メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

すべては乱歩から始まった ~日本ミステリーの父 没後50年~

2015-09-11 12:59:52 | テレビ・動画配信
すべては乱歩から始まった ~日本ミステリーの父 没後50年~@NHKアーカイブス
ゲスト:綾辻行人さん(ミステリ・ホラー作家)、嗣永桃子さん(カントリー・ガールズ)

宮崎駿さんが愛した小説「幽霊塔」
 



 


八重洲ブックセンター


******************

その時 歴史が動いた「日本ミステリー誕生 江戸川乱歩・大衆文化との格闘」
2007年5月16日に放送された番組を再放送。

 
土蔵の中には乱歩の集めた大量の本!

中には犯罪心理学などもある
 

 
室内はこんな風なのかあ


 
9歳の頃、母から当時人気だった新聞小説を読み聞かせてもらい、興味を持った(斬新なお母さん/驚


中2の時、窓からもれる光にレンズを通すと、天井に映ったゆらめきに惹かれたという
 


「怖いからこそ人一倍それに驚き、興味を持つ訳である」


大学生時代


「黄金虫」は世界で初めて暗号を登場させた探偵小説。乱歩はこれに夢中になる
 


アメリカの大衆文化



乱歩は自らの人生を年代別に記録したスクラップブックを遺している/驚
 
渡米しようとして書いた履歴書

「日本には探偵雑誌ひとつあるわけでもなかった。
 英語さえアメリカ人と同様になれば、筋なんか負けないと考えた」

乱歩はアメリカで探偵作家になる夢を抱くが、渡航費用が作れず諦める。
大坂の貿易会社に勤めるが1年以内で辞め、古本屋経営(イイね)、ラーメン屋台をひいたり、20ほどの仕事を転々とした。

 


大正11年当時は翻訳ものばかり。日本の書き手が育っていなかった
 

『新青年』の増刊が非常に華やかに見えた。
 それまで探偵雑誌もなかったし、日本で書いてもだめだと思っていた。
 もう日本の探偵小説があってもいいじゃないかと書いてみた」

乱歩は27歳の時、数日で処女作「二銭銅貨」を書いて雑誌に載る。
この時初めて江戸川乱歩というペンネームを使った。



点字を使った暗号が世間で大いに評価され、賞もとった
 



「犯人当てに参加できて夢中になる読者が増えた」

大正の2年間で、乱歩は短編18本、長編4本を書いた。


「D坂の殺人事件」(1925)で探偵明智小五郎登場

「屋根裏の散歩者」では、屋根から毒薬を飲ませるという斬新なトリックが使われた
 


大正14年に住んでいた部屋の2階が書斎。ここで初期作品を数多く書いた
 

 
この天井から覗いてみたりしていたという


洋装+短髪のモダンガールが街を歩く時代。乱歩は大衆文化の寵児と言われるようになる


 
珍しいものは「猟奇」と呼ばれた/「芋虫」はエログロの代表作品と言われた


当時、最新の流行を作品に取り入れた




 



勝手に作られてゆく虚像
 

昭和7年に起きたバラバラ殺人事件の犯人ではないかとまで投書が新聞社に送りつけられた


「私の中には二人の人間が住んでいて、一人は小説でも書こうという方の人みしりの男と、
 もう一人はなかなか商売人で図々しい男。
 その二人の同居人が私に取っては恐らく一生の悩みの種である」『無駄話』より

大衆文化に嫌気がさした乱歩は、執筆を止め、放浪して葛藤する。



少年雑誌への依頼
昭和10年。『少年倶楽部』は当時、代表的な雑誌だった。依頼に驚きつつ新境地を開くために引き受ける。
 

明智と怪人二十面相の戦い
 

小林少年たちの活躍が大人気となる




日中戦争はじまる

「探偵小説は犯罪を誘発する反体制的なもので文学ではない」と言われる

「度々内務省から書き換えを命じられた。ブラックリストに載って探偵小説はいかんということになった」

その後太平洋戦争が始まり、乱歩の作品は全て絶版となり、乱歩は再びペンを置く。




戦後の復興
貯えも尽きて、作家を辞める覚悟で福島に疎開。



乱歩の孫の平井さんのもとには、乱歩が就職先を斡旋してくれた友人への断りの手紙が残されている
 



「アメリカは探偵小説が盛んな国だから、復活するに決まっていると思った。
 いち早く感じたんだよ。だから就職はよして帰ることにした」

作家仲間も大勢戦死したが、大衆は活字に飢えていた。
400誌を超える雑誌が創刊復活する。


『宝石』は探偵小説の専門誌。乱歩は執筆は断り、作家への助言、審査員を務めたり、プロデューサー役に徹した


創刊号には仲間の横溝正史の『本陣殺人事件』(1946年)を掲載
 

新しい組織をつくって人材育成等をする重要性を感じる。



その時~昭和22年「探偵作家クラブ」設立
全国各地で講演、座談会を開き、後進の育成、賞の創設に励んだ。
 


還暦祝いに賞を設立。車イス作家の仁木悦子の小説は、当時破格の十数万部を売り上げた。
 



民主主義国家でないと成熟しないミステリー小説


「他の文芸ジャンルと比べてミステリーは、社会における基本的人権の保障をはかる指数となる。
 今日の文化的成熟度を示すインデックス(指標)となる」



戦後の創作活動
撮影が趣味だった乱歩。フィルムにはひょうきんな様子がたくさん映されている。



「少年探偵シリーズ」は晩年も14年間書き続けられた。
 

 






「この謎がどうして解けるのだろうと、先を読まないではいられなくなる。
 そしてお話の最後には、必ず、その種明かしがある。
 そこで、ああそうだったのかと満足する」


ミステリー評論家の香山二三郎さんのうしろには「少年探偵シリーズ」がどっさりある!
 



日本ミステリー小説の変遷

「社会派ミステリー」という言葉ができ空前のブームとなった。

森村「推理小説の花が開いた。孤独に書くのではなく、商店街のように魅力的な作家を集めると客も集まる」


昭和30年代の高度経済成長期。社会が抱える問題を取り込んでリアルに書かれた。
汚職、公害、貧困、戦争の影など(今と変わらないね




ラジオで乱歩が松本清張について語った記録が残っている。

「調べて書くということ。リアルな生活とミステリーは離れている。
 実際の社会生活を大事にして、その中に謎を織り込む。これは新技巧ですね」

『野獣死すべし』(1958)、島田荘司の『占星術殺人事件』 (1981)ほか次々と新作が生まれる。


綾辻さん(当時27歳)。なにやら懐かしいパソコン!


「新本格」は古典の復興
 

綾辻「変格ミステリーっていうのもあるんですよ」


90年代、今、日本で活躍するミステリー作家は700人以上。

香山「乱歩がミステリーの楽しみ方を教えてくれた。
   出版不況と言われる中でミステリーが文学を引っ張ってくれている。
   乱歩は自分の好みでないものも積極的に評価して世に出した。
   それはいまだに、他のジャンルに比べて、他を評価する土台として残っている」


多様化


ハードボイルド、警察小説、トラベルミステリー
スパイ小説、SFミステリー、歴史ミステリー、冒険小説、医学ミステリーetc....



乱歩がよく色紙に書いていたという言葉


綾辻「この言葉の解釈はそれぞれだけれども、なにをもってリアルなのか? 現実に囚われていても面白くない」


コメント

大河ドラマ『花燃ゆ』 第36回「高杉晋作の遺言」

2015-09-11 12:48:06 | ドラマ
大河ドラマ『花燃ゆ』
脚本:大島里美、宮村優子
出演:井上真央、大沢たかお、原田泰造、優香、高良健吾、劇団ひとり、佐藤隆太、檀ふみ、北大路欣也 ほか

出世するたびに着物も派手になっていくのね。

第36回「高杉晋作の遺言」あらすじ(ネタバレあり
守り役の美和は、興丸の野菜嫌いを克服させようとして、自分で育てることから試させると、
また奥内は「お世継ぎに百姓のマネなど!」と大騒ぎとなる。

 

だが、銀姫は「面白い! 食べられるようになるか賭けよう」と言い出し、殿まで土仕事に参加する。
「さすがは松陰の妹よ。ええと思ったことは何でもそうせよ」とお墨付きが出る。



都美姫「美和は人一倍情が深い。守り役であっても、母親ではない。難しいこともあろう。
    元徳は養子であった。実の母とはどういうものかと思うてのう・・・

下関では、奇兵隊が勝利を祝って酒盛りをしていた。
「このまま江戸へ攻め上げましょう!」

高杉から美和に手紙を届ける伊之助。
「話したい事があるので、下関まで来て欲しい」と書いてあった。

宿下がりし、高杉の療養の手伝いをする。その際、雅、梅之進も連れて行った。



高杉「父にはいろいろと迷惑をかけた。戦は必ず終わる。我らの勝ちでな。
   家を建て、みなで暮らしたいと思う」

高杉が美和に話したい事とは、辰路の息子のことだった。

高杉「京に子がおる。久坂の忘れ形見よ。どうする? 引き取る気はないか?
   母となり育てることを考えてみてくれ」



京では戦の噂が広まり、騒がしく、逃げる者も多いが、辰路は芸奴に戻って生計を立てていた。


諸藩との講和を成功させて戻った伊之助に、殿は
「これを機に名を改めては? 幕府に命を狙われると一番困るのはこのわしじゃ」

その後、伊之助は、「楫取素彦」と名を改める。
(命を狙われる、なんて理由で改名することもあったのか/驚
 今と違って、名前を変えるって別に抵抗がなかったんだな。


楫取は、高杉を訪ねる。



「軍勢では叶わん」
「気合いでは勝ってます」
「それにはお前がおらんと」

楫取を見送る際、美和はつぶやく。
「家族ともに暮らすのはええもんです。私もああいう時を持ちたかった。久坂の子が産めればよかった」

 

高杉「来年の桜は見られんじゃろうな。つまらん、つまらんとゆうとったオレが、この命使い切った。
   いつも浮かぶのは久坂の顔じゃ。久坂が死んだ時、幕府を倒そうと誓った。無念を晴らそうと」
美和「久坂も喜んでくれています」

高杉「答えは出たか?」
美和「やはり引き取ることなどできません。その子の母となる自信はありません。実母に育ててもらうのが一番かと」

高杉「徳川は潰れる。誰かが新しい世を作らねばならん。
   そのためには松陰先生の教えを伝える必要がある。
   お前には皆を育ててもらいたい。新しい日本人を。お前なら出来る。それが天命じゃ。

「梅之進を立派に育ててくれ。最期の頼みじゃ。
 病で死ぬとはのう。なんともあっけない。
 あともう少しで新しい日本が見られるちゅうのに」

高杉晋作、享年29歳(早いなぁ・・・


墓参りをする美和。
「みんな行ってしまわれました。寂しいです。皆さんのあの笑顔がもう見れぬのは」


美和が奥に戻ると、興丸は野菜が食べられるようになっていた。

そこに京で戦が始まるというしらせが来る。

元徳のクスリを京に届けるという話を聞いて、「私に行かせてください。その後、探したき者がいます」
誰かと問い詰められ、久坂の子だというと、よそに生ませた子など放っておけと銀姫は反対するが、都美姫は許す。

都美姫は自分の身を重ねてつぶやく。
「悔しかろう。よほどのことなのであろう。母となれなかった女の気持ちは」

毎回歩いてって! 昔の人は健脚だなあ。奥の者ともなれば籠でも使えばいいのに。



高杉の発案によって、墓には800人がまつられている。
 

高杉の遺言により、吉田村(奇兵隊の本拠地)に葬られた(どんどん死んじゃうなぁ・・・
 

 



コメント