メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

映画『放浪記』(1962)

2024-10-27 17:02:33 | 映画
監督:成瀬巳喜男 原作:林芙美子

出演
林ふみ子:高峰秀子
きし(ふみ子の母):田中絹代
謙作(ふみ子の父):織田政雄
安岡信雄:加東大介 職工
玩具工場の女主任:菅井きん
伊達春彦:仲谷昇 詩人・劇作家
日夏京子:草笛光子
白坂五郎:伊藤雄之助
上野山:加藤武
福池貢:宝田明
村野やす子:文野朋子
藤山武士:小林桂樹 画家
特高刑事:名古屋章
君子(女給):北川町子
林家の家政婦:中北千枝子
田村(土建屋):多々良純
ほか


観る前にブログ内検索した気がしたけれども
以前観たのを忘れて映画が進むにつれて記憶があることに気づいた

2007年の記録参照

映画化された『稲妻』『浮雲』『めし』などを書いた人なんだな/驚
47歳で亡くなってる


【内容抜粋メモ】
今作も汽車の音から始まる

フミコ:お父さんの売っていた化粧水が腐っていたと警察に捕まった
母キシと駆けつけると父は笑いものにされている

両親は行商人
大きい荷物を背負って、親子3人で各地を歩き回る



母と娘で輸出品の残りの衣類を売って歩く
宿の家賃もたまっている
父から不景気な手紙が届く







フミコ:
男なんてみんな大嫌い
自分の働いた金で女学校に出た
私は明日からいんばいでもなんでもする

同じ宿の安岡信雄は妻を亡くして1人暮らし
フミコはカトリのことを忘れられないがもう結婚している

貯めた12円を全部父にあげるから母に父の元に行けとすすめる



女子事務員募集の列に並ぶフミコ
2人の募集に50人も募集してきた
履歴書を見せるが器量で決まる







田舎から上京をしてきたフリをして立つ
双葉劇団の男が女優として雇う
ミルクホールでサイダーをごちそうになり事務所に行くと迫られる
「そばが食べたいなぁ・・・」

イワイという株屋
弁当つきで月35円 簿記ができるか聞かれる
自分が知ってる簿記と違って冷や汗が出る
とりあえず算盤を上手そうにはじいて見せるが落ちる

青バスの車掌さんも近眼だから×

宿の部屋にお札が置いてあり、安岡に返す
安岡:気にせず使ってください

玩具のセルロイドの色塗り 日給7円 キューピーちゃんだ!
玩具工場の女主任:油売ってると困る!

同僚:女給になろうと思う あんたもどう?

古本屋に寄るのが好き

母から手紙 リュウマチで行商にも行けない
5円でも3円でも送ってほしいと催促されて
安岡に10円を貸してもらう

安岡:
ボクも啄木の詩集を買いました
あなたに影響されて
毎日活字ばかり扱ってる
60円もあれば2人で暮らせる

フミコ:
私は一度男と暮らしたことがある
とてもあなたと所帯を持てる気がしない



カフェの女給になったフミコ
詩人・劇作家の伊達春彦にハイネやプーシキンが好きだと話し
フミコが書いた詩を読むと感心する








日曜日に安岡が散歩に誘うがダテが宿に来て散歩に誘う

ダテ:
同人雑誌に君も載せたい
家庭をおいて2か月も旅に出ていた
彼女のそばにいるだけで腐っていく気がする

ダテもフミコを口説く
フミコ:私は男に甘い 自分に甘いから








夕飯は今川焼を分けて食べる
フミコ:2人分くらい私が稼ぐ

酔って怒られて店を辞めさせられたフミコ
ダテと同じ劇団の女優・日夏京子から手紙がある
「あの晩にあなたの妻になった」というラブレター
フミコを女中だと言ってある

キョウコを部屋に連れ込むダテ
ダテ:金ができ次第結婚する
フミコ:妻は私です
もろ二股!









またカフェの女給に戻る
同僚トキの母が来て、金を無心して、フミコは自分の分もあげる

新聞に詩を出して感心した上野山、白坂五郎、福池貢たちが訪ねてくる

五郎:
我々の仲間に入らないか?
君みたいな素っ裸な詩を書く人がいない

原稿料なんかいらないから書かせてと頼むフミコ

トキはフミコをうらやむ

フミコ:
私は学問がないから難しいことは書けない
詩は学問がなくても書ける
あんたのお母さんを見てると田舎の母親を思い出す



安岡が訪ねて来る
近所は遊郭がある
安岡:これからも遠慮なく言ってください

フミコは原稿を出版社に持ち込む

雑誌社:
無名な作家は載せないがとにかく預かる 1枚30銭
アンデルセンでも読みたまえ



客と酒を10杯飲んだら10円くれると賭けをして勝つフミコ
親分はトキを口説く
フミコは客にケンカ売って店をクビになる

福池貢はキョウコを連れて来る
キョウコはダテと別れた

五郎:
女2人で同人雑誌やらない?
毎月、親から送ってくる金が余ってる

五郎はキョウコが好き

キョウコ:雑誌の題名は『二人』でどう?



大雨の中、フクチが訪ねて来る
フクチ:論文を書いて原稿料が入った



夜、墓地を散歩する
フミコ:私は世田谷のフクチと一緒になろうかと思う

カフェの女給が来る
トキが借りてた6円を返す
トキは結局、時計屋の親分の妾になって月80円のお手当をもらってる



朝から何も食べずに原稿を書くフミコとフクチ

フミコ:
洋食食べない? カレーライス ビフテキ
明日は明日の風が吹く







以前書いた童謡が売れて為替で3円の書き留めが来る
フクチはフミコの才能に嫉妬して冷たくあたる

フミコはフクチの原稿を毎日持っていくが全然売れない
出版社:うちの雑誌には向かない

せっかく用意したご飯をひっくり返して外に出る
たき火をたいて、フクチの詩の原稿をあぶるが止める

お金を借りに五郎を訪ねる
新進作家の村野やす子を紹介する
村野の家はフミコの家に近い

フクチ:お前なんかと暮らすのは懲り懲りだよ
フミコ:私はここに落ち着きたいのよ

田舎から母が来るがフクチは無言で外に出る
母:お前それでも幸せなのかい?
フミコ:今度結婚する時は物書きはやめる

輪島塗りを仕入れたから東京で売るつもりの父
フミコ:ここに泊まるったって布団もない
母:お前も男運が悪いの



五郎らがフクチの家に来るがいない
五郎:私はこんなに貧乏ですってスタンドプレーがニガテ
キョウコ:おふみさん、面食いなのよ







フクチは胸の病気
村野:『女性芸術』に載せる原稿が欲しい

フクチ:
いいチャンスだと思ってるが、恥かくな
オレはお前がつくづくイヤになった 出て行けよ

フミコ:
私もう亭主は誰でもいい
誰でも同じだと分かったから



カフェをズル休みして原稿を書いていて女将に怒られる
店にフクチが来る

フミコ:焼きめしならできるわ
フクチ:いつ帰ってくるんだ?
フミコ:あんたが出て行けというから家出したのよ



また家に戻ったフミコ
キョウコは村野に原稿を届けてと頼む
五郎と結婚することに決めた

安岡に手紙を書いて肺病の薬代20円を借りる
フクチはフミコをぶったり蹴ったりの暴力を振るう

フミコ:
今度こそ本当に出ていきます!
あんたが泣いて頼んだって知らない!

『女性芸術』に載ったのはフミコの原稿
キョウコが来てぶつ
キョウコの原稿は締め切りから10日も遅れて届けられた







フミコ:
わざと遅らせる気持ちはなかった あの晩、フクチと別れた
勤めが見つからず、木賃宿に落ち着いた

キョウコ:今日かぎり書くのを止める



絵描き・藤山武士:自分が寝てる間に働かれるとイライラする

藤山に原稿を読んでもらう
藤山:苦労したんだな、君は







特高刑事:売春婦が逃げて来て、警察に捕まる

フミコは売春婦をかばって一緒に捕まる

『放浪記』が出版される
フクチが記念会に来て祝辞を述べる

フクチ:
改めて作品を読み、ウソも隠しもない真実を見た
『放浪記』はいい作品だ おめでとう

フミコ:
書かなきゃ、おふみは『放浪記』しか書けなかったと言われる
『放浪記』だけが私じゃないわよ



豪邸で原稿を書いてるフミコ
締め切りが過ぎて待つ出版社がたくさんいる

母も引き取ってる
フミコの夢で絹の派手な服を着せられている

印刷会社の社長になった安岡が訪ねている
フミコ:安岡さんがいなかったら飢え死にしていた

安岡:
生まれるのも1人、死ぬ時も1人
自分が自分を助けないで誰が助けるものか

徹夜続きでやつれてるフミコ
藤山が来ても机で寝てしまう 旦那なのか?

少女時代のフミコのシーンで終わり



コメント

ジュニア世界の文学1 若い日の苦しみ リーゼ・ガスト 学研

2024-10-27 16:43:18 | 
1970年初版 小川超/訳 矢吹申彦/ケース・イラスト

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

思春期のもどかしさ、誰にも理解されない孤独な心情や
初恋の燃え上がるような興奮と、相手の言動にどうしようもなく振り回されて
意味もなく泣きたくなる気持ちなどなど、いちいち共感しながら読んだ

日記という形態だから、いろんな気持ちや事象を衝動にまかせて書き殴った感じで
時に支離滅裂だったり、急に大人びた表現を使っていたりして
意味がうまく読み取れない部分も多かった


【内容抜粋メモ】

登場人物
父 母の再婚相手
アクセル 父の亡き前妻の息子
母 ハイディー
ギーザ ハイディーの娘 18歳
ベルベル 学校の隣りの席の子
セバスチアン
ヒルパート 傷痍軍人
シビレおばさん ハイディーの古い友



事の起こりは、ギーザがアクセルのカバンを借りて、プールに行き
カバンを盗まれたことから始まる

その3日前、プールで感じのいい青年に会い
また会えるかと期待したがそんな偶然はなし

ギーザの母は高校教師で、父とは再婚同士
父の息子アクセルと同居していて、19時半の門限とか
古いルールにウンザリしている

アクセルは新品同様のカバンを買って返せと言い
母に相談しようにも、学校や家事で話し合う時間がない

隣りの席のベルベルに話すと、新聞の求人広告でバイトを見つければいいと教えられ
足が不自由な傷痍軍人ヒルパートさんの家の掃除をするバイトを始める
ヒルパートさんは画家で、しばらく通ううちにギーザを描きたいと言われてモデルになる

ベルベルの家に遊びに行くと、母親は子どもと一緒に話したり、遊んだりして
自分の両親、家庭と真逆で羨ましく思う



大学生から『限界状況下の若い世代』の講演を聞こうと誘われて行くと
プールで見かけた青年セバスチアンがいて、ハスキーな声に惹かれる(分かるな

それからギーザの生活は一変し、セバスチアン中心となる
ヒルパートさんはギーザの変化にいち早く気づく

アクセルに誘われた少年合唱団でもセバスチアンと会い、電話番号を教えた



ギーザ:私、家がイヤでたまらないの

アクセルはバカにしたような古い歌をうたって2人で盛り上がる

セバスチアンから電話がかかり、競馬場で夕食をとるデートに誘われる

ギーザは勉強に身が入らず、歴史の授業でカンニングしたのがバレて落第する

大人なんてなにも分かってない
子どもは黙っていても母親に分かってもらえるはずと無意識に思っていた
母親は察してくれると本に書いてあるが、現実は似ても似つかない

ヒルパート:
大事なのは、力いっぱい打ち込むことだ
人間なにかをやる時は火の玉になって燃え立つことだ(岡本太郎さんみたいだな

セバスチアンの心を勝ちとろう 私の中の熱い炎で
大人になるまで待ちなさい、という決まり文句はもう飽き飽きした



アクセルがガーデンパーティーに誘う
客が余興を披露して、教授が審査して賞をもらうから
2人で例の歌をうたおうということになる

アクセルはギーザに白いドレスまで新調してくれた
2人の歌は大喝采を送られ、ギーザはたくさんの男性と踊った
セバスチアンもギーザの新たな一面に驚いて褒めてくれて有頂天になる



夏休み
父とハイディーは旅行の予約をしていたが、ハイディーが病気になる
ギーザは祖父母の家に行く予定だったが、母の看病を口実に
セバスチアンと会えるのを楽しみにして
母の病気を喜んだことに罪悪感を感じる

なのに、セバスチアンと会えるのは週に1回か2回
次に会う日も決めずに別れるのも不安をかきたてられる
(分かる! 相手の都合に合わせすぎると消耗するよね

ハイディーは亡き実父の生命保険が下りて、ギーザの教育費としてまとまった金額を渡す
貯金通帳をつくり、ギーザを信用して自分で管理するよう言う

ギーザは部屋にカギをかける引き出しもないのを前から不満に思っているが
「18くらいの時は隠しごとはないほうがいい」という父の意見に押されている

ハイディーはギーザに親友のシビレおばさんの所に行ってはどうかとすすめる
セバスチアンは郷里へ帰るのにお金がないと愚痴り
ギーザはハイディーからもらった10マルクを貸す

セバスチアンに絵のモデルをしたと話すと、観たいと言うのでヒルパートさんの家に一緒に行く
絵の中のギーザはアマゾンのように大胆で、勇気にあふれている
セバスチアンは心の底から感心した様子

ヒルパート:人生はとても素晴らしいんだよ 本当なんだ!

ギーザはヒルパートさんといる時のほうが素の自分でいられて楽しかった
クラスの友だちも、母の前ですら“いい子に見せたい”と思って肩ひじ張って疲れてしまう
初めて踏み込んだ質問をして、一度結婚して、男の子がいると分かる



シビレおばさんは美人じゃないが、とても魅力的
バルテルス夫人も気に入る
診察室はいつも満杯で、シビレおばさんの婚約者“たわしさん”もいる

バルテルス夫人:
祈りには2種類しかない
1つは賞賛と感謝、もう1つは力をお願いするお祈り
「主なる神よ 汝が課したもうものに耐える力をお与えください」

シビレおばさん:私の宗教は人のために働くこと

ギーザは結婚して、男の子を持ちたいと思う

シビレおばさん:
自分の器量が悪いのをハンディキャップだと思っていた
でも、人間の価値は別のところにあると分かった

あっという間に滞在の10日間が過ぎる
恋がなくても幸福は存在するのだ 恋をしているとそれが分からない



ギーザはみんなが知らない間に体力章をとろうと頑張る

セバスチアンと喫茶店で会い、父とけんかしたと話す
ギーザ:ここを出る?
セバスチアン:そうだ 飛び出そう ましなことをやろう!



セバスチアンが2、300ほど金を貸して欲しいと言う
ギーザは迷いつつ、セバスチアンの力になりたいと思い、貯金通帳から下ろして渡す
(だから、相手が友だちでも恋人でもお金の貸し借りはトラブルにしかならんて/汗

全的な人がうらやましい
100%善良、100%不良になれる人が
私はなんでも中途半端だ

(これもよく感じるけど、自分以外になろうとすること自体違うんだよね

ハイディーの引き出しに睡眠薬を見つけて、ポケットにしまう

セバスチアンからなにも連絡がなく、不安な日々が過ぎる
誰にも相談できず、泣き暮らすギーザ
幼児か、生まれる前に戻りたいと考える

手紙を書いて問いただすと、長い返事が返ってきた

セバスチアンは28歳で、4年前に婚約した
婚約者の父のなさけで大学で勉強することになったが、法科は合わない

追い込まれていた時にギーザに会い、勇気、実行力、自由に生きる姿に感銘を受けた
友人がスペインに行こうと誘ってくれて、借りたお金で旅をしている

写真を送るから、新聞社に売って、半々にしよう
婚約は解消するつもりだ
(売れるかどうかも分からん写真をGFに売ってもらうってズルすぎる

ヒルパート氏は君を愛しているが、君には歳をとりすぎている


セバスチアンは一度も自分を愛してくれたことなどないと分かり
婚約者がいるのにキスしたりデートに誘ったのはどうしてだ!?と頭が混乱し
ギーザはヒルパートさんを訪ねる

ベッドを借りて寝て起きると、シビレおばさんが来ている
2人はギーザの日記を読んで事情を知る

シビレおばさん:
あなたは本物の恋をした 全的に
これは素晴らしい体験だ
大事なのは、あなたが彼を愛したということ
とにかく、力いっぱい生きること

相手は自分の都合だけで勝手に縁組を破棄するような男
仕事についてもすぐ辞めてしまうし
自分を「要求ばかりで行動のエネルギーを持たない」と言って
それを不敵と思って得意がってる

どんなに愛情や理解があっても、母親と話し合えるのは娘自身も子どもを持ってから
その自然法則は認めるより仕方ない

あなたのような体験をした人は、自分の子どもに今何が起きているか
いち早く気づくと思う

“明日の母親”は、夫と並んで、子どもたちの後ろに壁のように立ち
人生に飛び立とうとする時、背後を守ってあげられるでしょう

私の貯金からハイディーに返すから
診察室の助手になって、月賦で払って

アクセルはあなたが好き
ヒルパートさんの足は思ってるより悪いから医師に見せること
正式にお世話すること

両親とかけあって、ギーザの部屋にカギをかけられるよう交渉した
お父さんは「子どもらが30分早く起きてくれれば家族で話ができるのに」と言っていた



あとがき

リーゼ・ガスト
西ドイツの家庭小説・少女小説の作家として知られる
夫は戦死、8人の子どもを育てながら小説を書いた

『若い母ランディー』
『海辺のポニー』
『ポニーとわたしたち』
『山の家の少女』
など

「犬と子どものしつけは世界一」と言われるドイツの家庭で
当人は深刻に苦しんでいるのに、大人たちには鼻であしらわれる孤独感などが描かれる

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