリッシュ訛りで家族に近付くあたりは『ケープフィア』のデ・ニーロを思わせる。
ビデオの中ではいろんなマスクでいろんな変装を楽しんで、こんな柔らかい演技もイイ。
最後はなんとジョー・コッカーが力強いこぶしを聴かせてくれる。
新人の男が聞いていたのはアレサ・フランクリンだったし音楽の使い方も粋
今回はディランの切り抜きが貼られた黄色いノートからご紹介。
まだまだコメディブームは続いて、クラシックにも波及していった。
photo1:図書館で借りたビデオの解説書をコピーして貼ってる
これはチャップリンだけど、私はキートンが好き。この年にキートンや、ダニー・ケイを知ったらしい/祝
photo2:フレンチ・オープンの記録。この年はグラフ、トマス・ムスターが優勝。
photo3:北海道旅行。おたる水族館、大通り公園、植物園などを見た。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『正義一直線』(1987)
監督:トム・マンキウィッツ 出演:ダン・エンクロイド、トム・ハンクス、クリストファ・プラマー ほか
SNLの同窓生2人が共演する刑事コメディ。元ネタはコミックシリーズらしいけど、
とにかくオールドファッションでお堅い刑事ジョーと、元ヒッピーで軽いノリのペップの
対照的なコンビが組んでペガンなる犯罪者集団を追う。
宗教がらみに毒ガス・・・ちょっと待って、最近世間を騒がせている大事件によく似てるじゃないか?
エンクロイドは超お堅いジョー役、早口の得意技が生きてる。トムは最近はドラマ志向、
『フォレストガンプ』で2度目のオスカー受賞で立派に俳優の仲間入り。
でも、やっぱり隣りのお兄ちゃん風の親しみやすさで、エルム街の悪夢のフレディ演技は笑える。
■『ルートヴィヒ 神々の黄昏』(1972)
監督:ルキノ・ビスコンティ 出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー ほか
ちょっと記憶が薄れてきた。ヴィスコンティ作品は、文学的で映像美は古典画のよう。
ちょっと肩が凝るハイレベルな会話、おまけに政治関連ときて、ついていけない感じ。
たぶん実在した王の歴史に基づいてると思うけど、同じ貴族でもある監督の視点もあって、
欺瞞に満ち、はてしなく孤独な王が愛されることもなく、疑心暗鬼の陰に追い詰められ、
近親相姦による精神異常の血筋である恐怖にも怯え、狂気、倒錯のはてに謎の死を遂げるまでをじっくり描いている。
ルートヴィヒ役の俳優のほか、美しい男優が目白押し。まあ、『ヴェニスの商人』の少年には敵わないけど。
特に主人公は希望と理想に燃える若き王から、次第に変わりゆく様子を熱演。
シェイクスピア悲劇ばりの品格ある作品。
ストーリーは現在進行形と、後々の側近らの証言とで成り立っている。
傀儡としての王族制ならやめちゃえばいいのにって思うけど、シンボルとして必要なのかしらね。
それにしても舞台はドイツ、役者は英語を喋っている上にイタリア語の吹き替えをかぶせてあるからなんとも妙な違和感。
イタリア語はあんまり文学的超大作向きじゃないなと思うのは偏見かしら?
ロミーも妙にあだっぽい声になっちゃってるからイメージへの影響が大きいと思うんだけど
■『アルジャーノに花束を』(1968)
原作:ダニエル・キイス 監督:ラルフ・ネルソン
出演:クリフ・ロバートソン、クレア・ブルーム、リリア・スカラ ほか
今や世界的な人気作家原作の映画化。日本でもキイスの作品は未だに書店の棚を埋めるベストセラーで
「多重人格」という言葉が話題となったのもこれらの影響。
この初期作品の主人公チャーリーは、精神薄弱、知的障害者であって、多重人格とは異なるけれども、
ニンゲンの脳の仕組みのフシギという視点、そしてこのような人々に世間の理解が薄く、
社会的にも人間的にもさげすまれている事実を描いていることは一貫したテーマだ。
自分の幻から逃れて走るシーンを迷路のネズミとだぶらせるあたりは上手い。
音のない静かな終わり方はむしろ心を動かし、仏映のようなエスプリを感じる。
『シルベールの日曜』のように、途中ワイルドになったチャーリーの妙な踊りとバイクシーンは
一気にブッ飛んだアメリカ・ニュー・シネマの世界だけど。
チャーリーは知力を持って幸せになれたかしら?
たしかに知力が人間とほかの動物との分岐点で、NOと言える意志と自由、物事をあるがままに捉え、人を愛することもできる。
でも、同時に不安と恐怖、現代社会が抱えるあらゆる悪とストレスも見えてしまう。
ラストシーンの子どもと一緒に遊ぶ彼の笑顔には、純粋な満足、楽しい気持ちがあふれている。
そんな彼らを笑う者こそ、捻じ曲がった心を抱える不幸な者なんだ。この邦題は美しい響きをもっていてイイ。
■『ライアンの娘』(1970)
監督:デビッド・リーン 出演:ロバート・ミッチャム、クリストファ・ジョーンズ、レオ・マッカーン、バリー・フォスター ほか
ひと昔前の小説にある政治状況を背景とした女性の貞節の話。『緋文字』みたいな。
文学的にどうかなんて批評は恐れ多くてとてもできそうにないから、90年代の女性としてシンプルな感想を記録することにしよう。
女は妻として家にいるのが当たり前って考えで凝り固まった町。
「他になにかあるはず、夫、金、健康の他に」てセリフに、私は「楽しみ」があると思うな。
ストーリーを和ませる道化・マイケルが、戦争を続けざるを得ない兵士らの狂った世の中すべてを代弁している。
(この映画のミッチャムはセクシーだったなあ そっかヒロインのサラ・マイルズは『白い炎の女』の彼女だったのか!驚
■『拝啓、検察官閣下殿』(1949)
監督:ヘンリー・コスタ 出演:ダニー・ケイ、ウォルター・スレザク、バーバラ・ベイツ ほか
作詞・作曲・製作協力:シルヴィア・ファイン(ダニー・ケイ夫人)
ダニー・ケイは天才だ 芸人中の芸人。輝くブロンドに、青い瞳、スラリと高い背丈、高い鼻、
ルックスはバツグンで、真面目に歌えばオペラ歌手並なのに、ひとたび歌い出せばおもちゃ箱をひっくり返したように
次から次へと出てくる出てくるびっくり、可愛くて、可笑しな芸ばかり。
それほど出演作は多くないけど、1作品ごとに詰まってるパフォーマンスは、これ以上ないほど人々を楽しませる
これぞワン&オンリー。話によれば普段からしょっちゅう周りを笑わせている人だったとか。天性の賜物ってわけね。
夫人が作ったこれまたなんとも楽しい曲の数々が今作にも盛りだくさん
公私共に良きパートナー、まったくパーフェクトなカップルで羨ましい!
オーケストラのハデハデしい演奏はまさに'50年代ハリウッド。双子の郵便屋はイイね!
アザで見分けるのに自分たちもこんがらがって、やっとどっちか分かって「そうだったのか」なんて納得したりw
ダニー・ケイの情報をもっと集めなきゃ。ちなみに今作はあの楽しい『虹を掴む男』に続いて出演したものだそうな。
■『ウッドストック'94』
出演:DEL AMITRI, LIVE, COLLECTIVE SOUL, VIOLENT FEMMES, JOE COCKER, JAMES BLIND MELON, SHERYL CROW, CRANBERRIES, ZUCCHERO,
CYPRESS HILL, ROLLINS BAND, TRAFFIC, GREEN DAY, NINE INCH NAILS, SALTN' PEPA, METALLICA, AEROSMITH,
PORNO FOR PYROS, NEVILLE BROTHERS, BOB DYLAN, RED HOT CHILI PEPERS, PETER GABRIEL ほか
1日目はともかく、2日目はいにしえのウッドストックのスター、コッカー殿から始まる。
ずっと老けちゃってるのに驚いたけど、♪I'm feeling all right のブラックな音はなかなかイイ。
次のクランベリーズとやらは裏声の女の子。その次がまたすごいメロンとかいう人。
聴いてるほうも、ステージの連中もブッ飛んだショーだね。戦争を知らないラブ&ピース、ロックンロール・チルドレン。
ヒッピーでもない現代のMTV世代による、過去のウッドストックの焼き直し。というかトップチャートの連中を集めたフェスの1つ。
観客のウェイブならぬ大玉競争もあり。相変わらず泥んこの連中もいるし、一応35$も払っているらしい。
一緒に歌っている人もいるけど、みんな聴いてるのかな?て感じ。
ドラッグ解禁の場所。WSもヤッピーやアーティストの街に変わっちゃったんだね。
ミック・ジャガーと称するあのおやじさんは一体誰だったんだ?
観客は見る限りみんな白人。突然、そこにジャマイカ音楽。こうゆう個性も欲しいよね
ギターやドラムをコンピュータサウンドとすり変えても誰も気づかないかも。
これだけ大勢の観客を1つにまとめるには、攻撃性と扇動的になるしかない。2日目は雨
あの世からこの様子を見ているミュージシャンはどう思うかな。ジャニスや、ジミヘンは。同窓会じゃないもんね。
古顔のディランや、エアロスミスでさえWSのメンバじゃなかったし。
3日目のブルースはイイ。火を吹くお姉さんの大道芸まである。
ネヴィルbrosによる♪カム・トゥゲザー のハードロックver.にはビックリ!
きっとこれをジョンが聴いたら気に入ったと思うな。♪ハイウェイ61 までハードロック!!!
エレクトリックのディランには参った! 彼はこれがやりたかったんじゃない? でも最近また「アンプラグド」出したけど。
規模的には前回と同じか、それ以上の大祭典となったわけだけど、ラブ&ピースと言いつつ、
世界平和へのメッセージより、個人を解放する主旨のほうが強いみたい。25年経って音楽シーンも変わっていった。
次なんかもまたあるのかな? その時は誰が残って、どんな新しいムーブメントが起こっているのか?
今回もチケなしでもぐりこんだ人もかなりいたみたい。今回は採算合ったのか?
前回のビデオは、ステージとオフステージのドラマが半々だったのに比べて、
今回はライトがギンギンに当たったステージとその他大勢って感じ。
これを観て、俺も音楽やるぞー!て奴もまた出てきて、WS'94世代ってのも活躍する時代もくるんだろうね。
こうして何度も再生し、受け継がれていってる。どんなに形が変わろうと、ロックバンザイ!ってお祭り。
■『アンディ・ウォーホルのフランケンシュタイン』(1973)
監督:ポール・モリセイ 出演:ジョー・ダレッサンドロ、ウド・ギアー ほか
ウォーホルがこんなスタンダードホラー映画のリメイクに関係していたのは意外。
こんな企画をわざわざ取り上げてくれたBSに感謝。でもアンディがどこまで製作にタッチしてたかは不明。
モリセイが監督だから彼独自の作品として観たほうが正解かも。
しかし見事にスプラッタしてるね。内臓づくしってとこ
で、姉弟が夫婦だったり、姉が色情魔で、男ゾンビがどことなくゲイ風なのは、いかにもファクトリー色がにじみ出てる。
出ている俳優がこれまた美形、長髪ぞろい。子役までもが妖しい魅力でアングラホラーって感じ。
イタリア・フランフ映画? 確かに訛りはキツいけど立派にアメリカ映画だ。
美しい肉体を自ら作り上げて自分の命令どおりに動かすってゆうのは、そんなに人を惹きつけるものかね。
しかし考えてみると、脳や体の各パーツは別人の組み合わせだから、その子どもは必ずしも完璧じゃないんじゃないか?
医学のプロにしてはおかしな推論だ。どんなにキスしても反応しなくて、何度もキスさせるシーンなんかユーモアもあるけど、
やっぱこんなにはらわたを出さなくてもいいのではないかい? 退廃的でアートな雰囲気はやっぱある。
■『アンディ・ウォーホルのドラキュラ』(1974)
監督:ポール・モリセイ 出演:ジョー・ダレッサンドロ、ウド・ギアー ほか
前と同じスタッフ、キャスティング、したがってほとんど同じトーンのスプラッタなんだな
この2本立てを劇場の大スクリーンで続けざまに観せられた日にゃたまんない!
気が滅入るほど血どろどろなんだ。ここまでくると笑っちゃうしかない。
なんといってもちょっとジョン・ローンを思わせる異色の魅力を放つギアと、その助手役のコンビが実に危ない。
完全にキレてる。普段からこうだったら絶対近付きになりたくない。
あくまで処女にこだわって4姉妹の館に行き、次々と試していくんだけど、ことごとく外れ。
そのはず唯一の雇い人がウォーホル畑の美青年で彼が全部手をつけてたんだもの!お気の毒さま。
“純潔の愛”を高らかに歌い上げたコッポラがこれを観たらさぞかし怒ることだろう。
太陽の下も案外平気だし、十字架もつまめる!、祭壇も避けながら、結構大丈夫な吸血鬼じゃん。
ま、最初の始まり方、ドラキュラが完璧メイクしても鏡に自分が映らないってゆうのはスゴイ。
自分がどんな顔か一度も見たことないことになるよね。でも、そこは作り話、彼らはみなこの上なく美しい容姿。
■『クロウ 飛翔伝説』(1994)
監督:アレックス・プロヤス 出演:ブランドン・リー ほか
なるほどかつてないヒーローの誕生だ。なんとも哀しく、なんとも美しい。
闇を飛び、不死身でありながら、復讐のためだけに蘇ったロックスターの魂。
これほど人間味にあふれたキャラをもつヒーローは今までにない。
今作は撮影中に亡くなったブランドンとエルザに捧げられている。エルザとは母だろうか?
またハリウッド映画はスターを失ったわけだ。興行的には大成功。
他の作品と同じく、ラストシーンまでリーが演じているがどのシーンで亡くなったのだろうか?
どのシーンでもおかしくないほどリアルな撃ち合いのシーンは何度もあり。
最近はスタントも使わず俳優本人が演じて絶賛される傾向にある。
過激なバイオレンスシーンはますます過激に、リアルになる一方で、これからも起こり得る事故だ。
アクションだけでなく、道に炎で浮かび上がる鳥の絵のシーンなど見とれてしまう演出の数々も見どころ。
夜の街でエレキギターを弾く超人ヒーローなどなかなかいない。
この若さで、これからメジャーで活躍する可能性が開けた主演第1作で亡くなるなんてなにかの呪いとしか思えないリー一家。
「ビルは焼け灰となるが本当に愛し続けるなら真実の愛は永遠に続く」
もうひとつ屋上を高速で駆け抜けるシーンもスゴイ。
■『ブローン・アウェイ 復讐の序曲』(1994)
監督:スティーブン・ホプキンス 出演:トミー・リー・ジョーンズ ほか
今ノリノリのハリウッドドル箱スター、ジョーンズと『フィアレス』で熱演を魅せたジェフ・ブリッジスの演技対決と、
『バックドラフト』を超える芸術作品ともいえる爆弾仕掛けの数々
都市の夜に突如現れる真っ赤なキノコ型の炎は、恐怖をこえて美しささえ感じる。
ラストのテロップに亡くなった3人と巻き添えになった千人余りの追悼が捧げられているが、実話に基づいた話なんだろうか?
ジョーンズが特に怪演で大活躍。U2にのって踊るシーンまである。
アイリッシュ訛りで家族に近付くあたりは『ケープフィア』のデ・ニーロを思わせる。
ビデオの中ではいろんなマスクでいろんな変装を楽しんで、こんな柔らかい演技もイイ。
最後はなんとジョー・コッカーが力強いこぶしを聴かせてくれる。
新人の男が聞いていたのはアレサ・フランクリンだったし音楽の使い方も粋