メランコリア

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少女・世界推理名作選集 23 ぬすまれた花嫁衣裳 マーガレット・サットン/著 金の星社

2023-10-20 18:30:20 | 
1964年初版 1989年 第22刷 久米元一/訳 野々口重/挿画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


ジュディがピーターとの結婚式を控えていながら
またもやのっぴきならない事件に巻き込まれてしまう

ピーターがFBIになろうとしているのはビックリ!
そんなにカンタンになれるものなのか?
Gメンて呼んでるけど、あの『Gメン'75』てFBIのドラマなのか?!

アーサーの妹はルイスとロイスの表記がまちまち
ロレインも本書ではローレンと訳されている

ジュディのシリーズはまだまだあるが
翻訳されたのは半分くらいなのが残念




【内容抜粋メモ】

登場人物
ジュディ 医師ボルトンの娘 探偵好き
ピーター・ドブス ジュディの婚約者 弁護士
ブラックベリー ピーターの祖母からもらった愛猫

アーサー・ファリングドンペット 建築技師
ロイス・ファリングドンペット アーサーの妹
ローレン・リー アーサーの婚約者

ミス・グリムショー 著作権代理業の社長
ポーリン・フォークナー 事務員 ジュディの友人 父は神経科の医者
アリス・ブラッドレー 推理作家




●ウォーレス博士
ジュディはニューヨークでウェディングドレスを買ってファリングドンへ帰る予定
来週の水曜にピーターとジュディ、アーサーとロレインの合同結婚式がある

図書館の近くで浮浪者がパンフレットを売りながら
「心に悩みのある方は、ウォーレス博士の話を聞けば平和を得られるでしょう!」と大声を出している
ジュディが1部買ってあげると、博士は優れた精神病医だから、講演を聞くように誘う


●消えた女流作家
ポーリンは有名な推理作家アリス・ブラッドレーが雑誌に連載している小説
『死の足跡』の最終回の原稿を送ってこず、連絡も取れなくなったため
コネチカットの自宅に原稿を取りに行くと言う

『死の足跡』は作家の家を基に書いていて
ブラッドレーは一人で暮らしている

十字に木を打ち付けた窓の下にあるベッドで、次々と殺人が起きる話で
最初に殺されたのは主人公の愛する妹
毎回、ブキミな泥の足跡がついているという内容

1人で行くのはコワイからジュディに一緒に来てくれと強く頼むポーリン
月曜にリハーサルがあるが、まだ木曜なら間に合うと言われて断れないジュディ
しかし、ブラッドレーの顔を見た者は誰もいない


●ダイヤ入りのロケット
ジュディは学生時代、アーサーと婚約していた時期があり
ルビーの婚約指輪をもらったが、今はローレンがつけているという秘密をポーリンに話す

ピーターは弁護士事務所で働いているが
近いうちにFBI(!)に入りたいと言っている

花嫁は何を身につけたらいいだろう?
新しいもの、古いもの、人から借りたもの、そして青い花
何を身につけようとも
太陽さえ輝いていれば その花嫁はしあわせだ


この詩が好きで、ドレスは新調し、ベールと指輪はドブス夫人のものだと話すと
ポーリンが亡き母の形見のロケットを貸してくれる

ウェイトレスが料理を運んできたため、慌てて、広げて見せていたドレスを片付け
ポーリンは原稿をしまうが、この時、ある手違いがあることに2人は気づいていない


●十字架窓の家
ポーリンはもう1つ、おとぎ話の原稿も読む
魔女がハンサムな王子を犬にかえてお城の門番にした、というストーリー

ブラッドレーの家が小説と同じ造りで
窓の向こうに白いボンネットが揺れるのを見て驚く

犬の鳴き声がして、飼い犬が家にいるのかもしれないと思うが
ドアはどこもカギがかかっている

窓から入って探すと、ジュディは書斎の床に
秘密の落とし板があり地下室に落ちる
そこには絵本や人形がたくさんある

ベッドの上には泥の足跡があり、ようやく1階に上がった時にはウェディングドレスが消えていた
ドレスは買い直すことができるが、同じ箱にポーリンから借りたロケットを入れていた
ポーリンのカバンについた足跡、ボンネット
ウォーレス博士講演集のパンフレットを証拠として持つ


●ロバータ
近所の人に聞き込みをするが、村では魔女扱いされている
グリッグス夫人は何度か会ったことがあるが容姿の印象はまちまち
姪のロバータは、時々、ブラッドレーの犬に食べ物をあげに行っていたと話す

ロバータ:
今日もあの人は私にステキなプレゼントをくれた
濃い栗色の髪、目は青、白雪姫みたいにキレイで、歳はあなたと同じくらい

この夜、ジュディはポーリンの家に泊めてもらい
寝ている間にローレンから電話が来て
ポーリンは口止めされていたルビーの指輪のことを話すと

ローレン:
お古を私に押し付けて感謝しろと言うの?
もうジュディとは口をきかないわ、アーサーとも!

ポーリンの父は神経科の医者なので、ウォーレス博士について聞くと評判が悪い
ブラッドレーも博士の患者の1人ではないかと推理を話すと
市立の精神病院の患者を訪ねる許可をくれる

病院の窓が全部、十字に格子が打たれていて驚く

フォークナー博士:
患者は恐怖症にかかっていて、誰かに襲われるのではないかと思っているから
格子窓があるほうが安心するんです

ジュディは患者のガウンを着て、患者1人1人に声をかけるが、確証は持てない

ピーターも心配して来て、ローレンとアーサーがケンカしたと話す
ローレンの誤解を解いて、結婚式を無事に挙げるためにもピーターも事件に協力する

ミス・グリムショーは自らブラッドレーの家に行ったら、葬式があり
ブラッドレーが亡くなったと報告

飼い主のいなくなった白い犬を預かり、例の足跡と合わせるとピッタリ一致する
ボンネットをくわえていたのも犬だろうと推察する

その後、亡くなったのは、ブラッドレーの大事な妹アイネズだと分かる

ジュディは犬を連れて病院に行けば、飼い主が分かるのでは?と思い
患者の1人がブラッドレーと分かるが、記憶を失っている

博士の診療所に行ったことは覚えているが、小説のことは思い出せないと言うと
強気のミス・グリムショーが泣いて破滅だとつぶやく


●コネチカットの家
ブラッドレーを家に連れて行くと、ロバータが逃げて行くのを見る
ロバータ:王子さまが犬に変えられて、素晴らしいプレゼントをもらったの

ブラッドレーに前回までのあらすじの原稿をタイプで打ってもらうと
たちまち記憶が戻り、すごい集中力で最後まで書き上げてしまう

ブラッドレー:
大事な妹を亡くしたショックで原稿が書けなくなった
妹は21歳だが、知能が遅れて、まるで子どものようで人形などで遊んでいた
人が来ると怯えるので、窓に十字の木を打ち、誰か来ると地下室に隠してやった

妹は小説と同様に窓の下のベッドで死んでいた
犬ととても仲良しで、飛びついたショックによる心臓麻痺

その時にウォーレス博士のパンフレットを見て、診療所に行くと
妹が死んだのはお前の責任だと言われて、気を失い、その後は覚えていない

ジュディはロバータについて聞くが知らないと言うブラッドレー
アイネズの目は茶色で青ではないし、ドレスの箱も見つからないまま


●逮捕
ウォーレス博士の講演会では、強力な鎮静剤を入れた飲み物が振舞われていた
婦人の1人がこん睡状態になり、博士はすぐに連行された
正規の医師免許もないと分かった

ブラッドレーは妹の病気が治るまでは結婚しないと決めていた
15年前にプロポーズされたが断わり
その後もずっとクリスマスカードをくれるというので
ぜひその男性と結婚するべきだとすすめるジュディ


●犬の王子さまのプレゼント
ポーリンは、おとぎ話の原稿の最後の1枚をなくしたことで
ミス・グリムショーとケンカして会社を辞め、泣いている

そのあらすじを聞いて、ようやく最後の謎が解けたジュディ
レストランで慌てた2人は、原稿がドレスの箱にまぎれたのに気づかなかった

箱にはロバータ服装店と書かれていたため
ロバータが自分宛てだと思って持ちかえった
その時みた白雪姫に似たブラッドレーというのは
ジュディと家探ししていたポーリンのこと

グリムショーは原稿が戻って、泣いて喜び、早速、雑誌社に持って行く
ジュディとピーターはロバータからドレスとロケットを返してもらい
おとぎ話が本になったら必ず贈ると約束


●最後の難関
帰宅して、母にローレンの誤解をどう解いたらいいか相談
親友のロイスに話して、とりなしてもらうことにする

ジュディはロイスに事情を話す
アーサーからもらった指輪は、ローレンの大好きなルビーだった
ジュディはピーターを愛していて、アーサーはローレンを愛しているのだと分かった

この話を花壇の影で聴いていたローレンは、アーサーと仲直りして訪ねて来る
2人は和解し合い、結婚式も予定通り行うことにする

ローレン:
あなたって、ほんとにい方ね
でも、ひとの事件に巻き込まれやすいのが欠点ね

ピーター:
ジュディが二度とつまらない事件に巻き込まれないように
ボクが一生監視することにしよう

ジュディ:
もう事件なんてこりごりよ
私たち4人はこれからバラ色の道を進むのよ

しばらく歩いてから、「いくらかハラハラすることも欲しいわね」と思い直すジュディ

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