メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

世界フィギュア国別対抗戦2013 女子フリー

2013-04-13 23:55:55 | フィギュアスケート
世界フィギュア国別対抗戦2013 女子フリー

【ペアフリー】
●デュハメル&ラドフォード(カナダ)

♪エンジェル トリプルツイスト(頭上で3回転させる)、2人で3×3に挑戦して女性が転倒。
コレオシークエンス、長身の男性と小柄な女性の組み合わせって相性がいいのかな?
長いスピンも合ってる。ペアも後半のほうが基礎点1.1倍。ポジション変えてのリフトが鮮やか。
女性のジャンプが決まらない。スピードが落ちやすい逆回転もスムーズ。スロウは成功。軽々と持ち上げるなあ!

●ボロソジャール&トランコフ(ロシア)

歴代世界最高得点を出した2人。♪バイオリンミューズ トリプルツイストは目にも止まらぬ速さで回った。
ジャンプで女性が転倒、次のジャンプもタイミングがズレた。男女での演技だと誇張した愛情表現が苦手なんだよね
とても高いスロー、バックワードラッソーリフト?名前も難しいのばかり
リフトの男性の脚がワンフットのはずが不安定なのもダメなのね。ちょっと悔しい表情だが、ペア1位を獲得。

国別暫定順位は上位と7ポイント差での女子フリー。ライバルは初代王者アメリカ。
今夜が最終夜ってことで、最初から振り返る、振り返る
18時半からスタートして、どこまで話が遡るんだってほど。CMもやたらと長いから毎回予録して飛ばす、飛ばす


【女子フリー】
●レナエル・ギルロンゴリー(フランス)

♪SAYURI おお!以前、長洲未来ちゃんも滑った曲。衣装も和を取り入れて面白いデザイン。
フリップで転倒。次世代を担っていく10代選手たち。初々しさの中にも野心が覗く
コンビネーションは失敗。スピンもぎこちない。トゥーループでも転倒。シングルに抜けたが頑張れ!
転倒や緊張で疲れが出てきた。チッてやっちゃってた みんな美人さんが多いね。

●エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)

ショートで10位と出遅れて前半グループで滑る。♪黒い瞳 ルッツがシングルになるスタート。
うーん自信満々な彼女が見たい。ルッツは成功。黒い手袋をした指先まで神経が通ってる。スピンも速くて安定してる。
動きが激しいスピン。16歳だもんね。コンビネーションで転倒。その次も回転数が減った。
3×2もバランス崩してる、いつもの調子じゃないな。うーん今シーズン最後の演技としては残念。
そっかテーピングしてたってことは、どこか故障かも?

●リ・シクン(中国)

最初のポーズからもう花のような笑顔の♪眠れる森の美女 3×3ならず。2×3は成功。
ルッツはキレイ。スピンもやわらかい。人形のような可憐さにいつも癒される
後半の連続ジャンプは安定。前半のミスを忘れさせる後半の挽回力はすごい。そして得意のスピンで大拍手
始終穏やかな笑顔で滑っているのが好印象。

●チョウ・カキン(中国)

♪風の谷のナウシカ 3×3キレイに決めた。今大会で初めて見たってくらいの出来。3×2も落ち着いている。
ループで手をついた。なにせ選曲がいいからねえ! ルッツも成功。後半のフリップも堪えた。
3×2×2と続く、テンポアップしてのステップ。ダブルアクセルまで決めて、ラストスピンまで集中力が切れなかった。
「ちょっと笑うシーンも見てみたい」ってほんとに基本、無表情だね

●ケイトリン・オズモンド(カナダ)
 
ショートは7位。どんなにアップにしても負けないこの表情と美貌。♪カルメン
3×2から華やかにショーがスタート。ルッツ、3×2で転倒、それでも挽回するぜって気迫充分。
どこのシーンを切り取っても華がある。自分を魅せる方法が分かっているんだな。
フリップがダブルに抜けた。3×2×2、ダブルアクセルで最後のジャンプ。後半になってもパワフルさは変わらない。
カナダ選手は、女性でも筋肉質な感じが多い気がするなあ。


最終グループの練習に見切れる修造さんw そっか、荒川さんの時代には国別はなかったんだ。
真央ちゃんはトリプルアクセルは跳ばなかった。

●マエ・ベレニス・メイテ(フランス)

存在感ある選手だなあ!♪アブ・シンベル 私の好きなエジプト風味 トリプルフリップから入った。
ルッツで転倒。コンビネーションならず。褐色の肌に金色の衣装が映えてカッコいい!
2×3×2は後半で決めた。表情と動きは硬いか? ループとトゥーループはバランスが崩れた。
あ、オリンピックでは応援団のかぶりものは禁止?!つまんない

浅田真央
 
「いい時もあれば、悪い時もある。悪い時は我慢していれば、いい時がやって来る」
「ショートもフリーも大好きなプログラムだから、今回で最後なのがもったいない」
大ちゃんが引っ張る真央ちゃんコール! ♪白鳥の湖 アクセルは回転不足。3×3は応援席の前で決めた。
ルッツ、ループ、4連続ジャンプから、スピンも速い。落ち着いて集中し、演技に感情を込めて最後の白鳥を丁寧に滑っている。
後半は2×2になって、サルコウ、3連続も決まって会場中が大拍手
そして見どころの回る、回る、回るステップ。表情は必死、疲れた?
今までにない歪んだ表情だった。リンク上にはこれまで最多の花束が投げ込まれ、丁寧に拾う真央ちゃん。
フラワーガールも大変だもんね。そうゆうさり気ない気遣い、優しさも彼女の人徳
応援席に戻って、やっと笑顔に戻ってホッとした。アナの言う通り「放心状態」だったもんね。
こんなにつらそうな白鳥もないくらい。まずは現時点の1位。

●アシュリー・ワグナー(アメリカ)
 
彼女がキャプテンなんだ。♪サムソンとデリラ いつもの自信に満ち溢れた目力で3×2×2(手を挙げて)からスタート。
2×2、サルコウ、これは完全に当然優勝狙ってるなあ!あれ?なぜ途中で髪型を直した?w 彼女もユーモアがあるのね。余裕だなあ。
ループ、ルッツ。あ、髪型が乱れて、ポニーテールになったんだ/驚 ハプニングも関係なく、髪を振り乱してのラストジャンプ。
なんだか髪型が気になっちゃって、演技を見てなかったな 飛びあがって喜びを表した。
ピンが落ちたのは減点対象なのか?(いや引かれないんだ。
ちゃんと演技に集中して見直したら、ノーミスで完璧な演技、終始強気でパワフルな演技は圧巻!128.83点でパーソナルベスト

●グレイシー・ゴールド(アメリカ)

先輩の完璧演技の後の気分はいかに 彼女も強気だもんね。♪ライフ・イズ・ビューティフル
3×3はキレイなスタート。2×3、ループ、スピンも速くて、やわらかい。ワルツに変わって、さらに速いスピン
彼女もパーフェクトいけるか?! ルッツ、3×2×2、17歳とは思えない落ち着きと集中力。
日本人選手にもこの気迫や自信、強気な姿勢が欲しいよね。ものすごいスピードと勢い、若さで乗り切った。
ラストのトリプルサルコウがダブルになった。くるくると高速回転してYESのガッツポーズ。127.05点はまたパーソナルベスト

鈴木明子

「仲間っていいなって改めて感じた」みんなで飲み会してる映像まであるってどこまでカメラが追いかけてるんだって/驚
やっぱペアがなかったのは大きなハンデじゃないかなあ。1人1人はすごい頑張っているんだけど。
♪シルク・ド・ソレイユ「O」 3×2×2決まった。2×3、他国チームも同様に応援してくれるのが今大会のいいところの1つだね
会場にあふれる拍手を味方につけて軽やかなステップ。風の音なども入って癒されるリラクセーションミュージックと演技。
後半のフリップ、ループ、サルコウもなんとか堪えて、ラストジャンプ3×2も決めた。
そして解放された鳥のごとくリンクを大きく飛びまわる。ほぼノーミスのショートとフリーでホッと胸をなでおろした。
感謝の想いすら伝わってくる感動の演技だった。応援席に他国選手も乱入
133.02点さらにパーソナルベストが出て現時点1位 コーチもちょっと信じられないといった感慨無量の表情。

●アデリーナ・ソトニコワ(ロシア)
 
ショート1位で最終滑走。♪バーレスク 気合い入るよねえ。3×3はどうか!?
フリップで転倒、ループは堪えた。ロシア選手はフシギなポジションのスピンが魅力。3×2はバランスを崩した。
ホーンのきいたアダルトな曲。後半のジャンプはダブルアクセル、サルコウでジャンプ終了。
表情に明るさが戻って溌剌としたダンサブルなステップ、長い手足を生かしたスピンやコレオシークエンスもキレイ。
応援団は祭りのはっぴ着てるし。どこで買ったんだろ?w


フリーの結果は1位鈴木、2位ワグナー、真央ちゃんは5位って・・・
で、国別は4年ぶり2度目のアメリカ優勝、銀はカナダ、銅が日本。
やっぱ真央ちゃんはバテちゃってたのか。大ちゃんは「足なんか引っ張ってないよ」てちゃんとフォローしてた。優しいねえ

今日からソチまで300日だそうな。きっとあっという間だろうなあ!

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notes and movies(1995.7~ part1)

2013-04-13 16:50:53 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はオレンジ色のノートからご紹介。
前回に引き続き、バスター・キートン、マルクス兄弟、モンティ・パイソンなどなど。

  

photo1:エリック・アイドルが出た『80日間世界一周』
photo2:大好きなビリー・ワイルダー×ジャック・レモンコンビ
photo3:友だちと観に行った「グランマ・モーゼス展」

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ゼンダ城の虜』(1979)

監督:リチャード・クワイン 出演:ピーター・セラーズ、リン・フレデリック ほか
驚いたなあ、これがあの『チャンス』と同じ年に撮られたなんて!
本当にセラーズは年齢も見かけも性格も見事に変装して演じ分けられる名人だ。
これだけの剣の立ち回りなどが出来るのにその後すぐ亡くなったなんて信じられない。
コメディアンらが好んで取り上げる中世劇でマヌケな王と、機転がきく腕っぷしもいい王ソックリの御者を別人みたいに演じている。
フレデリックはセラーズ夫人だよね!? これは要チェック。美人は3人出てきたけど29歳年下の奥さんはどれかしら?

どちらかというとコメディは寝取られ男の伯爵や、拷問フリークで自分の道具にハマっちゃう番人
(せっかくのルビーを下水に落として「他にない?」といって泣いちゃう王は可愛い)に任せて、
セラーズは2役のドラマを主にしている。
特に御者が王の芝居をするというシェイクスピア劇風のシドニー役は真面目でカッコいい。
二重撮りも上手い。こうゆうシーンが多い彼のダミーはどんな人がやっているのかな?
髪型やメイクや動きでこうも同じ人が変われるものか。どう見てもルーディは30代で、チャンスは60代くらいに見えた!
話芸も彼の見せどころの1つだが、吹き替えなのはやはり残念。「王でちゅ」なんていう連発でこりゃ酷い
英国人にとってセラーズの喋りはどう感じるものなのかな?やっぱり夫人は姫役の若いコだった。
人形みたくキレイ。最期の作品に共演して幸せのうちになくなったのは往生とも言えるか。


『荒武者キートン』(1923)

監督・出演:バスター・キートン 出演:ジョー・ロバーツ、ナタリー・タルマッジ ほか
このスタントは『ダイハード』のウィリスどころじゃない。マジに危険でほとんど無茶とも言える。
川に流されていくシーン、本物の滝つぼの淵で長い木とくくりつけた縄1本だけで見せる必死のアクロバット
これはやり過ぎ。計算もなく、自らの運動神経と勘を頼りにやってるんじゃないかと思わせるヒヤヒヤもの。
アクション映画というジャンルすらないこの時代、キートンのコメディでさぞかし皆驚嘆したことだろう!
このシーンで滝に落ちて溺れかけたそうだ。彼が60代まで元気でいたことが信じられないくらい!驚
今作では珍しく、ヒロインとのキスシーンまである
ストーリーは別の人だけど監督業にも加わって、驚異に満ちたキートンワールドが繰り広げられている。
テーブルのお祈りで片目を開けてあたりをうかがう表情がなんともキュートで美しいシーン。


『マルクスの競馬騒動』(1950)

監督:チェスター・アースキン 出演:グルーチョ・マルクス、ウィリアム・ベンディックス ほか
グルーチョが兄弟としばし離れて大男のW.ベンディクスとパートナーを組んだ、どうやら晩年の作品のよう。
ハーポらがいない分、雰囲気は随分と落ち着いちゃって?邦題の通り、競馬で儲けようとする2人の水兵の
ペテン騒ぎというドラマが中心。グルーチョのナンセンストークのテンションも抑え気味。
こんなに八百長やドーピングのまかり通るレースじゃ全然フェアプレイじゃない。
なんか思いつくとピロロポロロンと音楽が鳴るというグルーチョの水辺さんの歌(ハモり方がイイ)が楽しいけど、
もうちょっと得意のこじつけ理屈こねギャグが欲しいところ。

later info:父母も芸人で5人兄弟にそれぞれ芸を覚えさせ、ミュージカル風のステージで成功。
その後4人が映画出演。ゼッポは自ら“飾りでしかない”と抜け、ハーポはセリフが下手なので聾唖で活躍。
何度かメンバーチェンジ。生まれた順番でみな他界。グルーチョの本名はハバート。なんだまともな名前があるじゃんw
彼は歌が得意で聖歌隊にもいたとか!舞台にヒゲの代わりに靴墨で描いたらウケて、それからずっとそのスタイルなんだって


『レオン』(1994 劇場にて)
監督:リュック・ベッソン 出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン、ダニー・アイエロ ほか
ベンソン監督がレノと組んだ『グランブルー』の名コンビ復活。
今作は清涼な海から離れ、殺伐とした大都市N.Y.で影のように暮らすプロのクリーナー(殺し屋)レオンと
12歳の少女の奇妙で純粋、そしてなんとも哀しい純愛物語り。
はじまりは悪に満ちた犯罪都市の醜い一面から、中盤は2人1部屋で奇跡的に平穏な日々、
それが伏線となって、心を通わせた2人が汚職警官とのスリリングな対決、絶体絶命からの脱出。
哀愁あふれる実は情が深い殺し屋役レノの朴訥な感じ、頼りがいのある体格、渋い表情がカッコいいし、
すっかり悪役が板についたオールドマンの異常ぶりは1作ごとに迫力が増して見える。
リトル・イタリーは、N.Y.であってN.Y.でない異世界。そこで殺しの仕事を斡旋しているアイエロも
妙に義理堅い男なのも面白く、名脇役で作品を引き締めている。

「愛している。初めて生きる意味を見つけたんだ。今度は根を張って生きてゆく」
校庭に彼の大事な友達の観葉植物を植える少女。「無口だから好きだ。俺と同じで」
植物を大事に育てて命からがら逃げる時も一緒なんてあり得ないところが映画の面白さだよね。
ラストに流れるスティングの♪we dance alone.. はピッタリ。


『シンドラーのリスト』(1993)
監督:スティーブンン・スピルバーグ 出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー ほか
評判、期待と実際が一致、それ以上の感動をもらった今作。日本は今年で戦後50年。改めて思い起こすにはいい機会だ。
皆が忘れようとしている実際に起こった信じ難い事実について、それを現代にここまで完璧に再現し、
世界に示したことには大きな意義がある。しかも、監督自身もユダヤ系だと今回初めて知った。
平和の時代に生まれて育ち、慣れてしまっている私たちの世代にとって、戦争があったこと、
ヒトラーやユダヤ人虐殺は、過去の歴史、本の上でのことでしかない。
ましてや今作の主人公シンドラーという戦争の影の英雄の存在なんて、今作を観るまで全く知らなかった。

なぜヒトラーはここまで徹底して同じ人間である一部の人間を隔離し全滅させようとしたのか?
なぜ兵士らは同じ人間を家畜、細菌以下として理由もなく殺すことができたのか?
すべては狂った時代の仕業? それもたったの6年間に何百万人の死者を出してまで。
映画は始まりと終わりに人々がそれぞれの自由を有する時のみカラーでほとんどはモノクロ。
所々象徴的に色づけがしてある。赤い服を着た少女が列の中を迷い、結局は焼却所に運ばれてゆくシーンは心に残る。

オスカーのお陰で奇跡的に生き残れた1100人は6000人の子孫となって今も彼の墓を見舞う。
「映画を亡くなった600万人の人々に捧げる」数知れない墓碑と鎮魂歌のごとき静かなメロディ。
シンドラー夫人はじめ、たくさんの関係者が現在も生き証人として生きているというから驚く。
過去の悲劇は今なお続いている。詳細なエピソードは彼らの実体験を再現したのだろう。
絞首刑となったアーモンのメイドを務めたヘレンいわく「力とは人を許すこと。恐怖を与えることではない」
「戦争は人の悪いところばかりを出させる。平和は良いところを引き出す。アーモンでさえ、戦争でなかったら、いい奴だったろう」
『ダークマン』以来、初の大抜擢のリーアムと『ガンジー』の強烈な個性とうってかわって重い役に徹したキングスレー、
その他無数のエキストラらにいたるまで全員が一丸となってこの壮大なドラマが成り立っている。


『キートンの結婚狂』(1929)

監督:エドワード・セジウィック 出演:バスター・キートン、ドロシー・セバスチャン ほか
こうして見るとキートン作はマドンナと恋する男っていうのが多いのね。今作は女優に夢中になるクリーニング屋さん。
このドロシーという女優は、キートンに負けず劣らずスラップスティックをやっているのにビックリ
比較的人物が近くて表情の演技も見せ所。音楽もピアノだけからジャズっぽい工夫がある。

今作以降トーキー時代に入り、キートンの人気はあまりふるわなくなる。
スラップスティック、特に彼の高レベルで危険度大のスタント芸はやはり年齢に限界があるもんね。
彼のドラマ演技ってのもいけるんじゃないかってファンとしては思うんだけどな。

later info:父親の興行に出て、振り回されて表情ひとつ変えないのを見て、
奇術師フーディニが“BUSTER(なんて奴だ)!”と言ったことが名前の由来。
STONE FACEで大活躍。『荒武者~』でキスしてたのは奥さんのナタリー!2人の息子あり。
でもアル中で家庭不和で離婚。後2度再婚している。どんな端役でもこなし映画多出演、舞台もやってた。
邦訳の伝記があるらしいから読みたい!


『マルクス兄弟のデパート騒動』(1941)

監督:チャールズ・F・ライスナー 出演:マルクス兄弟 ほか
今作は笑いとともに音楽があらゆるジャンル、あらゆるシーンに織り込まれている
グルーチョの♪Sing while you sell はハリウッドミュージカル風。踊りとハーモニーが豪華。
韻の使い方が楽しいブギウギやジャイヴ、ビーバップ、子守唄をロック風にしちゃう無表情の女子店員という
この時代の音楽シーンの新鮮な空気も伝わってくる。
「このドレスは赤いけどテクニカルカラーはコストが高い」なんて本音もチラリ
チコの軽快なピアノ、ハーポとのドタバタ共演奏、ハーポのハープは三面鏡を利用して、バイオリン、ベースも加わり、
3人のハーポの三重奏が楽しい。でもそれが彼の想像だったってあたりもイイ。
トミー・ロジャースとして甘い声を聴かせるのはトミー・マーティン、プロの歌手だよね。
♪アパートの四奏曲 はなんとも変わったダニー・ケイ風面白おかしい歌。

女性がドレスと同じ生地をムリヤリ取り寄せてくれとせがんで、ハーポが彼女のスカートの一部を切って渡しちゃう
あのクルクルパーマに、かかしファッション、そしてハサミも彼の必須アイテムなんだよね。
マーサ「結婚後若い娘に目が移って私のことなんか忘れちゃうわ」
グルーチョ「いいやとんでもない、2週間に1回は手紙を書くよ
「君の叔父は猿じゃないのか?」て言われて、グルーチョ「親類を悪く言うな」とかw
それにしてもあの妙なゴリラウォークはどんな時でもああなのね。


『少年と鮫』(1980)
監督:フランク・C・クラーク 出演:デイトン・ケーン、マーレン・ジェンセン ほか
この作品が昔観てもう一度観たいと思っているあの映画と同じかも知れないと思ったけど別物だった。でも同じだけの感動を味わえた。
あの映画はウミガメが恋人たちを助けるもので今作はサメ。元来彼らはめったに人を襲わないんだけど、
恐怖のイメージとは逆に、今作ほど手なづけられ、まるでイルカのように人とたわむれる姿は今まで見たことがない!驚
人の手で育てるとこうもなつく魚なのだろうか? どうやって撮影したのか『アトランティス』同様
魚と波に溶け込み、一緒に動くカメラワークは素晴らしいかぎり。
暑い都市を離れて、彼らのように人であることも、時間もすべて忘れてどこかの孤島で自然と同化して生きたいものだ
ハワイの群島のひとつだろうか? 腰を振るダンスは子宝を象徴する。男女を解放させるあらゆる行事の数々も見せ所。


『ウディ・アレンのバナナ』(1971)
監督・脚本・出演:ウディ・アレン 出演:ルイーズ・ラッサー ほか
芸人を離れた実際のアレンがどんなか知らないけど、俳優としてのアレンは自らの短所をすべて生かして
逆手にとって気恥ずかしさ、情けなさをさらけ出すことで苦笑い、照れ笑い、大笑い、とにかく人を笑わせちゃう。
モジャモジャの薄い髪、白くてか弱い体、神経質に喋りまくって、やることなすことドジばかり。
普段の欲求不満を爆発させて可愛いヒロインと役得とばかりにイチャついているようにも見える。
ナンセンスギャグと痛烈な社会風刺・政治批判をともなった今作は、楽しめる要素満載。
監督としてのアレンはいつも冴えまくっているんだ。


『新80日間世界一周』(1989)

原作:ジュール・ヴェルヌ 監督:バズ・クーリック 出演:ピアース・ブロスナン、エリック・アイドル ほか
たしか2巻ものの映画のほうは鑑賞済み。あの時もブロスナンじゃなかったっけ? 他にマレーネ・ディートリッヒなどが出てた。
今作は3本分で、なんとあのアイドルが主役級で、最初から名前がドドーン ピアースが主人公なのにね
その後の調べで出演を知ったけど、やっぱり英国のコメディアンは中世が舞台のファンタジックストーリーが好みなのかも。
彼が単なるコメディアンとはいえないけど。

PART.1 ヨーロッパ編
いいところで「to be continued..」これは先を見なきゃって感じ。
この撮影はそれぞれの国に実際行って撮ったのかな? とにかく予算はかかってそう。
2本組みでは日本も入っていたけど、今作は中国あたりみたい。日本だって日光江戸村あたりに行って撮ればなかなか面白そうだけど。
それぞれの文化や人々の気質、加えてよりすぐりの美人が楽しめるというおいしい話。
さてさてフォッグ氏はこそ泥なのか?彼らの旅は成功するのかお楽しみ。

PART.2 アジア編
横浜のシーンあり。まあ1875年だからチョンマゲもいたかも?でもやっぱりなんか変だよね
'89に撮ったならもっと日本文化の真の姿をとらえてもよさそうだけど、原作に沿うとこうなっちゃうのか?
♪どんぐりころころ のおばさんの合唱が聞こえてきた時はどーしよーかと思ったよ。これ本当に日本で撮ったのか?
日本よいとこ一度はおいで。今ならチョンマゲに囲まれて混乱することもないだろうし。
フィックス役のユスティノフがイイ味だしてるなあ! 太ってて抜け目ないプロにしては酔って「エリー」と恋人の名を叫んだり、
足をくじこうとどこまでも目標を追う根性は大したもの。
命を助けてもらって、フォッグを友と認めはじめたみたい。フォッグと姫の関係のゆくえも気になるところ。

PART.3 アメリカ編
最後のフィナーレで文句なく満足。何度観ても(といっても最後のトリックは忘れてたから、また驚いてしまった)
間に合うか、間に合わないか、時間の秒針が刻む音さえ聞こえてきそうなラストへの盛り上がりは手に汗握ってしまう
映画より少し時間が長い分、ディテイルもしっかりしてて、なんといってもキャストが最高。
そういや有名なテーマ曲はここでは流れていない。劇場用と別物にしてテレビ用だったのか?
今作でいえる最大のメッセージは“金は多く持っているほうが断然有利だ”ってこと。
それにしても小説でなかったら、これほどたくさんの困難や事故に巻き込まれることなく30日間くらいで着いたかもね

コメント

notes and movies(1995.7~ part2)

2013-04-13 16:50:52 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ブルックリン最終出口』(1989)

監督:ウリ・エデル 出演:スティーヴン・ラング、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか

「さあ起きて、町を行き、通りや広場で私の愛している人を捜そう」

今作をひと言で言い表すなら、ルー・リードとザ・バンドの世界をムリヤリ結合させたって感じ。
ああ、この暴力は、かの『ベイビー・オブ・マコン』に通じるぞ
違っているのは、スト明けと新しい命の誕生のシーンをうまくからませて、
トゥララの輪姦される巨大なマンホールみたいな悲しみをソフトにしていること。
これは彼女自らが撒いた種だとしても女のどうにも這い上がりようもない傷ついた心と体には違いない。
少年の心からの涙で彼女の心は少しでも救われただろうか?

もう1人、同じように傷ついた男ピケやケンカで流される血と暴力の後、彼の顔が不気味に輝くのが怖い。
ジョージという妖艶な美に心を奪われてから地をさまよい、ついに救われなかった男。
今作は'50代の下級労働者とストが主題。その表と裏。
このブルックリン街の夜は明けることがなく、ネオンが消えることはない。

リーはなかなかメジャー作品に出ないものの、暗い影をもつヒロインを演らせたらピカ一の若手上昇株
今作では特にトゥララ役にのめりこんでる感じがする。半裸で酔っ払うシーンでは狂気さえ漂う。
ドイツのデカダンス色濃い今作、実際ブルックリンの町並みは普通に見えるそうだが、
どこであっても必ずその裏には底辺の生活、貧しさ、無教育、軽薄な愛と性などの醜い影がある。
その最終出口はブルックリンへと続いている。。


『ロイドの牛乳屋』(1936)

監督:レオ・マッケリー 出演:ハロルド・ロイド ほか
初めてロイドの名に触れたのは辞書のイラスト選びをしていて「ロイド眼鏡=ハロルド・ロイドがかけていたことからこの名がついた」
というのを見て、どんな眼鏡か興味を持ったこと(あの辞書もいつ出来上がることやら・・・
そして今回初めて彼の映画を観た。ジャケットの紹介では「フランネルのスーツにストロー・ハット、丸い“ロイド眼鏡”、
普通の青年がいざとなると超人的大活躍する“ロイド喜劇”を生んだ。チャップリン、キートンと並ぶ大スター」とある。
おまけに、ある爆破シーンで右手中指を吹き飛ばした後の撮影だとか驚 3人とも笑いに命賭けてたのね
ダニー・ケイでも再映画化された今作、彼が演ったらやっぱり楽しいミュージカル風になるかな?と想像する。
ダニー・ケイも勇気をテーマにした喜劇がよく似合う。

タクシーに乗り「ヒヒーン」と声にあわせてロイドが鳴いてるまねをするシーンは大爆笑
ワン・トゥ・ブンブンとワルツにあわせて軽やかに舞う姿は可笑しい。ギャビーの相方メイとのやりとりもとても面白い。
彼女の嫌味ともいえないスパイスの効いたセリフの数々は見どころ。2人の男がグローブをはめっこしているのを見て
「前にもそれにハマった人たちを見たわ」とかetc.. ほんとなんてことない特徴のないロイド。
芸風ってほどの個性もないけど、アメリカ青年を代表して数々の喜劇を生んだとすると、その詳細も気になってくる。

(いまだにバンバンの♪ダンディ を聴くと彼の姿が思い浮かぶんだよね


『ジャバーウォッキー』(1978)

監督・脚本・出演:テリー・ギリアム 出演:マイケル・ペイリンテリー・ジョーンズ、マックス・ウォール ほか
これが噂のギリアム記念すべき第1作目 系統としては『バンデッドQ』で冒険ファンタジー。
ギリアム自らもダイアモンドだと石を売りつけて結局はウォッキーに骨にされちゃう男に扮している。
主演のペイリンがなんといっても大活躍。田舎者で頼りないけど、なんだかんだいって出世しちゃう役所はお手のものって感じ。
'78といえば『空飛ぶサーカス』が大好評のうちに終わって全盛期の頃だよね。
皆若くてはりきってるパワーが伝わってくるけど、MP色より、純粋に童心に戻って冒険する心がテーマみたい。


『MONTY PYTHON and THE HOLY GRAIL』(1975)

監督:テリー・ギリアム、テリー・ジョーンズ 音楽:ニール・イネス アニメ:テリー・ギリアム
出演:モンティ・パイソン ほか
これぞMPカラー一色。ノリノリの6人衆勢ぞろいで1本で6倍、いや600倍たっぷり楽しめる決定版
それにしてもまたもや中世劇の冒険ファンタジーとは! ここへきてやっと気づいた、
MPメンバは昔からとくとくと伝えられる騎士に姫、モンスターの揃った冒険する心を常に追い求める
冒険ファンタジーマニアック集団だったんだ。
作品を見ながら1シーン、1ギャグも見落とすまいとメモったものに沿ってできるだけポイントをおさえてストーリーに書こう。
(そのストーリーは省略

最初から笑える。クリップと荘厳な音楽の下に何語かで「自作自演だよ」「共演者だよ」「こんな人たちも」
「これ終わったらスウェーデン行こうね」「湖もキレイだし」「面白い動物もいるし」
そこにお詫びが入って、「編集の手違いで、彼をクビにします」それでもまだ出てきて「再び手違いで、クビにした奴を解雇します」
ここまで丁寧に笑かしてくれる彼らは本当にタダものじゃない!
そうそう、ド派手王女にはエリックの元奥さんがいるし、本当にMP総結集して純血統書の世界に
造り上げられているのがファンにはなんとも嬉しいし、楽しい。

冒険談も一筋縄じゃいかない。それを書いてる歴史家も出れば、後年説明する歴史家の殺人事件までこんがらがって、
そこかしこにギリアムのアニメがもっとストーリーを混乱し、分断し、奇跡的なバランスでシュールな物語りとなって突き進んでゆく。
このアニメなしでもMPは語れないんだよね。
ああ、久々にMPの新たな芸を見て充実した気分。高度なセンスを必要とする反面、
能無しになって口アングリ状態におちいっちゃうこのユーモア感覚は、一度覚えたらもう止められません。


『ダニー・ケイの天国と地獄』(1945)

製作:サミュエル・ゴールドウィン 監督:ブルース・ハンバーストン 音楽:シルヴィア・ファイン
出演:ダニー・ケイ、バージニア・メイヨ、ベラ・エレン、ドナルド・ウッズ ほか
掘り出し物第3弾。ゴールドウィンとダニー・ケイ、そしてパートナーのシルヴィアの3人ががっぷり四つに組んだ今作。
双子で全然性格が違うケイの1人2役は特殊撮影技術とともに彼の独壇場。
歌あり踊りあり、サスペンスとロマンス、そしていつも楽しみなのが奥さん作詞作曲の迷曲を見事歌い上げるシーン。
今作の花粉アレルギーのクシャミ歌は何度観ても大爆笑

Wonder Man - Otchi Chornya

オペラの歌声もなかなかのもの。ダンスも歌もプロを相手にしても見劣りしない芸達者ぶりに本当にいつも驚かされる。
それに加えてブロンド、背の高いスーツの似合うハンサム。
毎回必ず笑って楽しめるコメディは少ないけど、昔の芸人さんて本当に芸を極めた才能がある。


『キートンの大列車強盗』(1927)

監督・出演:バスター・キートン
キートンが蒸気機関車を知り尽くした機関士として、愛する恋人と国のため、敵と戦って奮闘する武勇伝。
作品の大半を占める列車の追跡劇では機関車という素材をフルに活用して、
キートン持ち前の軽やかで不死身のスタントアクションも盛りだくさん。
ヒロインはなんだか変わった顔をした妙に豊満というか大柄な女優。
恋人にわざわざ入隊を押しつけるなんて戦時中のご時勢が出てるけど、
ドジりながらも英雄になって、それでも恋人獲得以外の大きな意味はないってゆう平和志向なコメディ。

どのシーンも軽業師のごとき身のこなし。何シーンかに分けて撮影しているとはいえ、どのシーンもウルトラCの連続
南軍に知らせて橋で攻撃、ジョニーの飛ばしたサーベルが刺さったり、弾がダムに当たって川があふれたり。
恋人にも見直されて、敬礼とキスで大忙しのエンディングは平和なもの。
走って列車に乗ったり、ちょこちょこ止めたりしての追跡劇は、
電車になった現代のハイスピードアクションに比べるとのんきで楽しい感じがする。


『ウディ・ガスリー わが心のふるさと』(1976)
監督:ハル・アシュビー 出演:デヴィッド・キャラダイン ほか
'36、テキサス。妻子がいながら町を仕事もなくフラついているガスリーから物語りが始まる。
ギターの弾き語りをやり、看板を書くのがうまいが、かといって自信も目的もなく何かが足りないと思いながら片田舎で日々を流している。
アメリカの庶民の心を支えるシンガーソングライターも初めからそうなることを目指していたわけではなかった。
いってみれば国が慢性的に抱えていた貧富の差、職不足という大きな問題、政情そのものが偉大な国民的シンガーを作り出したといえる。
その心は'64死後も次のディランに受け継がれたことにより多少形の差はあれ、世界に永遠に歌われ続けることになったことも素晴らしい。
ディランによってガスリーの名が再び語り草になったともいえるのは確かだ。
あまりに似通ったこの2人の姿を通してアメリカン・ミュージックのルーツとその背景にあった歴史を見た。
歌が常に何かを訴え、人々のすさんだ心を癒していること。キャラダインが見事に体現。自作自演の歌も満載。


『マルクス一番乗り』(1937)

監督:サム・ウッド 出演:マルクス兄弟 ほか
掘り出し6弾目はマルクス兄弟。2~3本未鑑賞があった中から彼らの大ヒット作という1本。
競馬がメインだけど、チコのピアノの楽しさ、ハーポがそのピアノをメチャメチャに壊した中からハープを取り出して
ドタバタナンセンスから一転して、心表れるハープの響き一色となり、グルーチョが喋りでテンポを上げてゆく。
ソフトボイスのハンサム歌手にヒロイン、グルーチョの相手役の大柄な女性とのお人好しなやりとりというベースに
今作で特に目を見張るのは黒人労働者によるジャズとダンスが盛り込まれテンションをさらに上げていること
♪Tommorrow is the another day を合言葉に療養所を守ろうと奮闘するマルクス兄弟の風変わりな世界。

グルーチョと踊り子のシーンも可笑しい。いちいち"thank you"に"thank you"と答えて、座ればテーブル上の花でまともに話せない。
「いるかい?」ソファに座り、彼女がグルーチョの膝に座ると「すごい近視だね」てw
器用に動く眉と大きな眼、ああ言えばこう言うのやりとりはいつも楽しみの1つ。


『MONTY PYTHON and now for something completely different』(1972)

出演:モンティ・パイソン ほか
いやあ、こんな貴重な映像を拝めるとは、なんとも有難き幸福
とはいってもなんの因果か今作が吹き替え版だなんて、面白味が半減 声も100%MPじゃなきゃ!
ま、その点を無視して、いってみれば数々のスケッチの決定版とでもいうか、劇場版なわけで、
シリーズ1~8巻と別バージョンもあれば、ライブでしか観たことのないものの屋内版もあるし、ファンには嬉しい初見のもあるv
1つ1つの内容の紹介は後々。今日まで生きてて良かった(スケッチ詳細は省略
ラストのテーマソングにあわせたアニメもgood!


『新・泥棒株式会社』(1962)

監督:クリフ・オーウェン 出演:ピーター・セラーズ、ライオネル・ジェフリーズ ほか
邦題は「新」とはなってるけど初作とは直接関係なさそう。
ギャングコメディながらセラーズのボケ演技や変装術が見られないのが残念。
セラーズはクールなボスに徹底していて、相変わらず美女に弱いけど、今作は抑え気味。
こうゆうハードボイルドならぬソフトボイルド?ものもイケるのね。
ファンにとってはドタバタナンセンスもののイメージが捨てがたいけど。

コメント

notes and movies(1995.7~ part3)

2013-04-13 16:50:51 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『キートンの月ロケット』(1945)
監督:ジェイム・サルヴェイダー 出演:バスター・キートン ほか
驚いた!キートンのトーキーだなんて。何年の作品かハッキリしないけど、晩年のもの。
やっぱり彼は無声映画とのあいのこのよう。ジャケットにある通りキートン作品としてはかなり異色の題材。
SFコメディもどきというか、ドタバタよりストーリーの荒唐無稽さをメインにしている。
若い娘を追いかけるロマンスものにはもう不向きな年齢だけど、最後のセリフは妙に彼にピッタリくる。
作品中のキートンの役は168cmの身長に63kgの体重という設定だが、きっと実物もそのくらいの小柄な人だったんだろう。
外国人の平均身長に囲まれると、とてもちょこちょこして見える。
晩年とはいえ、2段ベッドから落ちたり、机の上に両足を上げて跳ぶシーンにはビックリ
体の造りや運動神経が並みじゃないから、歳をとっても丈夫で身軽だったのかな?


『ヒット・パレード』(1948)

製作:サミュエル・ゴールドウィン 監督:ハワード・ホークス 原作:ビリー・ワイルダー、トーマス・モンロー
出演:ダニー・ケイ、ベニー・グッドマン、トミー・ドーシー、ライオネル・ハンプトン、ルイ・アームストロング、ヴァージニア・メイヨ ほか
ジャズの巨人を集めてゴールドウィン&ダニーケイ&ヴァージニア・メイヨ3人コンビが音楽とロマンスの華を咲かせる。
豪華この上ないジャムセッションがただただ素晴らしい
ダニー・ケイが主演でも今作はおふざけなしなのがちょっと寂しいけど、落ち着いたロマンス・ストーリーの彼もなかなかのもの。
スマートなボディに青い眼、高い鼻、輝くブロンドをウットリ見つめているだけで2時間あっという間っていうファンも多いはず
妙にキスシーンが豊富。♪WONDER MAN とは正反対に強いアメリカ女性を演じるメイヨがなんとも魅惑的。

ジャズの録音に皆が集まり、ジャムを始めるシーンも圧巻。サッチモの若いこと スマートだし、溢れんばかりの愛嬌は同じ。
ルイのトランペットにベニー・グッドマンの軽やかなピアノ、4人のコーラスグループのスウィングしたハーモニーetc...
音楽は理屈や音符じゃなくてビートに感覚、自然に心と体が歌い踊りだす。そんなものなんだよね。


『NATIONAL LAMPOON'S EUROPEAN VACATION』(1985)
監督:エイミー・ヘッカリング 出演:チェビー・チェイス、エリック・アイドル ほか
チェビー・チェイス作品は初見かな? トボケたキャラにアメリカ人の庶民生活を反映させて、
飛びぬけて奇抜じゃないけど、マヌケ度の笑いは親しみやすい。
でも今作はなんといっても、エリック・アイドルがゲスト出演とあって、掘り出しものシリーズを締めくくるにふさわしい1本。
本当は『ラットルズ』なるビートルズもどきの主演作が目当てだったけど、それは次回に回すとして。

チャールズ皇太子やダイアナ妃のソックリさんもいたな。ヨーロッパ観光巡りも一緒に楽しめて一石二鳥。
エリックは、ほんの3シーンながらしっかり笑いのポイントは押さえてる。
とっかえひっかえの機内食、ド派手なイタリアンファッション、パンフとぜんぜん違う貧弱ホテルとか
海外旅行ネタは尽きない。実際ありそうなんだもの。


『みんな~やってるか!』(1995)
監督:北野武 出演:ダンカン ほか
丁寧にも「GETTING ANY?」なんて横文字の副題まで付いてるのは、たけしさんのイギリス人気、カンヌ出品を念頭に入れての1本だろうか?
第1回ビートたけし監督作品、第5回北野武監督てことわりがあって、監督業の文芸的シリアスな目とともに
今作はもろエゲツない“たけし軍団”率いるコメディアンの色で撮ったというわけ。
血みどろのヤクザものが続いた後でこれぞたけしの世界!ってゆうナンセンスギャグの目白押しが嬉しい。
2時間たっぷり、これでもかと押しつける放送禁止の数々。これを大スクリーンで正装して観たカンヌの皆様の様子を
想像すると一体どんなリアクションだったのか痛々しいかぎりw
妙なイラク語の日本語訳が戸田奈津子さんってのもgood。刀で細菌や原子まで半分に切っちゃう男もすごかった!


『沈黙の世界』(1956)
監督:ジャック・イヴ・クストー、ルイ・マル 撮影:エドモンド・セシャン
最近、話題となった海洋記録映画『アトランティス』が音と映像で綴る美しい芸術作品であったのに比べて
今作はその前衛ということもあってか、人類の発明の利器、科学の力を強調した記録映画色が濃い。
日本語の吹き替えが時代を感じさせる戦時中のニュース解説のようなのが気になったが、
今作はまさに未知の自然~海~にまで、ついにのびた人間の侵略の物語りだ。

自由に長時間潜水活動ができるアクアラングを考案したクストー自身がリーダーとなって、
他にも水中カメラや超音波探知機など文明の道具を次々紹介していく。
宇宙服みたいのを着て、命を危険にさらす原住民らをあざ笑うかのような挨拶。
70mが人が潜れる最深。今じゃもっと潜れるだろうけど。酔った状態になり、血液中の窒素で水圧を受けた体は関節が痛む。
減圧器に入って他の連中は収穫されたエビを食べる。実際の航海中は何か起きないものかとひたすら甲板で待つ
日のほうが多いだろうに、映画では次から次へと冒険がつづく。
海底に沈んだ'40代の沈没船「砂から針を見つけるようなもの」も簡単に見つけちゃう。

そして今作のハイライトはクジラのスプラッター映像。クジラを見てやわら槍を持ち出すなんて信じ難い感覚
さんざん追い回した挙句(彼らはそれを“親しみ”と呼ぶ)、子クジラがスクリューに巻き込まれて
頭部を引き裂かれてまさに血の海。そこに群がるサメ。人間のほうがよっぽど野蛮で残酷なのを棚に上げて、
にっくきサメを必要もないほど殺してひきあげる。あれは後で食べたのか? 捨てたのか?

そしてやっとたどり着いた陸では嫌がるゾウガメの背に乗って「仲良くなった」と勘違い。
ウミガメの産卵と子ガメのシーンは、彼らには迷惑だったろうけど、やはり感動する。そしてエサで釣って仲良くなったジョジョ。
しかし、ここでも仲良くなったのに他の魚と接するのにウルサイからと檻に閉じ込めて「本人は嬉しそう」だって!

これからも人間の侵略は続く。「海の男」とは現実社会を象徴する「陸」から離れて暮らし、陸を慕って暮らし、
たまには帰って待っている女とちょっと遊んで、また海に去っていくような連中をいうのかね。


『フランケンシュタイン』(1994)
監督・出演:ケネス・ブラナー 出演:ロバート・デ・ニーロ、ヘレナ・ボナム・カーター ほか
次々とクラシックホラーを完璧プレミアム版にリメイクしてゆくコッポラが今回製作したのはフランケンシュタイン。
映画・演劇界に新風を吹き込む、今やノリにノってるブラナーは原作を基に一気にシェイクスピア悲劇にまで高め、
大スペクタクルめまぐるしい作品に仕上げた。
存在意義と愛を求める恐ろしいクリーチャーに変身するなんてお手のもののデ・ニーロ。
愛する者を失う悲しみを負い、神をも畏れず、自然の理に逆らって死体を蘇らせたことで復讐される
狂気の科学者にブラナー自身、その恋人役にヘレナの演技の迫力は素晴らしい。

そして何より驚いたのは、もしや、でもまさか、でも似てる・・・で、やっぱり!!!
マッドサイエンティストにジョン・クリーズ 彼をキャスティングしたブラナーはエライ!
エリックはスピルバーグと組んで、クリーズはコッポラと組むなんて、他のメンバもヤラれたと思っていることだろう。
いやあ、長生きするもんだねえ。彼の演技力はまさにシェイクスピアレベルなんですよ!
それにしても、クリーズの声が別人みたいで低いのは演技? まだ56歳だもの、そんなにしわがれるとは思えない。

知恵は人に悲しみや憂いをもたらす。
19Cの初め、科学の力が猛進し、命の尊さや魂の在りかを置いてきてしまったことを訴えている。
クリーチャーは世界を恐がらせたコレラの恐怖の象徴でもあるだろうけど、実に様々な要素が見えてくる。
原作がどんなものか読むべきだろうな。著者メアリー・シェリーは最初からこれほど多くを意図していただろうか?
日本出版社他、日本の資金協力も大きかったようだ。このような芸術にかけるお金なら価値があるよね。


『ブロス やつらはときどき帰ってくる』(1991)
原作:スティーヴン・キング 監督:トム・マクローリン
出演:ティム・マティソン、ブルック・アダムス、ロバート・ラスラー、クリス・デムトラル ほか
うーん、これがS.キングホラーだなあと感心したのも束の間、木村奈保子さんの解説だと原作とはかなり趣が違うとか!?
タイトルのブロスってブラザースの略か? 確かにウェイン役の俳優は『スタンド・バイ・ミー』を思わせる。
悪党が幻霊となって悪さをするのは『IT』だな。それに『デッドゾーン』と同じアダムスをキャストしたのはキングの意向か?
深く心に染み付いた過去の傷をもう一度疑似体験することによって癒すヒーリングみたいだ。

自分のせいで兄を死なせたと悪夢にうなされ、苦しむ男が勇気を振り絞って悪と闘う。
同じパターンであっけなくヤラれてしまうチンピラには残念だが、“悪魔的笑い”といい、
青白い顔からドロドロの顔への変身といい、S.キングホラーはサイコもありゴテゴテのスプラッタもあり、まさに夏向け
そして忘れてならないのは家族というテーマ。突然27年前にトリップする展開や、
『キングコング』のビデオからいきなりホームビデオに変わるアイデアなどなど、泣けるし、同時に背筋が凍る。
原作も気になる。新作はロマンスだっけ? さらにファンのため20C最高のホラー作家さんには頑張ってもらいたい。


『アデルの恋の物語』(1975)
監督:フランソワ・トリュフォー 出演:イザベル・アジャーニ ほか
なるほど、今作はアジャーニしてる。久々の文芸作品に少々食傷気味で宇津木さんが言ってた通り
「フランス映画の主人公って、恋愛の他にすることないのか?」ってそのまんまの世界
でも、ま、ヴィクトル・ユーゴーの娘の物語ということで映画化されるくらいだから
激しい愛は人を常に惹きつけるものだし、常に人は愛を求めているもの。
「愛は私の宗教」とまで1人の男に全てを捧げ、結婚に魂までも課したアデル。
ここまで強迫観念に向かわせたのは一体どういう原因か?彼女が1915年まで長生きしたというのは実に皮肉だ。
意識、魂を失ってまで長生きして何になるだろう。

アジャーニが燃える恋する女から、青白く目だけが血のように赤いメイクで髪を振り乱し、
狂気で自己を失っていくまでを、ピリピリに張り詰めた弦のごとく演じて、19歳にして鬼気迫るものがある。
彼女をここまで女優業にのめりこませるあたりもアデルに通じる狂気と共通する。
ピアソン役の男優もついでに言えばカッコいい。ところでユーゴーがどんな天才だったか知らないんだよね。
難しい本を書いたらしいけど、父は手紙でしか登場しないが、娘への愛が文面から滲み出ているのが分かる。


『アフターアワーズ』(1985)

監督:アーティン・スコセッシ 出演:グリフィン・ダン、ロザンヌ・アークエット、テリー・ガー、ジョン・ハード ほか
「笑う映画」推薦シリーズ第1弾だと思う。驚いたね!こうゆうスゴイ作品を毎回目の前にして気づかないんだから。
スコセッシとはいえ、この前作『キング・オブ・コメディ』では泣かされてたから、ちょっと手放しじゃ信用できないと思いつつ、
J.ハードがアナーキーな役で出てるってことで面白そうなコメディかと思いきや、このシュールさ
次から次へとなだれこむ偶然によって、どうしても家に帰れない男の悪夢の一夜。
こりゃれっきっとしたホラーで、カフカの不条理、ダリの非現実、プラス、コメディなんだ。今年のベスト3には入る。

そうだ!この哀愁と狂気迫る雰囲気、コメディなのに薄ら寒い不安感を持たせるB.キートンのサイレント映画に通じないでもない。
終始を占めるクラシックの響き、ジュークボックスから流れる火事のバラード は音楽にうるさいスコセッシならでは。
これだけアクの強い俳優が揃ったのは彼の名より作品の面白さだろう。
製作にも関わった主演男優も熱演。作品の雰囲気にぴったり合ってる。
フシギな偶然ってあるもんだけど、こんなに異次元のようだとSFに近い。
今作と出会ったのも映画の中の何かとつながってるのかも!?


『街の灯』(1931)

監督・脚本・音楽・出演:チャーリー・チャップリン
出演:バージニア・チェリル、フローレンス・リー、ハリー・マイヤーズ ほか
チャップリン長編作のうち代表的な1作。トーキー時代の幕開けにサイレントを撮りつづけていたわけだけど、
スラップスティックな楽しさ+ドラマ性を加えて、自らのプロダクションで作られたまさにチャップリン独自の世界が存分に楽しめる。
ハッピーエンディングのはずが手放しで喜べない終わり方。
彼が人違いを装ったら悲劇になっちゃって、喜劇映画にとってはタブーだろうし、その辺のアイロニーも狙ったのか。
スパゲティと一緒に紙テープまで食べちゃったり、毛糸巻きに自分が来ているセーター(腹巻?)を抜き取られちゃったりするシーンは可笑しい。
生白い肌で相手にこびる姿はちょっと不気味なほど女性的。貧困から生まれる笑いは喜劇の基本とか。

コメント

notes and movies(1995.7~ part4)

2013-04-13 16:50:50 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづきで、オレンジ色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ニール・サイモンのキャッシュマン』(1983)
監督:ハーバート・ロス 出演:マーシャ・メイソン、ジェイソン・ロバーズ、ドナルド・サザランド、マシュー・ブロデリック ほか
『笑う映画』の推薦シリーズ第2弾。
始まりと終わりがやわらかいタッチのアニメでソフトなファミリー向けコメディ。
メイスンはサイモンと結婚していた時期で、他にこの3人が組んだ作品には『グッバイガール』がある。
ブロデリックは今作が映画初出演で甘いフワフワしたボケ演技のスタイルはもう出ててgood
邦題のほうがピッタリくるな。どっかの電気店社長みたく大金をつめたスーツケースを持ち歩いて、
超ビンボーな上に運もない母子の生活を突然華やかにしちゃう現代の足ながおじさんマックス役のロバーズが渋い。

D.サザランドは好きだけど、今回は蛇の気を抑えて未亡人にひたすら優しい愛を傾けるバツイチの刑事役。
ま、疑いを持ち始めて彼女を問い詰める辺りにちょっと独特の毒気が漂ってたけど。
アニメの能天気なラストだけどフシギにあたたかな余韻が残る。
28年もほったらかされても大金を目の前に出されたらNOとは言いがたいだろうね、そりゃ。
でも、あくまで正直に父をいたわってあげようとする母はエライ。


『天国は待ってくれる』(1943)
監督:エルンスト・ルビッチ 出演:ジーン・ティアニー、ドン・アメチー、チャールズ・コバーン、マジョリーン・メイン ほか
『笑う映画』の推薦シリーズ第3弾。
この本を読まなかったら多分ルビッチ監督て名も、今作にも縁がなかっただろうね。
これもソフトなコメディ。ロマンティック・コメディってゆうのかな。
ブルジョワの豪奢でのんきな暮らし、人間生きるために働かなくて済み、ある程度教養も備わっていれば
こんな風に自然と人を愛することに情熱を注ぐようになるのかしら。

この主人公の男は『ラ・マン』でいうところの「女を愛するしかできない男」。
地獄にドアマンや受付の紳士がいて、審査があるなんて設定はステキだけど、
女好きで妻をさんざんあざむいていたような奴でも天国にいけるチャンスがあるとはね。
確かに彼は他人を陥れることより、美女を幸せにしようとすることしか頭になかったけど。

話の分かるまとめ役の祖父もよかったけど、なぜか妙に気に入ったのは、
父親役の俳優の喋り方がまるでグラハム・チャップマンそのもの
貴族風のプライド高い喋り方と態度なのに、どっか抜けてるところなんかソックリ。
で、その周囲の雰囲気がおのずとMPのスケッチのようで嬉しくなっちゃった
テクニカラーがキレイだし、「女の都」マストロヤンニばりの男優も好演。なかなかほのぼのとした作品。


『ローレル&ハーディの天国二人道中』(1939)

監督:A.エドワード・サザランンド 出演:スタン・ローレル、オリバー・ハーディ、ジーン・パーカー、レジナルド・ガードナー ほか
チャップリン、ロイド、キートンの第1期コメディ映画黄金期から第2期へ。
トーキーになってコンビものが多かったといううちの1つ。
のんびり屋でボケ担当のスタンと、太ったツッコミ役のハーディ。
最初のんびりムードで時代柄こんなものかなと思っていたら、コメディじゃ必ず当たるという軍隊ものになって、
逃げまくる後半になってどんどんテンションが盛り上がる
特に飛行機のメチャクチャ運転はもちろん特撮だけどサイコーに息を呑む連続、あのフラフラ操縦をしたスタントマンがスゴイ!
あと、のんきムードが突然美しい歌と優雅なダンスに一変したところでカラーのギャップにとても好きになっちゃった
牢屋のベッドのスプリングハープになって弾き始めるのも、ハーポのパロディ?でビックリ。独特の間合いと呼吸だね。
スタンが軽くスキップして2人の歩調を合わせる仕草もイイ。2人で1人前なんだね。

Shine On Harvest Moon
Shine on
Shine on harvest moon
Up in the sky

I ain't had no lovin' since January, April, June or July

Snow time ain't no time to stay outdoors and spoon
So shine on
Shine on harvest moon for me and my gal

(いまだにたまに口ずさむこのロマンティックなメロディ。
 当時はネットもないから耳コピで覚えたけど、今やっと全歌詞が分かった!感慨深い・・・
 これともう1つ、S.マーティン主演で使われてた♪イチゴの片思い もキレイなハーモニーで大好き
 ハーディは体型に似合わぬ?甘い声!


『アパートの鍵貸します』(1960)

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモンシャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ ほか
そう、これがシチュエーションコメディって部類かな。『笑う映画』の推薦シリーズ第4弾
爆笑ってワケじゃないけど、軽めに家族で観て楽しめる古き良きハリウッドの香り漂うロマンティックコメディ、いい意味で。
この監督と主演2人の作品には他にも『あなただけ今晩は』がある。ホッと心を休めたい時にはいいかも
なによりジャックもマクレーンもいまだバリバリの現役でそれぞれ頑張っているから嬉しいね。
'60は2人とも本当に若々しくってモノクロなのが惜しい。

でもいくらなんでもテニスラケットの粗い目じゃスパゲティは作れないと思うけどねw
本当に作っちゃうところがスゴイ。こんなに生活が乱れている会社もすごいけど、
それで昇格や降格が左右されたらサラリーマンにはたまんないよね。
憧れの女の子がうちに来てハイの状態=風邪は忘れちゃうし、カンツォーネも熱唱、
落ち込んでる状態=マティーニの実(なんだっけ、あれ)を並べて無表情に酔っ払っちゃう。
ジャック・レモンの加藤茶と柳沢慎吾を合体させたようなキャラのクルクル変貌ぶりが楽しい。

(ジャック・レモンも大好き 「永遠に生きてて欲しい人リスト」の1人だった。


『ALL OF ME』(1984)
監督:カール・レイナー 出演:スティーヴン・マーティン、リリー・トムソン、アドリン・スミス ほか
♪Why not take all of me ~ノリノリのスウィンングするこのジャズの曲がタイトル
マーティンは結構音楽通だと思ってたけど、いきなりギターでジャズのソロを弾く始まりといいビックリ!
彼らしいコテコテの怪演とハートウォーミングなストーリーの佳作。
♪ALL OF ME に合わせて踊りまくるラストは心地よい。リリーは『ビッグ・ビジネス』の彼女だよね。
マーティンと張り合ってもヒケを取らないコメディエンヌぶり。
病弱で友だちもいない、気が強くてタカビーだけど、そんな可哀想な女が、自由に動ける体を持つなんて役でも見事こなしてる。
金で第二の人生が買えるなんてすごい発想だ。
でも私ならやっぱり大海原を自由に泳ぐクジラになるよなあ~と、なんだかローレル&ハーディの作品みたいなセリフになっちゃった。
やっぱり見どころはマーティンの半身別人演技でしょう! 自分で自分に叫ぶ、左右チグハグな動き、このなりきりぶりはハンパじゃない。


『The Woman in Red』(1984)
監督・脚本・出演:ジーン・ワイルダー 出演:チャールズ・グローディン ほか
コメディシリーズはまだまだ続きます。モジャモジャの髪にまん丸な青い眼
(ちょっと歳してからのE.アイドルに似てる、もちろんアイドルのほうがキュートだけど
フシギな個性で演技だけでなく監督なんかもやってしまう才人にちょっと期待大。
愛妻、家族第一主義の男が最初で最後味わう冒険。全身赤に身を包んだ女の姿にひと目惚れ。
何かヤバイ事件に巻き込まれるものかと思いきや、浮気はいけないけどやめられない人間の心理がメインテーマ。
数々のS.ワンダーの名曲が彩りを添えている。
ラストに撮影風景の1カットずつがチラっと映るけど、ハトひとつとってもちゃんと替え玉の模型
(作品中は全然ニセモノだなんて分からなかった!)まであって、
何気ないシーンでも映画ってマジックはタネがいろいろあるんだなと感心。
でも盲人のフリをしてバーのグラスを割ったり、メチャメチャに暴れるギャグはいただけないな


『ディスクロージャー』(1994)
監督:バリー・レビンソン 出演:マイケル・ダグラス、デミ・ムーア ほか
ハリウッドのこの夏イチオシの問題作が面白くないわけないよね。
『ペリカン文書』といい、今作といい、現代まさにこれ企業戦線の時代を反映したツボにハマった設定といい、
脚本といい、とびきりのスタッフで作られた感じ。
「渡る世間は鬼ばかり」みたい(ドラマは観たことないけど)。でも敵も味方も闇の中。彼らをどちらにするかも自分次第。
見どころは大きくみて、まずなんといってもピンと張った空気の中、ハリウッドお得意の激しいセクハラシーン、
ここで見せなきゃ話は引っ張っていけない最初からクライマックスみたいな迫力。
それから、もう1つは突然SF映画になったかとみまごうCGによるバーチャルリアリティの視覚マジック。
これは他のどのメディアをも超え得るすごい刺激を人間の感覚に与えるだろう!
そして謎の友人からの助言と主人公の2、3度のヒラメキで二転三転してゆく状況。最後に笑うのは?!

軸となるセクハラの訴訟の進行中も尻を叩いたり、下品な言葉など、長いこと女性が常に受け続け、
慣れてしまったものまでも含めての伏線が見事。
女の逆襲、ヒロインが悪女のレッテルを背負っての逆セクハラってゆうのはいかにもアメリカ的だけど、
彼女ですら上のボスに操られる1つの駒でしかない。
セクハラ=権力の関係の意味が持つ重要さが改めて浮き出てくる。
ひるまないヒロインの捨てゼリフ「百年前と同じようになるのは真っ平ゴメンだわ」
女弁護士、調停人の女性にカメラがターンするシーンなどは同性じゃなきゃ分からんだろうなあ。

デミはこれまでの『ゴースト』のヒロインのイメージをガラリと変えての、流行りの悪女ぶりが
S.ストーンとはまた違った彼女の味が出ていてハマってた。
対するダグラスもまた性問題ではいろいろあるだけにハマりすぎるほど。
歳をとるごとに父カーク・ダグラスの面影が強くなるけど、父はアメリカの良心的存在だったのに比べ、
息子はさらにその奥をえぐりだす。『フォーリングダウン』のプッツンおやじの姿が消えてないんだけど、
アメリカの等身大の男を演じさせたらベテランの一人。
それにD.サザランドも相変わらず蛇のような狡猾さ、悪の権化、ビジネスのボス役でファンには嬉しい限り。

家族か。デミのあれほど熱烈な誘いを断ってでも家庭に戻ろうとする男なんているかしら?
「家庭はあんたをつまらない奴にしてしまったわ」とは悪女のセリフ。
家庭に落ち着き、妻と何十年も暮らすことが必ずしも1人の人間の成長につながらないというのも真実だと思う。
でも、とにかくこの主人公は家庭的、家庭第一主義の男に描かれている。世の夫婦よ見習えってことか?


『マウス・オブ・マッドネス』(1995)

監督:ジョン・カーペンター 出演:サム・ニール ほか
カーペンターがまたやってくれた 観る私たちも他人事にしておいちゃくれずにどんどん引きずり込んでいく。
原作者は誰か? この狂気に満ちたストーリーはホラー中のホラー、S.キング以上かも
『オーメン』以来サイコホラーときたらこの人、ニールが“書かれた自分”のっぴきならない男を演じている。
そう「人は皆人生を演じているに過ぎない」ちょうどここのところ本に身を投じて“現実と虚構の曖昧さ”について考えていたんだよね。
私みたいなのは危ないな、真っ先にこんな世界にハマっちゃう。

もし世界の終わりが来るなら、それを見届けるのはあまりいいことじゃなさそうだ。ま、当分滅びそうには見えないけど。
"It's all written on the book.
すべてが小説みたいに書かれているとしたら? もっとステキなストーリーに出演したいものだ。
とにかく話題は小さかったものの、これは正真正銘のホラー映画


『愛と哀しみのボレロ』(1981)

製作・監督・脚本:クロード・ルルーシュ 出演:ジェイムズ・カーン、ロベール・オッセン、ジェラルディン・チャップリン ほか
ラヴェルの♪ボレロ が感動的に流れる。『男と女』を撮ったルルーシュの長編作。世界大戦を経て変えられてゆく人々の運命。

「哀しいものもあり、平凡なものもある、それらは繰り返されるようだ」

と冒頭にある通り、戦前の親と、戦後の子どもの世代が同一の俳優たちで演じられ、
分裂しながら赤十字の催しで会するクライマックスまでじっくり描いている。
パリ、ベルリン、ニューヨークを舞台に繰り広げられる人生模様。
それらはどこか実在する人物らと関わっていて、すべて実在した人物の物語り!

とにかく大舞台、オーケストラ、本物のダンサーが揃ってのクライマックスが圧巻
ボレロのダンスを常々通して観たいと思っていたけど、肉体美、動きの美しさって時になんだか滑稽だね。
登場人物が偶然に交差する人生、どこでどんな人と出会うか分からないもの。フシギだ。
時代が大きなうねりとなって流れていく。今もなお。
そしてお願いだから戦争だけは繰り返さないでほしい。

「戦争を始めた奴は人の愛情というものを知らないんだ、それで妬いてるのさ」

あの世界大戦を体験し、傷を負った人々が同じ時代に生きているのがなんだかフシギな気がする。
それを扱った映画も数多いが、私たちにはやはりテレビの中の物語りでしかない。
本当に人々は殺し合ったのだろうか? アウシュビッツでは大勢の男女、子どもが一斉に殺されたのも事実だろうか?
戦後50年目にして、日本でも数々の特集が組まれているが、平和な現代にあっては
今なお地球のどこかで人と人とが憎しみ合い、殺し合っているという事実が信じられない
それも戦っている一人一人の兵士らは皆、平和を願い、家に帰り、家族とあたたかい暮らしをしたいと思っているんだ。

じゃあ、戦争を引き起こしているものは何か?
誰なんだろう。突然入る「宣戦布告」の声は一体誰が出しているのか?
ディランが歌った戦争の親玉たちとは?

新しい世代にどんどん移り変わってゆく、その速さといったらひと昔前の時間の流れの何十倍もの速さだ。
しかし、この哀しみ、空虚は受け継がれていかなければならない。
映画のストーリーとしてでなく、実際に起こった人と人との問題として。
作品中の詩「待ってくれるなら、必死で待っていてほしい。人々が諦めたその時も」が耳に残る。

「人生には2つか3つの物語りしかない しかしそれは何度も繰り返されるのだ
 その度ごとに初めての時のような残酷さで」(ウーラ・キャザー)

まだ1つの物語りも人生に見出せないでいる自分は、どうすればいいのだろうか。



【読書感想メモ】
「ハックルベリー・フィンの冒険」マーク・トウェイン
「バスター・キートン Keaton, the man who wouldn't lie down」トーマス・A・ダリス


【歌詞をメモした曲】
♪FIND A LITTLE WOOD/MARC BOLAN
♪WE NEVER DANCED/N.YOUNG

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世界フィギュア国別対抗戦2013 男子フリー

2013-04-13 13:53:14 | フィギュアスケート
世界フィギュア国別対抗戦2013@代々木体育館 男子フリー

【ペア】
●ボロソジャール&トランコフ(ロシア)

♪ゴッドファーザー 世界チャンプの演技。トリプルツイスト(女性を頭上で回転)、
スロートリプルループ(遠くへ投げれば高評価なのか)、リフトもいろいろポジションのバリエーションがある。
アダルトなアレンジの♪愛のテーマ スピンも揃うほどいいんだね。

日本はエントリーしていない分、ハンデだな。他の分野で補わなきゃならないんだ


【アイスダンス】
キャシー&クリス・リード

♪ビートルズメドレー リフトが5つ入る。片手での回転リフト、一緒に回るツイズル、
サーキュラーステップシークエンスでは会場から大拍手、ストレートラインリフト(首の周りを回してた)、
2人が絡みあうようなスピン、たくさんある曲数の中でこのチョイスもイイね
ローテショナルリフト、ほぼノーミスの出来栄え。パーソナルベストを6点以上更新して現時点1位
インタビューの2人がつたない日本語で一生懸命喋っててほのぼのした

●チョック&ベイツ(アメリカ)

♪ドクトル・ジバゴ 真っ白な衣装。カーブリフト。男性の脚の上に女性が座るという難度の高いリフト。
ワルツにかわってツイズル、哀愁漂うサーキュラーステップ、場面転換によって曲調もどんどん変わる。
ララのテーマ はいつ聴いてもいい曲だ。軽やかなリフト。ずっと流れが止まらない滑り。98点を出して日本を抜いた。

1位はアメリカ、日本は4位。団体暫定順位は日本3位。


【男子フリー】
●ケビン・レイノルズ(カナダ)
 
♪ピアノとオーケストラのための協奏曲 4回転サルコウは両足着氷か? 4×3×2も見事。
3×2も判定は微妙? ジャンプだけでなく貴公子のように穏やかな品のある柔らかいタッチの演技力も魅せる。
後半の4回転も入った 3×3、サルコウの3回転、佐野さん「回ってるけど、なんかつまんないですね」って爆
これは奇跡を見るようだな。大きなミスもなく、この難しいプログラムをやり遂げて、本人も思わず氷上に大の字になった。

●ブライアン・ジュベール(フランス)
 
♪グラディエーター 4回転は完璧。アクセルは軸がズレたが踏ん張った。映画みたいな衣装。
4回転はやめて3×3に変更、次はフリップ。とにかく客席に近付くたびに黄色い歓声が上がる
スピンの評価も高い今シーズン。勇壮な曲調にあわせて、後半はルッツのコンビネーションが乱れた。
ダブルアクセルのシークエンス。スタミナは大丈夫か? 力強さをアピールしたステップ。
ドンキで買ったみたいなキャラの着ぐるみで揃えた応援団が笑えるw


最終滑走者の6分間練習中、リンクサイドの松岡修造が「佐野先生」て呼んでて、2人のやりとりも面白すぎるw
無良さんのお父さんと合宿で一緒だったって、けっこうベテランなんだ!
「世界の中で無良くんのアクセルが一番いいかもしれない、こっそりですよ」て

●マックス・アーロン(アメリカ)

元アイスホッケー選手。ショートでは4回転も見せた。すごい転職だな/驚
彗星のごとく現れたダークホースと言われた21歳の新星。♪ウエストサイドストーリー 4×2はスピードと勢いがあった
サルコウの4回転も成功してガッツポーズ。いろんな運動能力が高いんだな。
演技、表現力も頑張ってる、全選手中最も多い8つの要素を跳ぶ後半。きっとスタミナにも自信があるんだ。
ルッツはステッピングアウト。アクセルは転倒。乱れてきたか? 才能があっても、いろんな経験を積む段階があるんだもんね。
ギリギリでジャンプしてのラスト。練習は高地コロラドで慣らしているらしい。
「スピードはジャンプを助けもするが、壊しもする」と佐野さん。

無良祟人

国別は初出場の無良。高橋に憧れて、今大会をいい感じに盛り上げている。「タッツン」て呼ばれてた?w
♪Shogun 4回転跳んだが単独。3×3もちょいきわどかった。得意のトリプルアクセルはジャッジ前で片手をついた。
三味線や太鼓が入る勇壮な和楽。ループ、2回目のアクセルも崩れた/驚(佐野さんのプレッシャーか!?
和太鼓で盛り上がって、ルッツ、フリップも決まった。両手で1周してラストのキメポーズもカッコいいプログラム。
「シャレじゃないんですけど、以前、無良くんはムラがあった」て佐野さんw

●ジェレミー・アボット(アメリカ)
 
佐藤コーチとのコンビは見ていても妬けるほどだよね ショートとはうって変わって静のイメージを全面に出した
♪レ・ミゼラブル 彼を返して 4回転は抜けた。彼は4回転ジャンパーて感じじゃないもんね。
この穏やかで落ち着いたムードを醸し出せるのが最大の個性。後半のアクセルは成功、次は転倒。
3×3が入った、次はちょっとバランスを崩した。サルコウもなんとか。ジャンプには悔いが残ったかな。
いつもシックなシャツスタイルの衣装も好きだな。佐野さんも表現力をベタ褒め。素はおどけた感じで意外w

●コンスタンティン・メンショフ(ロシア)

♪アレグロ 4×2高いジャンプ、次の4回転はオーバーターン、アクセルで転倒で肩を痛めた
中断してレフリーが認めたら数分間の休憩は認められる。脱臼か?!結局、続行はならず。残念すぎる

高橋大輔

予想外の展開で高橋にも影響が出なきゃいいけど。特別にレフリーなどから2分間のウォーミングアップが与えられた。
いろんなハプニングがあるもんだなあ・・・ 経験力で乗りきってくれ
♪道化師 4回転は手をついたが回転はOK。次の4回転は3×2に変更。今年苦しんだアクセルも大丈夫v
気持ちの入れようにも多少なりの影響はあるだろうな。それでも淡々と要素をこなしていけるのがさすが。
後半のアクセルが崩れたが転倒は免れた。サルコウ、3×3はキレイ、フリップで最後のジャンプ。
大盛り上がりのメロディ、苦悩する表情、そしてスピン。終わって「やった」とひと言。ホッとした顔。
「今日は転ぶつもりでやる」てゆってて、佐野さんいわく「最初に転んだからかえってリラックスしたんじゃないかな」
ここで現時点1位。すげえ さすが主将・大ちゃん。やってくれます

●パトリック・チャン(カナダ)

最後の最後にこの2人のトップライバル同士の対決で締めるなんて粋な運命のはからい。
♪ラ・ボエーム 4×3お見事! なんだかばらばらした3回転。華やかな舞踏曲でのステップ。
後半のアクセルで転倒、ワルツの優雅なテンポにあわせて、フリップからの3連続はステッピングアウト。
悲愴な表情に一転し、コンビネーションでも転倒。さっきのメンショフといい危ないなあ、ヒヤヒヤする
アクセルはシングルになって、スピンでまさかの転倒驚 なんてこった。チャンプの重圧は想像以上か?
見てても辛い演技で、メンショフ以上にショックだなあ・・・涙目
一体、何が起きたんだろう? 体のどこか傷めてなきゃいいけど。。それでも2位だもんね/驚

1位高橋、2位チャン、無良は5位。団体暫定結果は、1位アメリカ、2位カナダ、3位日本。
僅差とは言え、女子フリーでどうとでもなる順位。
大ちゃんのインタビューは毎回、謙虚すぎるくらい。

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『フリージア』(2007)

2013-04-13 13:42:09 | 映画
『フリージア』(2007)
原作:松本次郎『フリージア』 監督:熊切和嘉
出演:玉山鉄二、西島秀俊、つぐみ、三浦誠己 ほか
ed theme:♪虹を渡る平和がきた/Chara

trailer

story
近未来の日本。
犯罪の被害者は、加害者を合法的に殺すことができる「敵討ち法」と呼ばれる法律が制定された。
殺し屋は「執行代理人」と呼ばれ、加害者側も護衛をつけて身を守り逃げることができる。
指定された区域内に住む住民は完全に撤退させ、午後12時から定められた時間内で殺し合いが始まる。
加害者に書類を渡す事務を担当している女性ヒグチは、
感情もなく、痛みをまったく感じないヒロシを執行代理人としてスカウトする。
ヒグチは密かに調査をしている15年前の事件に関わる人物を探していた。

15年前、当時の軍上層部にいた岩崎の命令で秘密裏に行われた「フェンリル計画」
30名の戦争孤児が少年兵2人によって「お絵かき実習」だといわれて広い丘に集められ、冷凍爆弾の実験台にされて凍死した。
少年兵の年長者は岩崎の息子であるトシオ、その部下がヒロシ。
1人だけ生き残った少女ヒグチは、弟をその実験により亡くしてからやはり無感情となり復讐の機会だけを待っていた。
トシオの所在がやっと分かり、ヒグチは偽造した書類の執行代理人にヒロシを指名する。。


西島秀俊さん出演作シリーズ。
ジャケとストーリーを読んで、想像した通りの荒廃した近未来もの。
同じ暴力映画でも北野武さんが撮ったら、もっと生々しくて罵声が轟くバイオレンスになっただろうけど、
この乾いた空気感、絶望すら超えた静かな無の世界はフシギだった。原作がマンガのせいかもしれない。

無敵で正体が知れない執行人「幽霊」役として、ただならぬ気配を醸し出していた大口広司さんは、
1960年代を代表するグループ・サウンズ『ザ・テンプターズ』のドラマーさんだったとか(ウィキ参照

救いようのない物語の中で真っ白に降る雪、かすれて囁くようなCharaの歌声が響いていた。

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