メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『この天の虹』(1958)

2019-06-16 13:16:27 | 映画
監督:木下恵介

出演:
影山直司:笠智衆
フミ:田中絹代
稔:小坂一也

須田菊夫:川津祐介

帯田良平:織田政雄
たつ江:岡村文子
千恵:久我美子
京一郎:大木実

平野八重子:伊藤弘子

相良修:高橋貞二
修の母:浦辺粂子

町村四郎:田村高廣

前川誠二:須賀不二男
久子:小林トシ子

園部部長:細川俊夫
園部博子:高千穂ひづる

高田源一:林家珍平
ほか

“九州の八幡製鉄所で生活する人々を描いたドラマ。”


私の大好きな久我美子さん出演作ということでU-NEXTで観た

ナレーションがドキュメンタリーのアナウンサーのようで
実際の映像も多いのかも

この間読んだ『出たとこまかせON AIR』 眉村卓/著(角川文庫)vol.1の中の言葉を思い出す

「人間って、なぜ金属なんか使うんだろう すぐボロボロになってしまうのに」


実際、私たちはまだまだ鉄などに依存して生きていて
そこで働く人々の顔や生活を知らない



【内容抜粋メモ】

最初に大きく「グランドスコープ」と出てくる




八幡製鉄所 我が国最初の東洋最大の製鉄所
従業員3万人以上 昼夜七色の煙が上がる




12基の溶鉱炉 熱風の中で働く人々
銑鉄(せんてつ)は輸送機関でそれぞれの部門に配給される






平炉工場
転炉工場
分塊工場




「厚板工場」すべてオートメーションだが作業員は神経を使う




「軌条工場」レールがつくられる 諸外国にも送られる

「線材工場」ワイヤー、ロープがつくられる

「ストリップ工場」
厚さ1.2ミリの鋼板となる
→コイル、車両のボディ、家具、冷蔵庫など多岐に渡る




「メッキ工場」
「コークス炉」 ごうごうと出る煙

東南アジア、アメリカなどに輸出される
1400億円/年 我が国力の原動力となるであろう

よくこんな1つの国みたいな工場を造ったなあ
ここで一生終わるかと思うとゾッとする


「本事務所」




社長・小島新一
会議中の男性にお茶を運ぶのは女性




「桃園アパート」(社宅)




従業員の34%が住む(コワイくらい同じ団地が並んでいる
下宿人の須田菊夫:入ったばかりだから給料は最低ですよ
影山稔はいつも機嫌が悪い

八幡駅も煙もうもう
こんな景色をコワイと思わなかったのかな

石炭で走る列車
相良修の母親役は浦辺粂子さん






「従業員クラブ」従業員の親睦の会館があり自由に使える






仲人を頼まれる影山直司(笠智衆
影山:本事務所の女性は同じ職員と結婚するコが多い


クラブで踊る若者たち
町村四郎と踊る帯田千恵(久我さんキレイ
生バンドが演奏しているのは♪春高楼の~ って♪荒城の月 渋すぎる/驚



スダ:僕、独身寮に入ろうと思うんだけど
(誰がどこに住んでるのか複雑すぎて分からない・・・

ミノルが会社を辞めたのを怒る父




「穴生アパート」55%が入居できる 社宅としては初の試みのデザイン







チエの母・たつ江:まっぴらよ作業員なんて! とチエと相良の縁談に反対する


マチムラが雲仙に行けないと聞いてガッカリするチエ




ミノルは、体が弱くて製鉄所に入れなかったと両親が話すのを聞いて不憫に思うスダ

製鉄所は3交代制 遅刻3回で1日休みとされる
(まるでロボットのように出勤する大勢の男たち


「男子独身寮」約11ヶ所 700人が住む 食事付きで安い




「体育館」 音楽会なども行われる



スダ:カレーにソースをかけると田舎者に思われるんだってさ


マチムラとの交際をチエにすすめる母
母:製鉄所の妻は3時に起きたり、並大抵じゃないよ


マチムラの下宿先の奥さん・久子が急に泣き出す
久子:私を避けてる
マ:下宿を代わります



久子:出て行くなんて言わないで!
マ:前から気持ちを知っていたんです 誤解されたら困ります

親戚の平野八重子が来て怪しむ


体育館での演奏会





チエがマチムラと来る
ヒサコが探しに来てヤエコが気づく

落ち込む相良修
10年工場で働いていて、一度見かけたチエに縁談を申し込んだがおもわしくない

スダ:
希望がない 田舎から出てきた時はワクワクして
あの煙も天の虹だと思った でも違った
ただ働いて、定年まで金を貯めるためだけだ

退職しても暮らすのがやっと
ただ生きてるだけなら死んだほうがいい!

スダに金を無心するミノル

相良はチエとの縁談が断られたことを知る

秘書課のチエ
マチムラがブラジルに行く人選に入ったと知る

プールで泳ぐマチムラ 女性にモテるのを見ているチエ




ヒサエとマチムラの噂を聞くチエの母
兄はチエに話す

相良はスダを公園に誘う 大きな塔から炎と煙が上がる



相良:オレも夢見てた オレがバカだった あの人は手の届く人じゃなかった

スダ:あの女はバカだ! 僕は独身寮に行く

イライラするミノルに小遣いを渡す母




社食で先輩?にマチムラのことを言われるチエ
そこにスダが話があると来る

相良の話を断った理由を聞く
スダ:あなたは相良さんのことを知らないんだ
チエ:迷惑です 母に聞いてください


スダは家まで来て、玄関でいきなりたつ江に怒られる
スダ:もう一度考えてください
たつ江:うちの娘は作業員のところなんかやりませんよ!

ブラジルのことをマチムラに聞くチエ
はっきりせず笑うマチムラ
チエ:私、バカでした


コストコ並みなスーパーまである!(社内、近所で何かあれば、全部筒抜けじゃん



そこでレジをしているヒサエ
チエ:おとぼけですか? 私知ってますよ


スダ:
奥さんは毎日どういう気持ちで生きてきたんです?
コツコツお金を貯めることですか?

フミ:お父さんが毎日無事なら 真面目に働いて頂けるお金です


歌の会? 笠智衆さんもいる




マチムラに娘との見合いをすすめる上司の部長

ヒサエは家計簿を夫に見せて「すごいじゃないか!」と褒められる


病院にチエの兄・京一郎が怪我をして運ばれてくる
ヤエコは看護婦で京一郎の婚約者

(危険な仕事なのに、怪我や体を壊したら、人生まで狂っちゃうんだろうな


登山電車から見える八幡市の説明をする女性
(ロープウェイにいた私の母もこんな風に喋っていたんだろうか?





相良は母に景色を見せる
母:もっとキレイな人を探すけん


ミノルに解体作業場の仕事を見つけてくるという父に
ミノル:金を貸してくれ 東京へ行ってみたいんです
父:わしもすぐに定年だ 田舎にひっこんだらお前がいてくれたほうがいい


「水上カーニバル」
毎年8月に1週間 東京から一流芸能人を呼び華やかなショーがある





スダもミノルも来ない

ヤエコ:私、作業員の人好きよ
兄:相良さんも立派な人だよ
チエ:よく考えてみるわ

マチムラは飽きて「同僚の見舞いに行く」と抜ける
早速ヒサコが追う

ヒサコ:見合い相手は部長の娘さんでしょ

マ:
うかうか話に乗った自分がバカバカしくなっちゃった
急にチエさんに会いたくなっちゃった

腕にすがるヒサコ


またチエに問い詰めるスダ



スダ:
あなたのお母さんは「作業員なんかには嫁にやれない」と言った
あなたもそう思ってるんですか?
あなたが付き合ってるのは建設技士さんだ

チエ:相良さんと3人でお話しましょう


チエはマチムラの家に寄るが主人しかいない

チエ:
奥さんに失礼なこと言ってすみません
ヤエコさんが言ったそうで、私もつい

驚く主人


スダが帰宅すると慌てて荷作りをしているミノル
親の金をカバンに詰めているのを止める

ミノル:製鉄の人間はモテる オレはそんなちっぽけな根性で生きていたくないんだ!

外で父母と出くわしてしまう



父:
そんなに都会に出たいのか
約束してくれ 必ず道を踏み外さないこと
週1回は手紙をくれ 寂しいから

母:なにかあったらすぐ帰っておいで

父:いっといで 元気で 私は明日は早番だ

駅まで見送るという母


部屋で泣いているスダ

影山:若いうちは遠くに何か待っていそうな気がするもんだ

スダ:一体、あのデカい工場は何ですか?

影山:
君は大きさに負けたんだ 自分が惨めになる
わしは30年鉄を可愛がってきた わしがやらなきゃ育ちやせん




母:
お前が小さい時、3人で東京見物行こうって言って
行かれんようになって お前は3日もすねた
1人休めば、仕事がつかえるから、なかなかまとめて休めんもんな
あの時の代わりに見物だけして帰っておいで

私は別府に保養に行ったことしかない
行きたい時に行ったほうがええ
本当に有り難いお父さんだ

泣き出すミノル
ミノル:オレ、東京行くのやめる


相良に会いに来るスダ
スダ:あさっての日曜、チエさんが断った理由を話すって
相良:余計なことを! とぶつ

スダ:相良さんのためじゃない 僕も彼女に憧れていた 希望が見える

怒って帰るスダ 会えばいいという母


前川誠二:マチムラさん下宿を代わってくれませんか
マ:誤解を受けるのはイヤです 今夜からでも引っ越します
ヒサエ:私にも言い分があります 私はやましいことありませんでしたよね?


「貯水池」飲料水、工業用水をまかない、クラブもあり、余暇に訪れる者も多い




マチムラは見合い相手の園部博子と会う

博子:
叔父の話はなかったことにしましょうよ
私、ちゃんと分かってました
どなたかお好きな方がいるんでしょ?

サッパリと別れる2人


チエはスダに呼ばれて来るが相良は来ない
カレーにソースをかけて食べるスダ



チエ:
作業員を軽蔑してるんじゃないのよ
好きな人があったの そこに話が来たから仕方ないじゃないですか

スダ:大学出ですからね

チエ:
そうよ 優秀らしいし でも、それとこれとは別
うちは父も兄も作業員よ 父は30年も働いた
兄も相良さんは立派だって言ってた 私もそう思う

納得するスダ



スダ:
相良さん、しょんぼりしてました
ダンスも出来ないし、自分から言えなかったんだ

チエ:
私、お詫びだけでも言いたいの
マチムラさんは、私のなんでもない人だったのよ

スダ:会ってあげてください 今ごろあの煙の下で・・・


チエが帰宅するとマチムラが来て、結婚したいと言ってきた



チエ:
どうして今ごろ イヤです私 昨日まで遊び友だちだった
相良さんは1年間も想ってくれてた
お父さんはどう思う? その通りにする

父:
お前も製鉄所のことはよく知ってるだろう
マが欲しがってるなら行けばいい

兄:お前は喜べばいいよ

チエ:私、スダさんの言ったことが気になるの


兄はスダと話す

兄:
結婚は一生のこと いい条件を選ぶのは自然じゃないか
君は何百人の中から入社した 選ばれなかった人は羨ましいと思ってる



マ:僕も大きな会社で認められるのはラクじゃなかった
チエと握手して仲直りする


列車に轢かれたスダ
「助かるそうです うわ言を言っていたよ “虹が 虹が”って」


公園でようやく会うチエと相良



相良:
今はあなたの幸せを祈ることが出来る
退院したら僕たちはあなたのことを話し合います
そしたら思い出してください ここでこの空を見て虹の話をしている姿を
さようなら お幸せに




「この鉄は我々の生活を支え、日本の国力の大いなる力となります
 働く人々の健康と幸福を祈ります」




今の製鉄所もこんな感じなの?
もっと機械化された?
やっぱり、なんだかんだ言っても、あつらえたような人生は私は息が詰まるし
自然ではない気がした


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