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少年少女新しい世界の文学 3 リリパット漂流記 ヘンリー・ウィンターフェルト/作 学研

2023-09-19 16:41:09 | 
昭和42年初版 昭和43年 第2刷 関楠生/訳 レギーネ・オフルス・アッカーマン/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します



3人の子どもが無人島か何かに漂流した話だと思ったら
リリパット(小人国)に着いて、ガリバー以降に発展した
都市にまでなっているという設定が面白い

一番下のジムは少年らしいやんちゃな性格で
自分が大きくなったのをいいことに小人たちをいじめたために
怪我をしたりする教訓話でもある

一番年長の子は、2人の姉弟の使用人の息子でもあるため
2人を守るために、自分を犠牲にして頑張る様子もけなげ

素晴らしい世界の児童文学ばかりを集めた
「少年少女新しい世界の文学」シリーズの
ほかの本もぜひ読んでみたい



【内容抜粋メモ】

登場人物
ペギー 11歳 父はオーストラリアの富裕な牧羊業者
ジム 9歳の弟
ラフル 管理人の息子

<リリパット>
ハンク・クランブス 農場主
トンプソン巡査部長
ボル警部
プリプス市長 ポール・フレデリック



●ゴムボート
海岸にゴムボートを見つけて、沖に出てはいけないと両親に言われていたのに漕ぎ出した
波が高くなり、ボートに海水が流れ込む






●ミニチュア都市
ボートは風に流され、航路から外れ、絶望していると、海岸に着いて喜ぶ
ニューギニアには首狩り族がいるから、ここにも野蛮人がいるかもと用心するラルフ

あたりにサイレンの音がして、騒ぐ声を聴くと英語のよう
サーチライトに照らされる3人

ラルフ:サイレンを鳴らすのは文明人に決まってる

足跡を探すと、小鳥が歩いたくらいの大きさ
とても精巧にできたミニチュアのボートもある









森を抜けると小さな村があったが、すべて人形サイズで誰もいない
オランダに子ども専用のミニチュアの町があるのを思い出すペギー







家の中を覗くと、ちいさなネコが怒って息を吹きかけて驚くペギー
その話を信じないラルフとジム
よく見ると、町は乱雑で、逃げた後のよう

やっと川の水を飲んで、海水でパリパリになった服を洗う









家に電報を打とうと思いつくがお金を持ってこなかった
ヘリコプターが高い上空を飛んできて、救助を求めて小枝を振る3人







ミニチュアの駅には、ミニ列車が走ってきて
中にはちいさな人々がぎゅうぎゅうに乗っている







遠くには大都会が広がり、自動車の長蛇の列が続く
ここは小人の国で、自分たちは巨人となり、人々は3人から逃げていると気づく







ちいさな新聞には「プリプス新報 号外 巨人上陸す」とある





ジムはお気に入りのオモチャの銃で撃つマネをして、ヘリコプターは逃げていく



●ハンク
ミニトラクターに乗った老人に「銃を渡しなさい」と声をかけられてギョっとする







老人ハンク:
ヘリコプターはマスコミで、新聞に載せる写真を撮っていたんだと思う
妻たちは逃げたが、自分は仕事があるため残り、隠れていたら
3人の会話が聞こえて、害のない子どもだと思い声をかけた
ここはリリパット(小人国)だ
250年前にガリバーが着いた時に英語を教えてもらい、それからここの国語となった

ペギーらが空腹を訴えると、クロッグ神父に電話をかければ万事うまくいく
高速道路に公衆電話があると教え、銅貨を貸してくれる

ハンクは子どもの頃に花火で遊んで事故に遭い、耳が聞こえなくなったが
子どもたちの声は拡声器のように大きいため聞こえる


●プリプス電話局
電話を見つけるが、指が太すぎてダイヤルに入らないため、ヘアピンで回す
非常事態で電話線が混み合い、避難民救護本部につながれる









ウィジイワックの避難民には、緑十字が無料で給食をしていると言うが
ウィジイワックがどこか知らない3人はイタズラと思われて、電話は切れる

幅の広い並木道に出て、線路上を歩けば、プリプスに行けると思うが
細くて硬いレールで足が痛む







汽車を停めて乗せてもらうよう頼もうとすると、機関士らは大慌てで逃げ出す
貨物列車の上に乗って、電車好きなジムの言う通りに操作して進む







正面に中央駅が見えて、「ポー!」とジムが声で汽笛を鳴らす
ラルフは横木に頭をぶつけて列車は停まる


●トンプソン巡査部長
3人は警察に囲まれ、警官は3人が“巨人の子ども”だと知って驚く
巨人を逮捕したと報告すると、警部から褒められる









臨時ニュースで巨人は子どもで、危害は加えないと放送され
あっという間に3人の周りを何千人もの市民が取り囲む

ハンクに言われて、クロッグ神父に会いたいというと
西海岸のトッテンハムに行っていていない

昨日から何も食べていないと訴えると、緊急手配される
ジムは靴ずれで歩くのもしんどい

テニスコートくらいの大きさのガリバー広場に案内される
等身大のガリバー像が立っていて、手のひらに乗っているのは
当時の皇帝 今のアリス女王陛下の先祖









ペギーは得意の『ロミオとジュリエット』を暗唱すると拍手喝采され
ジムも負けじとでんぐり返しをすると、危険を感じて黙りこんでしまう(ww







リリパットでは雨が降ると交通が麻痺するため
近くの家にとびこんでもいい法律がある

電報を打ちたいと頼むと、親切なトンプソン巡査部長は
リリパットのお金を貸してくれる

小さな頼信紙に「西オーストラリア ホムク市外ロングヒル ウォーナー農場」宛ての文章も代筆してくれるが
「ムカエタノム」という文句は上司と相談しないといけないと言う










●ボル警部
レムリ教授に連絡して、3人分の食事を用意させた
トラックに細長いパン、チーズの玉、リンゴ、チョコなどを積んで来る

ジムがパンにバターを塗ってないと文句をたれて
慌てた警部は、消防署で夜通しかかっても
明日はバターつきパンを提供すると約束する







3人は何も壊さなかったから、国賓として迎えられ、接待は国費だと言うと
ペギーも安心して、バケツリレーで運ばれる牛乳を35杯ほど一気飲みするが
珍味のイカの燻製は断る









警部は広場にマスコミと関係者以外は入場規制する


●プリプス市長
記者はヘリから撮った写真を新聞の一面に載せたのを見せる
バカみたいな姿が写っていて、困惑するペギー








市長は、電報の文章を見て、国の憲法に違反すると破り捨ててしまう






市長:
以前、流れ着いた巨人のモーターつきヨットで気持ちよく帰ってもらう
ガソリンを入れて、エンジンにオイルをやれば明日には海で出られる
今晩は船室で泊まればよい
グランドホテルが豪華な食事も用意した







ペギーは安心して泣き出し、ハンカチを持っていないと気づき
市長はミンツ百貨店で一番上等で大きいシーツを買ってくるよう命じる







ヨットが遊園地にあると聞いて
まだ連れていってもらったことのないジムは大興奮して走りだす

あとを追ったトンプソン巡査部長から無線が入り
ジムはリリパット人の乗った観覧車を手で回したり
巡査部長をクルマごと屋根に乗せたため
市長:乱暴な子どもはあっさり片付けてしまえ と命令







その時、雨が降りだして、みんな一斉に近くの家や車内に逃げ込む
その隙に、ペギーとラルフはジムを助けに行く

ふたたびゴムボートで脱出するため、川を下る

動物園に迷い込み、ペギーが檻の屋根に座ると、鉄棒が曲がって
中からトラが脱走し、捕まえようとしたジムの鼻に噛みつく
ジムのヘルメットをかぶせて、「トラに注意!」と書いておく











伝馬船に姉弟を乗せて、ベルトでつないで、引っ張っていくラルフ






ようやくもといた海岸に戻るとゴムボートがない!
そこにゴムボートをクルマでひいたクランブスさんがやって来る






クランブス:
臨時ニュースを聞いて、必要になるのではないかと思って持ってきた
ジムは自分が大きいから、何をしてもいいと考えたのではないかね?
大きいからって、偉いとは言えないんだよ
自分でしでかした不始末は、自分で責任をもってしりぬぐいをしなくてはいけなかったのだ

蜃気楼と呼ばれる空気の層の外へ出れば、もう戻れない
リリパットの周りには、この国を消す空気の層があるために、外から発見されずにいる

ゴムボートを漕いでいると、ヘリが来て、トンプソン巡査部長は
女王の恩赦が下ったから、モーターつきヨットに戻ってこいと叫ぶ







だが風が強まり、3人は空気の層の外に出て、ヘリはかき消される


●電報
意識が戻ると、ベッドの上で、船医が話しかける








船医:
3人は疲労、日射病で倒れていて
「コドモタチノキュウジョヲタノム」という
無線の電報を受けなかったら助からなかった

それはリリパットからだと言うペギーに夢を見たんだと思う船医
ラルフもそんな国は知らないとウソをつく

船医が出ていった後、また泣いて、鼻をかむために出したハンカチに
ミンツ百貨店の札がついているのをラルフに見せると

ラルフ:リリパットが見つかったら、なにもかもおじゃんになってしまうじゃないか







訳者あとがき





ヘンリー・ウィンターフェルト
1901年 作曲家の息子として生まれ、ベルリンで育つ
はじめは音楽を学び、その後、映画のシナリオを書いたりした
1940年にアメリカに移住
妻エルシーはアメリカでも著名な玩具デザイナー
息子トーマスは地理学者

その他の作品
『トーガの探偵』
『娘がとんできた』
など








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