昭和42年初版 昭和43年 第2刷 関楠生/訳 レギーネ・オフルス・アッカーマン/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
3人の子どもが無人島か何かに漂流した話だと思ったら
リリパット(小人国)に着いて、ガリバー以降に発展した
都市にまでなっているという設定が面白い
一番下のジムは少年らしいやんちゃな性格で
自分が大きくなったのをいいことに小人たちをいじめたために
怪我をしたりする教訓話でもある
一番年長の子は、2人の姉弟の使用人の息子でもあるため
2人を守るために、自分を犠牲にして頑張る様子もけなげ
素晴らしい世界の児童文学ばかりを集めた
「少年少女新しい世界の文学」シリーズの
ほかの本もぜひ読んでみたい
【内容抜粋メモ】
登場人物
ペギー 11歳 父はオーストラリアの富裕な牧羊業者
ジム 9歳の弟
ラフル 管理人の息子
<リリパット>
ハンク・クランブス 農場主
トンプソン巡査部長
ボル警部
プリプス市長 ポール・フレデリック
●ゴムボート
海岸にゴムボートを見つけて、沖に出てはいけないと両親に言われていたのに漕ぎ出した
波が高くなり、ボートに海水が流れ込む
●ミニチュア都市
ボートは風に流され、航路から外れ、絶望していると、海岸に着いて喜ぶ
ニューギニアには首狩り族がいるから、ここにも野蛮人がいるかもと用心するラルフ
あたりにサイレンの音がして、騒ぐ声を聴くと英語のよう
サーチライトに照らされる3人
ラルフ:サイレンを鳴らすのは文明人に決まってる
足跡を探すと、小鳥が歩いたくらいの大きさ
とても精巧にできたミニチュアのボートもある
森を抜けると小さな村があったが、すべて人形サイズで誰もいない
オランダに子ども専用のミニチュアの町があるのを思い出すペギー
家の中を覗くと、ちいさなネコが怒って息を吹きかけて驚くペギー
その話を信じないラルフとジム
よく見ると、町は乱雑で、逃げた後のよう
やっと川の水を飲んで、海水でパリパリになった服を洗う
家に電報を打とうと思いつくがお金を持ってこなかった
ヘリコプターが高い上空を飛んできて、救助を求めて小枝を振る3人
ミニチュアの駅には、ミニ列車が走ってきて
中にはちいさな人々がぎゅうぎゅうに乗っている
遠くには大都会が広がり、自動車の長蛇の列が続く
ここは小人の国で、自分たちは巨人となり、人々は3人から逃げていると気づく
ちいさな新聞には「プリプス新報 号外 巨人上陸す」とある
ジムはお気に入りのオモチャの銃で撃つマネをして、ヘリコプターは逃げていく
●ハンク
ミニトラクターに乗った老人に「銃を渡しなさい」と声をかけられてギョっとする
老人ハンク:
ヘリコプターはマスコミで、新聞に載せる写真を撮っていたんだと思う
妻たちは逃げたが、自分は仕事があるため残り、隠れていたら
3人の会話が聞こえて、害のない子どもだと思い声をかけた
ここはリリパット(小人国)だ
250年前にガリバーが着いた時に英語を教えてもらい、それからここの国語となった
ペギーらが空腹を訴えると、クロッグ神父に電話をかければ万事うまくいく
高速道路に公衆電話があると教え、銅貨を貸してくれる
ハンクは子どもの頃に花火で遊んで事故に遭い、耳が聞こえなくなったが
子どもたちの声は拡声器のように大きいため聞こえる
●プリプス電話局
電話を見つけるが、指が太すぎてダイヤルに入らないため、ヘアピンで回す
非常事態で電話線が混み合い、避難民救護本部につながれる
ウィジイワックの避難民には、緑十字が無料で給食をしていると言うが
ウィジイワックがどこか知らない3人はイタズラと思われて、電話は切れる
幅の広い並木道に出て、線路上を歩けば、プリプスに行けると思うが
細くて硬いレールで足が痛む
汽車を停めて乗せてもらうよう頼もうとすると、機関士らは大慌てで逃げ出す
貨物列車の上に乗って、電車好きなジムの言う通りに操作して進む
正面に中央駅が見えて、「ポー!」とジムが声で汽笛を鳴らす
ラルフは横木に頭をぶつけて列車は停まる
●トンプソン巡査部長
3人は警察に囲まれ、警官は3人が“巨人の子ども”だと知って驚く
巨人を逮捕したと報告すると、警部から褒められる
臨時ニュースで巨人は子どもで、危害は加えないと放送され
あっという間に3人の周りを何千人もの市民が取り囲む
ハンクに言われて、クロッグ神父に会いたいというと
西海岸のトッテンハムに行っていていない
昨日から何も食べていないと訴えると、緊急手配される
ジムは靴ずれで歩くのもしんどい
テニスコートくらいの大きさのガリバー広場に案内される
等身大のガリバー像が立っていて、手のひらに乗っているのは
当時の皇帝 今のアリス女王陛下の先祖
ペギーは得意の『ロミオとジュリエット』を暗唱すると拍手喝采され
ジムも負けじとでんぐり返しをすると、危険を感じて黙りこんでしまう(ww
リリパットでは雨が降ると交通が麻痺するため
近くの家にとびこんでもいい法律がある
電報を打ちたいと頼むと、親切なトンプソン巡査部長は
リリパットのお金を貸してくれる
小さな頼信紙に「西オーストラリア ホムク市外ロングヒル ウォーナー農場」宛ての文章も代筆してくれるが
「ムカエタノム」という文句は上司と相談しないといけないと言う
●ボル警部
レムリ教授に連絡して、3人分の食事を用意させた
トラックに細長いパン、チーズの玉、リンゴ、チョコなどを積んで来る
ジムがパンにバターを塗ってないと文句をたれて
慌てた警部は、消防署で夜通しかかっても
明日はバターつきパンを提供すると約束する
3人は何も壊さなかったから、国賓として迎えられ、接待は国費だと言うと
ペギーも安心して、バケツリレーで運ばれる牛乳を35杯ほど一気飲みするが
珍味のイカの燻製は断る
警部は広場にマスコミと関係者以外は入場規制する
●プリプス市長
記者はヘリから撮った写真を新聞の一面に載せたのを見せる
バカみたいな姿が写っていて、困惑するペギー
市長は、電報の文章を見て、国の憲法に違反すると破り捨ててしまう
市長:
以前、流れ着いた巨人のモーターつきヨットで気持ちよく帰ってもらう
ガソリンを入れて、エンジンにオイルをやれば明日には海で出られる
今晩は船室で泊まればよい
グランドホテルが豪華な食事も用意した
ペギーは安心して泣き出し、ハンカチを持っていないと気づき
市長はミンツ百貨店で一番上等で大きいシーツを買ってくるよう命じる
ヨットが遊園地にあると聞いて
まだ連れていってもらったことのないジムは大興奮して走りだす
あとを追ったトンプソン巡査部長から無線が入り
ジムはリリパット人の乗った観覧車を手で回したり
巡査部長をクルマごと屋根に乗せたため
市長:乱暴な子どもはあっさり片付けてしまえ と命令
その時、雨が降りだして、みんな一斉に近くの家や車内に逃げ込む
その隙に、ペギーとラルフはジムを助けに行く
ふたたびゴムボートで脱出するため、川を下る
動物園に迷い込み、ペギーが檻の屋根に座ると、鉄棒が曲がって
中からトラが脱走し、捕まえようとしたジムの鼻に噛みつく
ジムのヘルメットをかぶせて、「トラに注意!」と書いておく
伝馬船に姉弟を乗せて、ベルトでつないで、引っ張っていくラルフ
ようやくもといた海岸に戻るとゴムボートがない!
そこにゴムボートをクルマでひいたクランブスさんがやって来る
クランブス:
臨時ニュースを聞いて、必要になるのではないかと思って持ってきた
ジムは自分が大きいから、何をしてもいいと考えたのではないかね?
大きいからって、偉いとは言えないんだよ
自分でしでかした不始末は、自分で責任をもってしりぬぐいをしなくてはいけなかったのだ
蜃気楼と呼ばれる空気の層の外へ出れば、もう戻れない
リリパットの周りには、この国を消す空気の層があるために、外から発見されずにいる
ゴムボートを漕いでいると、ヘリが来て、トンプソン巡査部長は
女王の恩赦が下ったから、モーターつきヨットに戻ってこいと叫ぶ
だが風が強まり、3人は空気の層の外に出て、ヘリはかき消される
●電報
意識が戻ると、ベッドの上で、船医が話しかける
船医:
3人は疲労、日射病で倒れていて
「コドモタチノキュウジョヲタノム」という
無線の電報を受けなかったら助からなかった
それはリリパットからだと言うペギーに夢を見たんだと思う船医
ラルフもそんな国は知らないとウソをつく
船医が出ていった後、また泣いて、鼻をかむために出したハンカチに
ミンツ百貨店の札がついているのをラルフに見せると
ラルフ:リリパットが見つかったら、なにもかもおじゃんになってしまうじゃないか
■訳者あとがき
ヘンリー・ウィンターフェルト
1901年 作曲家の息子として生まれ、ベルリンで育つ
はじめは音楽を学び、その後、映画のシナリオを書いたりした
1940年にアメリカに移住
妻エルシーはアメリカでも著名な玩具デザイナー
息子トーマスは地理学者
その他の作品
『トーガの探偵』
『娘がとんできた』など
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
3人の子どもが無人島か何かに漂流した話だと思ったら
リリパット(小人国)に着いて、ガリバー以降に発展した
都市にまでなっているという設定が面白い
一番下のジムは少年らしいやんちゃな性格で
自分が大きくなったのをいいことに小人たちをいじめたために
怪我をしたりする教訓話でもある
一番年長の子は、2人の姉弟の使用人の息子でもあるため
2人を守るために、自分を犠牲にして頑張る様子もけなげ
素晴らしい世界の児童文学ばかりを集めた
「少年少女新しい世界の文学」シリーズの
ほかの本もぜひ読んでみたい
【内容抜粋メモ】
登場人物
ペギー 11歳 父はオーストラリアの富裕な牧羊業者
ジム 9歳の弟
ラフル 管理人の息子
<リリパット>
ハンク・クランブス 農場主
トンプソン巡査部長
ボル警部
プリプス市長 ポール・フレデリック
●ゴムボート
海岸にゴムボートを見つけて、沖に出てはいけないと両親に言われていたのに漕ぎ出した
波が高くなり、ボートに海水が流れ込む
●ミニチュア都市
ボートは風に流され、航路から外れ、絶望していると、海岸に着いて喜ぶ
ニューギニアには首狩り族がいるから、ここにも野蛮人がいるかもと用心するラルフ
あたりにサイレンの音がして、騒ぐ声を聴くと英語のよう
サーチライトに照らされる3人
ラルフ:サイレンを鳴らすのは文明人に決まってる
足跡を探すと、小鳥が歩いたくらいの大きさ
とても精巧にできたミニチュアのボートもある
森を抜けると小さな村があったが、すべて人形サイズで誰もいない
オランダに子ども専用のミニチュアの町があるのを思い出すペギー
家の中を覗くと、ちいさなネコが怒って息を吹きかけて驚くペギー
その話を信じないラルフとジム
よく見ると、町は乱雑で、逃げた後のよう
やっと川の水を飲んで、海水でパリパリになった服を洗う
家に電報を打とうと思いつくがお金を持ってこなかった
ヘリコプターが高い上空を飛んできて、救助を求めて小枝を振る3人
ミニチュアの駅には、ミニ列車が走ってきて
中にはちいさな人々がぎゅうぎゅうに乗っている
遠くには大都会が広がり、自動車の長蛇の列が続く
ここは小人の国で、自分たちは巨人となり、人々は3人から逃げていると気づく
ちいさな新聞には「プリプス新報 号外 巨人上陸す」とある
ジムはお気に入りのオモチャの銃で撃つマネをして、ヘリコプターは逃げていく
●ハンク
ミニトラクターに乗った老人に「銃を渡しなさい」と声をかけられてギョっとする
老人ハンク:
ヘリコプターはマスコミで、新聞に載せる写真を撮っていたんだと思う
妻たちは逃げたが、自分は仕事があるため残り、隠れていたら
3人の会話が聞こえて、害のない子どもだと思い声をかけた
ここはリリパット(小人国)だ
250年前にガリバーが着いた時に英語を教えてもらい、それからここの国語となった
ペギーらが空腹を訴えると、クロッグ神父に電話をかければ万事うまくいく
高速道路に公衆電話があると教え、銅貨を貸してくれる
ハンクは子どもの頃に花火で遊んで事故に遭い、耳が聞こえなくなったが
子どもたちの声は拡声器のように大きいため聞こえる
●プリプス電話局
電話を見つけるが、指が太すぎてダイヤルに入らないため、ヘアピンで回す
非常事態で電話線が混み合い、避難民救護本部につながれる
ウィジイワックの避難民には、緑十字が無料で給食をしていると言うが
ウィジイワックがどこか知らない3人はイタズラと思われて、電話は切れる
幅の広い並木道に出て、線路上を歩けば、プリプスに行けると思うが
細くて硬いレールで足が痛む
汽車を停めて乗せてもらうよう頼もうとすると、機関士らは大慌てで逃げ出す
貨物列車の上に乗って、電車好きなジムの言う通りに操作して進む
正面に中央駅が見えて、「ポー!」とジムが声で汽笛を鳴らす
ラルフは横木に頭をぶつけて列車は停まる
●トンプソン巡査部長
3人は警察に囲まれ、警官は3人が“巨人の子ども”だと知って驚く
巨人を逮捕したと報告すると、警部から褒められる
臨時ニュースで巨人は子どもで、危害は加えないと放送され
あっという間に3人の周りを何千人もの市民が取り囲む
ハンクに言われて、クロッグ神父に会いたいというと
西海岸のトッテンハムに行っていていない
昨日から何も食べていないと訴えると、緊急手配される
ジムは靴ずれで歩くのもしんどい
テニスコートくらいの大きさのガリバー広場に案内される
等身大のガリバー像が立っていて、手のひらに乗っているのは
当時の皇帝 今のアリス女王陛下の先祖
ペギーは得意の『ロミオとジュリエット』を暗唱すると拍手喝采され
ジムも負けじとでんぐり返しをすると、危険を感じて黙りこんでしまう(ww
リリパットでは雨が降ると交通が麻痺するため
近くの家にとびこんでもいい法律がある
電報を打ちたいと頼むと、親切なトンプソン巡査部長は
リリパットのお金を貸してくれる
小さな頼信紙に「西オーストラリア ホムク市外ロングヒル ウォーナー農場」宛ての文章も代筆してくれるが
「ムカエタノム」という文句は上司と相談しないといけないと言う
●ボル警部
レムリ教授に連絡して、3人分の食事を用意させた
トラックに細長いパン、チーズの玉、リンゴ、チョコなどを積んで来る
ジムがパンにバターを塗ってないと文句をたれて
慌てた警部は、消防署で夜通しかかっても
明日はバターつきパンを提供すると約束する
3人は何も壊さなかったから、国賓として迎えられ、接待は国費だと言うと
ペギーも安心して、バケツリレーで運ばれる牛乳を35杯ほど一気飲みするが
珍味のイカの燻製は断る
警部は広場にマスコミと関係者以外は入場規制する
●プリプス市長
記者はヘリから撮った写真を新聞の一面に載せたのを見せる
バカみたいな姿が写っていて、困惑するペギー
市長は、電報の文章を見て、国の憲法に違反すると破り捨ててしまう
市長:
以前、流れ着いた巨人のモーターつきヨットで気持ちよく帰ってもらう
ガソリンを入れて、エンジンにオイルをやれば明日には海で出られる
今晩は船室で泊まればよい
グランドホテルが豪華な食事も用意した
ペギーは安心して泣き出し、ハンカチを持っていないと気づき
市長はミンツ百貨店で一番上等で大きいシーツを買ってくるよう命じる
ヨットが遊園地にあると聞いて
まだ連れていってもらったことのないジムは大興奮して走りだす
あとを追ったトンプソン巡査部長から無線が入り
ジムはリリパット人の乗った観覧車を手で回したり
巡査部長をクルマごと屋根に乗せたため
市長:乱暴な子どもはあっさり片付けてしまえ と命令
その時、雨が降りだして、みんな一斉に近くの家や車内に逃げ込む
その隙に、ペギーとラルフはジムを助けに行く
ふたたびゴムボートで脱出するため、川を下る
動物園に迷い込み、ペギーが檻の屋根に座ると、鉄棒が曲がって
中からトラが脱走し、捕まえようとしたジムの鼻に噛みつく
ジムのヘルメットをかぶせて、「トラに注意!」と書いておく
伝馬船に姉弟を乗せて、ベルトでつないで、引っ張っていくラルフ
ようやくもといた海岸に戻るとゴムボートがない!
そこにゴムボートをクルマでひいたクランブスさんがやって来る
クランブス:
臨時ニュースを聞いて、必要になるのではないかと思って持ってきた
ジムは自分が大きいから、何をしてもいいと考えたのではないかね?
大きいからって、偉いとは言えないんだよ
自分でしでかした不始末は、自分で責任をもってしりぬぐいをしなくてはいけなかったのだ
蜃気楼と呼ばれる空気の層の外へ出れば、もう戻れない
リリパットの周りには、この国を消す空気の層があるために、外から発見されずにいる
ゴムボートを漕いでいると、ヘリが来て、トンプソン巡査部長は
女王の恩赦が下ったから、モーターつきヨットに戻ってこいと叫ぶ
だが風が強まり、3人は空気の層の外に出て、ヘリはかき消される
●電報
意識が戻ると、ベッドの上で、船医が話しかける
船医:
3人は疲労、日射病で倒れていて
「コドモタチノキュウジョヲタノム」という
無線の電報を受けなかったら助からなかった
それはリリパットからだと言うペギーに夢を見たんだと思う船医
ラルフもそんな国は知らないとウソをつく
船医が出ていった後、また泣いて、鼻をかむために出したハンカチに
ミンツ百貨店の札がついているのをラルフに見せると
ラルフ:リリパットが見つかったら、なにもかもおじゃんになってしまうじゃないか
■訳者あとがき
ヘンリー・ウィンターフェルト
1901年 作曲家の息子として生まれ、ベルリンで育つ
はじめは音楽を学び、その後、映画のシナリオを書いたりした
1940年にアメリカに移住
妻エルシーはアメリカでも著名な玩具デザイナー
息子トーマスは地理学者
その他の作品
『トーガの探偵』
『娘がとんできた』など