メランコリア

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少年少女サスペンス冒険 6 コーンウォールの聖杯 スーザン・クーパー/著 学研

2023-09-25 18:11:59 | 
昭和51年初版 武内孝夫/訳 M.ギル/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


イギリス人なら誰でも知っているという“アーサー王と円卓の騎士たち”伝説に基づいた宝探し
歴史ものは苦手だけれども、元ネタを知ってたら、より楽しめただろう長編作品

アーサー王伝説をYouTubeでサクっと見ようとしたけど
想像以上にいろんな口伝が混ざって複雑すぎ/汗
おおまかなストーリーが分かるマンガとかないかなあ

10代の子どもたちが本格的な謎解きに挑戦して
900年昔に隠した聖杯を古文書から探し出す!

謎のメリーおじさんと、それに対抗する悪の組織のボスは催眠術まで使って
どこから現実かファンタジーか境目が分からなくなる


【内容抜粋メモ】

登場人物

<ドルウ家>
母エレン
サイモン 長男
ジェイン サイモンの11か月下の妹
バーニイ 末っ子 アーサー王に憧れている
メリイおじさん 3人の祖父の友で有名な学者

ミスター・ヘイスティングス 牧師館にいた謎の男
ノーマン・ウィザース 豪華ヨットをもつ
ポリイ 妹

ビル少年 トリウィシック村の少年
ポークおばさん サイモンの家で料理と洗濯をしてくれる
ペンハロー 年寄りの漁師


●トリウィシック村
グレイ・ハウスと呼ばれる家を夏の4週間借りたドルウ一家
駅に迎えに来たのは、祖父の友だちで学者のメリイおじさんと犬のルーファス
グレイ・ハウスの持ち主は船長で、航海中、ルーファスを置いていった

ジェインはビル少年とぶつかって悪態をつかれる


●古文書
3人は探検隊を結成して、グレイ・ハウスの中をめぐる
船のキャビンに似た船長の寝室、洋服だんすの後ろに秘密の部屋を見つける
そのさらに奥から羊皮紙の古文書が出てきて夢中になる







ラテン語かなにかで書かれた読みづらい文字から
“マルクスとアルツルス”という文字を見つけ
アーサー王伝説が大好きなバーニイは“アーサーとマーク(騎士の1人でコーンウォールの王)”だと指摘

夕食後にミスター・ウィザースと妹のポリイは、村で見かけた父母に声をかけて
レディー・メアリ号で海を巡ろうと誘う

画家の母は絵を描くため、ジェインは何とも言えない違和感を感じて断る
ポリイはグレイ・ハウスで秘密の通路や地図を見つけなかったか?と尋ねる
ポリイ:もし見つけたら教えてね


●牧師館の男
1人で留守番をしていたジェインは、兄弟に先んじて謎を解こうと頑張り
村の牧師が書いた案内書にある地図を見て、古文書の絵と似ていると気づく

古文書は望遠鏡のケースに入れてベッド下に隠し、牧師に聞こうと思い
丘の上の教会に行くと、牧師館にいたヘイスティングスと名乗る男が牧師だと思って話す
地図の話をすると態度が変わった気がして、話もそこそこに出る


●泥棒
夜のうちに泥棒が入ったらしく、竜巻が通ったように本が乱れていて
銀食器などは盗まれていないことから
地図と古文書を探して見つからなかったのだと推理

警察を呼び、窓に足跡がついているのを示すも
船長に恨みのある者のイタズラだと済まされる

サイモンとバーニイもウィザースきょうだいから古い本や地図について聞かれた







●古文書の秘密
3人は唯一、信用できるメリイおじさんと岬の頂上に来て、事情を話すと
これまで長いこと善と悪の戦いが行われてきた歴史について話しだす







メリイおじさん:
アーサー王はイングランドの王だった 円卓の騎士を家来にもっていた
彼は実在の人物だが、ずいぶん昔で記録がないから伝説となった
わしも長いこと探りだそうとしてきた
900年以上も前に書かれたもので、中世のラテン語で書かれている

古文書を訳すと、、、
騎士ベドウィンは、ログレス最後の形見で、証となるカップを持っていた
聖杯に似た形につくられ、アーサー王の物語がすべて彫られていた
再びアーサー王がこの世に現れるという約束と証拠が示されている

時が満ちた時、ベンドラゴンは再び現れるだろう
騎士は死んで、“海の上、岩の下”に埋めた
カップは長男の手で代々受け継がれてきた

コーンウォールに暗黒が迫り、私はカップをこの地の“海の上、岩の下”にゆだねる
しかるべき人により発見されるよう暗号を書いておく


地図の示す第一の場所が、まさにメリイおじさんが寄りかかっている岩だと分かる
他の大人に話しても通じないし、ウィザースは完全なアリバイを作っているだろう
メリイおじさんは3人に謎解きを任せて、自分は囮となって助けると約束する


●花崗岩の石柱
暗号によると太陽と一直線上になった石が第二の場所かもしれない
3人が古文書を見ている所にポリイとビルが来てバレてしまう







サイモンは古文書を持って走って逃げる
茂みに隠れると、背の高い黒髪の男とビルがなにか話しているのが見える
メリイおじさんがクルマで助けに来てくれて危機一髪







●夜のケメア岬
母の美術友だちのミス・ハザートンが来て
父母はペンザンスにある彼女の家に泊まりに出かける

満月の晩、サイモンらはメリイおじさんと夜釣りに出かけると
ポークおばさんにウソをついて岬に行く
バーニイは日焼けしすぎて家で寝ていろと言われ、古文書を守る役目となる

石の影に奇妙な穴があいている
ケメア岬の先端に月光があたり、シルエットの先に岩の集まりがある それが第三の場所







フクロウの鳴き声がして、黒づくめの男が現れる
ジェインは牧師館で見たから牧師だと思いこむがそうではなかった
3人は急いで逃げる

バーニイは寝ている部屋にポークおばさんがこっそり入ってきて怪しむ


●カーニバル
3人はすぐに謎解きの続きをしたかったが、ポークおばさんはメリイおじさんが
歳を忘れて動きまわったからまだ寝かしておけと言ったため
ビルが見張っている表を避けて、裏口から出る

ポークおばさんは、メリイおじさんに
子どもたちは電話があってトルロに出かけたとウソをつき
慌てて子どもたちを追いかけるメリイおじさん

ルーファスがにおいを嗅いでいる所の岩をどけると、底なしのような穴を見つける
下から海の音が聞こえるため、下に洞窟の入り口があるに違いない

メリイおじさんがいつまでも来ないのはおかしいと思い、バーニイは岬に探しに行く

サイモンとジェインはポークおばさんを探すがカーニバルでごった返している
ペンハローに聞くと、年に2回、大潮があり
干潮になると岩づたいに歩いていけるようになると聞く







ポークおばさんについて聞くと、夫を亡くしてから金に困り
金のためなら何でもやるようになった
しかもあのビルの叔母だと知って驚く

カーニバルには仮装した人々がたくさんいて
ポークおばさんを見かけたと思ったジェインとサイモンは
人込みに紛れて、バーニイとはぐれる



●催眠術
カーニバルに来たバーニイは、黒猫とアラビア人に仮装したウィザースらに連れ去られる





ヘイスティングスの目に見据えられると催眠術にかかり
ヘイスティングスが主人のような気がする






メリイおじさんは自分の名誉しか考えないが
自分たちは博物館のために動いているのだから
協力してくれれば、手柄はバーニイたちのものだと誘惑する

バーニイ:アーサー王の名において、そして暗黒の世界がやってくる以前の古い世界の名において
ヘイスティングス:暗い世界はいつでもやってきて、いつも勝つのだ

ルーファスの吠え声で目が覚め、バーニイは逃げだす
バーニイ:彼は牧師じゃない もう時間がないんだ!

潮が引いているうちに砂浜を歩いて洞窟を探していると、またフクロウの鳴き声が聞こえる
あれは見張りが自分たちの位置を見つけたことを知らせる合図だと気づく


●洞窟





洞窟の奥にさらに狭い場所があり、体の小さいバーニイとサイモンが入ることにする
父の釣り糸を腰に縛り、10分ごとに2回引っ張って安否を確認
3回引いたら出る、4回はSOSという合図を決める

時々マッチをすって見えた所まで真っ暗な中を這って行くこの場面は本当にコワイ・・・
そして、とうとうバーニイはカップを見つける
その中にはさらに鉛の筒があり、中からもう1つの古文書が出てくる!








ジェインは潮が満ちてきたことに気づいて、ひもを引く
2人が戻るとレディー・メアリ号に乗ったヘイスティングスと
もう1つのモーターボートに乗ったウィザースとビルに挟まれる







バーニイ:
もし僕たちを助けて、この2つを家に持ち帰らせないなら
僕はこれを海に投げ込むからな!

もうダメだと思った時、ようやくメリイおじさんがボートでやって来て
サイモンはカップを投げて、メリイおじさんがキャッチ

だが、バーニイが投げた古文書は、ウィザースがオールで叩いて2つに割れて海に落ちる
ヘイスティングスは苦痛の吠え声を発して
メリイおじさんがなにか叫ぶと縮み上がりボートで逃げる


●博物館
カップは有名な博物館に寄贈され、3人は発見者として呼ばれる
館長から100ポンドの小切手をもらい、新聞記者にどうして発見したか聞かれるが
洞窟を探検しててたまたま見つけたことにする

メリイおじさん:
ヘイスティングスはいくつもの名前を使っているだろう
あの男の背後の勢力は、もう少しで勝つところだったが
海に落ちたことで秘密は無事に守られるだろう

ジェイン:あれは私のまん前に落ちた その水たまりを探せば分かる

バーニイはメリイおじさんの名前がメリマン・リオンで
マーリンはアーサー王伝説に出てくる魔法使いの名前だと気づく

バーニイ:そんなはずがない
メリイおじさんは振り返り、かすかにほほ笑む

磨かれたカップの彫り物は、5つの部分に分かれ、4つは戦う人の絵で
最後の1つは解読不能の文字

ある学者はルーン文字だと推測する
アーサー王が実在した手掛かりになるが、暗号が解けないと何も分からないまま

バーニイ:僕たちには分かる時が来ると思うよ、いつかね




あとがき

スーザン・クーパー
1935年 イギリス生まれ
大学卒業後、ジャーナリストになり
最初の上司は007シリーズを書いたイアン・フレミング
28歳で科学者と結婚し、アメリカに移住

1965年に書かれた本書の原題は“Over sea, under stone” 海の上、石の下
舞台となるコーンウォールは伝説がたくさんある土地

イギリスには昔から他民族が侵入 アングロ・サクソンが大挙侵入して
住民を殺し、奴隷にして、町を破壊し、ケルト族はコーンウォールなどに逃れた


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