メランコリア

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少女・世界推理名作選集 30 屋根裏の幽霊 マーガレット・サットン/著 金の星社

2023-10-14 15:02:47 | 
1966年初版 1989年 第23刷 野長瀬正夫/訳 小林与志/カバー・イラスト・挿画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


前回読んだ話の前段階が気になり早速借りて
想像通り面白くて引き込まれ
2時間半ほどで読み切ってしまった

これで、だんだん話がつながってきたけれども
なぜシリーズの中で時系列にしなかったかが謎

ジュディ一家が洪水に遭う話はどこかにあるのか?
近所の図書館にない巻もあることに気づいて
他館にあるよう願うばかり

洪水→幽霊屋敷に引っ越し→ピーターの妹が現れ→
地下室まで見つけて→学校が燃え→休暇中でも事件に巻き込まれる

ジュディは一体どんだけ活躍しっぱなし?!
異様なほどの密度ではあるけど
物語の中でもちゃんと時間が流れているのはリアルが増す

本作だけでも、幽霊屋敷+宝石強盗+転校生のいじめ+身分差別
あらゆる事件やトラブルが絡み合って
さすがのジュディも何度もくじけそうになるが

最後は華麗に謎を解いてみせるのは
ホームズにも負けない推理力と行動力








【内容抜粋メモ】

登場人物
ジュディ 医師ボルトンの娘 探偵好きな少女 ファリングドン高校に転校する
ブラックベリー ピーターからもらった愛猫
ホレース 兄 ヘラルド毎日新聞のかけだしの記者
スミード老夫人 祖母

ピーター・ドブス ジュディの幼馴染 ホレースの友人
ドブス夫妻 ピーターが4歳の時に養子にもらった
グレース ピーターの母

アーサー・ファリングドンペット 建築技師
ルイス アーサーの妹 ジュディの親友
ロレイン・リー 父はヘラルド毎日新聞の社長 ソーントン・リー
ケイ・ブィンセント 意地悪な同級生 父ハリー 弟ディッキー
ドナルド・カーター

アイリーン 病気の父を介護しながら、紡績工場で働く 上グローブ通りに住む
バイン・トムソン
ケリー署長



●幽霊屋敷
洪水に遭って、家財をなくしたボルトン一家は
ファリングドン市に引っ越す荷物をまとめていると
祖母のいるスミード農場にアーサーとルイスが
新車ブルーバードでドライブに誘いに来る







兄ホレースは幼い頃、体が弱くて、泣き虫だったが
新聞記者を目指してからも、祖母だけは成功すると予言していた

ルールスビルの町は洪水で全滅したが
ホレースが知らせたお陰で、丘の上に避難して
死者を出さずに済んだことを表彰され

ハリー・ブィンセント氏は自分の持ち家を譲ったが
それは近所から“幽霊屋敷”と怖れられている
ジュディとホレースは逆にその謎を解き明かそうと楽しみにしている

ルイスは親友の証として、ジュディにルビイの指輪をあげる
親友ロレインも同じ指輪を持っているが
去年の夏、家に泥棒が入り、高価なものと一緒に指輪も盗まれてしまった

ジュディはその事件も解決してあげたいと思い
ルイスには自分が一番大事にしているビーズのネックレスをあげる








●バイン・トムソンの霊
ジュディは放っておかれたままの屋敷を掃除しながら
幽霊の謎を解く証拠を探す







近所の人もあの屋敷から早く出たほうがいいと助言する





紡績工場で働く少女アイリーン、アダ、サリーがやって来て
この屋敷から時々、バイン・トムソンの声が聞こえると話す







バイン・トムソンには3人の息子がいた
末息子は行方不明、バイン・トムソンはこの屋敷で射殺された

アイリーンの家に下宿しているトムがなにか手伝いたいと申し出る

ジュディは一夜目に早速、赤ん坊が泣くような声を聞く


●ファリングドン女子高校
ルールスビルではみんな仲が良かったが、ここでは上流階級の少女が通うため
上グローブ通りに住む人たちとは交流がなく、排他的な思いを感じる

幼馴染のピーターが来て、幽霊屋敷に引っ越したジュディに同情していると
屋根の丸い窓に白いものが横切るのを見て驚き、謎の解決に協力すると約束







ピーターはドブス夫妻の養子だが、血のつながりがあるのか
本当の両親は誰なのか、なにも教えてもらえず悩んでいる
ジュディはそれも解明してあげたいと願う

トムが手伝いに来たが、なぜか屋敷のそばに立つ木に登り
声をかけると誤魔化す様子が変だと思う








●屋根裏部屋
一番怪しい屋根裏部屋の探索をして、妙な音と影を見て驚き、足をケガするジュディ
幽霊屋敷の噂のせいで、父の病院に来る患者も少なく困っている様子







その晩もコツコツ叩く音がする

ケイから借りたノートに、なぜか茶色い汚れがついて怒らせてしまう
幽霊屋敷をなじられたため、ハリー・ブィンセントが押し付けたんでしょう!とやり返すと
ルイスまでがレディらしく振舞って欲しいと頼む


●隠された宝石
ホレースが白い痩せこけた猫を連れてきて、ゴーストと名付ける
トムが登っていた木に登り、うろに手を入れると
中には泥棒が盗んで隠したと思われる宝石がたくさん見つかるが
ロレインの指輪はなかった







ケリー署長に事情を話して、バイン・トムソンに関する情報を聞き出す
犯人の3人は逮捕したが、まだ残党がいる







バイン・トムソンは盗品の売買をしていた
長男は若くして死に、次男は刑務所、三男はずる賢くまだ逃げている

ホレースがケイの弟ディッキーに話したため、翌日の学校で宝石の話でもちきりになる
ジュディの着けているルビーの指輪も盗品の一部ではないかと疑う

ルイスから口止めされていたために真相を話せず
ロレインも自分の指輪だと勘違いする

ルイスは熱を出して休んでいて疑いははらせないまま泣いて父に相談する
アイリーン:ケイやロレインは、ジュディとルイスの仲を妬んでいるのよ








●手紙とトランク
再びピーターが屋根裏部屋を探索すると、ラブレターの束と重いトランクを見つける







ハロウィン(万聖節前夜)に仮装パーティーを開いて
事件の謎をみんなの前で披露する計画をたてるジュディ

その時、屋根裏部屋から「こんばんは」とういブキミな声が聞こえる







ラブレターをみんなで読み上げると、バイン・トムソンの長男ジェイムス・トムソンと
16歳のグレイスという少女との熱烈なやりとり








2人は両親に反対されつつ結婚し、町を出る約束をした
ニューヨークで暮らしていたが、夫は帰らなくなり
グレイスは息子と赤ちゃんの世話に苦しむ

家主のブィンセント夫人は意地悪で、部屋代を払わないと追い出すと言い出し
グレイスは仕方なく実家に帰ることにしたが
ブィンセントからの電報には、グレイスが亡くなったとある
悲劇の物語に泣いて同情するジュディ、アイリーン

一方、トランクからは豪華なドレスばかりで宝石はなかった






ジュディは全体のサイズが合わないことに気づいて、底を開けると
中から金貨、紙幣、宝石、そしてロレインの指輪を含むリー家の財宝も見つかる
宝石はケリー署長に預けて、トランクは元に戻す








●ハロウィンパーティー
ジュディはパーティーの招待状を配るが
ルイスは泣きながら学校の友だちは誰も来れないと話す

ロレインが同じ日時にパーティーを開いて、友だちを招き
ルイスの友情を試したため







ジュディはもらった指輪をリンゴの1つにはさみ、ルイスとの友情も諦める

パーティーでジュディは魔女に仮装して、愛猫ブラックベリーを抱いている
ピーターは2m近い身長で婦人に化けてくるw
アイリーンはヴァイオリンを弾いていると
学校の友だちも誤解を解いて全員が来てくれる








●謎解き
ホレースは探偵の扮装で現れ、白い幽霊の正体は白猫のゴースト
隣りの木の枝の音、屋根裏部屋で夜中に賭博が行われていたこと
バイン・トムソンの飼っていた九官鳥が声をマネしていた、と明かす







バイン・トムソンは警察の手入れが入る前に、木のうろに宝石を隠した
いろんな怖い噂を流して、誰も近寄らないようにした

ジュディがトランクの仕掛けを説明しようとして
なくなっていることに気づいて驚くが
トランクを盗み出そうとしていた2人の男をケリー署長が逮捕
トムとバイン・トムソンの末っ子








●ドブス家の秘密
みんなの前でラブレターを読むと、ドブス夫妻がやめろ!と叫ぶ
ピーターが両親について知りたがっていると話すと、ようやく事情を話す








グレイスはピーターの母で、ドブス夫妻の娘
ジェイムスはバイン・トムソンの長男だが
バインの継子だから、ピーターは泥棒の血は引いていないと安心させるケリー署長
ジェイムスは22歳で交通事故で亡くなったため手紙が途絶えた

ルイスは、優越感から差別していたことを謝る
指輪を取り戻そうとして、リンゴの中から探すが出てこない








アーサーが先に見つけて渡し、ルイスは再び友情の証としてジュディに指輪をはめる



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