メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

岩波少年文庫 3117 フランバーズ屋敷の人びと 2 雲のはて K.M.ペイトン/作 岩波書店

2024-10-21 17:55:07 | 
1981年初版 1989年 第7刷 掛川恭子/訳 ビクター・G・アンブラス/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


1を読んで少し間が空いてしまったけれども、読み始めたらすぐに没入して一気読み
飛行機が人々の移動手段として使われ始めた頃の命知らずな感じが伝わる章だった
女性の参政権について議論され、女性の自立、解放が徐々に見られるのも興味深い

そして、突然、物語は第一次世界大戦に入っていく


【内容抜粋メモ】

登場人物
クリスチナ・パーソンズ
グレイスおば 洋裁で生計を立てている

フランバーズ屋敷
ラッセル 父 亡妻イザベル
マーク 長男
ウィリアム 次男
メアリー 女中頭

ダーモット氏
ジョー 整備士

パーシー・アダムズ 銀雲飛行学校の経営者
サンディ 指導員
ドロシー・ソーンダーズ ホテル「ブドウのふさ亭」経営者の娘 飛行学校に通う
カーター夫人 ホテル「ブドウのふさ亭」女中頭



クリスチナはバタシーのグレイス叔母にウィリアムと駆け落ちしてきたと話す

ウィリアムが飛行機に関係した仕事を探すまでの間
クリスチナは叔母の家で洋裁の仕事を手伝うが
ひどいホームシックになる









不自由な足のせいで面接を次々断られたウィリアム
飛行機の設計図も実際に飛ぶことを証明できないことには進まないが
それには資金がいる

銀雲飛行学校の経営者パーシー・アダムズも金を惜しんで
たった1人の指導員サンディと無能な整備士のほかに人を増やそうとしない

エルム・パーク飛行場の喫茶店でお茶1杯を飲みながら
長時間労働で疲れているサンディの代わりに飛行機を飛ばしてみせるウィリアム

サンディ:君が僕の仕事を狙っているのは知ってるよ
アダムズ:君に任せてみよう

サンディのGFで生徒のドロシーの叔父は医者でウィリアムの足について相談すると
スイスに優れた外科医がいると教える

クリスチナは少しでもウィリアムと一緒にいたいために
ドロシーの父が経営する高級ホテル「ブドウのふさ亭」の受付嬢となる







ウィリアムは格納庫を借りて住んでいる






クリスチナはウィリアムに誘われて初めて飛行機に乗る
不安や恐怖を口にしてウィリアムに軽蔑されたくないために平気だとウソをつき続ける

ウィリアムの尊敬するダーモット氏がエマ号で墜落死したしらせが届く
ウィリアムは葬儀にかけつけ、ダーモット氏からエマ号をもらう







葬儀から帰り、朝の6時までに終わらせなきゃならない仕事があり
クリスチナも手伝って、ようやく午前3時に終わる

クリスチナ:
ウィルが私よりおんぼろ飛行機が好きだとしても
私ほどウィルを愛している人はいないわ

カーター夫人はクリスチナが男性と一緒にいて朝帰りしたことに激怒する
ドロシーが証人となって、ソーンダーズ氏は水に流してくれる







ダーモット氏の整備士ジョーはエルム・パークに来て、整備士をしながら
空いた時間はウィリアムとともにエマ号の改造に取り組む

飛行場では階級的な差別はなく、パイロットも生徒も、整備士もみな親しく付き合っていた
エマ号は最高時速65マイル出して、飛行場第二の速度を出した

それに伴い、完璧なパイロットが必要なため、ウィリアムはスイスに行き
300ポンドの借金をして外科手術を受けて、ヒザが曲がるようになる

ウィリアムは指導員に格上げされ、借金を返すために飛行機の競技会に出たり
旋回などの曲芸で儲ける興行に出る



飛行機をフランスに届けるために英仏海峡横断飛行にクリスチナを誘う(!
(今だって急に飛行機に乗るって恐ろしいのに、ロングドレスで舞踏会とか行ってる時代の女性を
 いきなり飛行機に乗せて海峡を越えさせるって拷問だよ/汗×5000

爆音で会話も聞こえず、時々メモをやりとりする2人
ウィリアム:これこそ人生だ、クリスチナ!

クリスチナは心底では「みんなきちがいよ」と思い、ウィリアムに愛憎を感じつつ
軽蔑されたくないがために平気を装う

途中、急に油が漏れて、生きた心地のしないクリスチナに
「君を愛してる」とメモを渡すウィリアム

フランスに着いて、海岸の大地を味わったのも束の間
再び空に舞い上がり、大雨となり、見知らぬ土地に不時着して納屋で眠る

翌朝、牛が群がって、寝起きから早速、飛行機に乗る









ウィリアムは余った時間はダーモット号の製作に夢中になる

飛行機での宙返りに高額を払うもの好きもいてエマ号で試すウィリアム
この時代、安全ベルトもないから、農家からロープを借りて、体を縛ってたって・・・↓↓↓
クリスチナ:群衆は心の中では墜落を見たがっているのよ

当時はまだ珍しい飛行機で無茶をして、墜落したり
空中分解して死ぬ事故が毎日のように新聞に載る

興行師がウィリアムと契約し、曲技飛行の公開が決まる
興行は大成功で、観客を乗せて宙返りを見せる

ドロシー:お祝いをしなくちゃ! 私たちを乗せて宙返りしてよ!

クリスチナ:私、ムリよ・・・
ウィリアム:ナンセンス もちろん君はボクを愛してる

飛行機が飛び立ち、クリスチナは肩のヒモを外して、やっぱりムリだと拒否したため
ウィリアムはかんかんに怒る







ウィリアムは他の男性のように自分を大切なものとして大事に扱ってくれたことは一度もない
でも“同等な人間”として扱ってくれた

翌朝、クリスチナはウィリアムに謝る(なんで?!
ドロシーは怖い思いをした復讐として、ウィリアムを乗馬に誘う

ウィリアムは荒い性格の馬をクリスチナに譲り、自分は女性用の馬に乗る
クリスチナは乗馬の楽しさを思い出し、高い柵も飛び越えて3人を驚かせる



ウィリアムはブレリオ機で事故ってろっ骨を3本折っても仕事を続けた
宙返りの写真が新聞に載り、大勢の崇拝者ができる

居心地の良い下宿にサンディと引っ越し、借金を返して
クリスチナにドレスを買えるほどになる



マークは入隊し、騎兵隊の将校となって、下宿に来る
ドロシーはひと目でマークの魅力に参ってしまう

ウィリアムはクリスチナにサファイアの婚約指輪をプレゼントする
ウィリアム:君が21になるか、父さんが死んだら僕たちは結婚するんだ

ウィリアムはサンディと2機編隊飛行する興行を考えるが
エンジン故障で不時着し、前歯を何本か折って入院する
それでも懲りずに飛行大会出場の招待を受ける








マークから父ラッセルが亡くなったと電報が来る
ウィリアム:しめた、結婚できるぞ



ウィリアムは父の葬儀をエスケープし、クリスチナは叔母と出席する
ラッセル叔父は全財産をマークに譲り、ウィリアムには何も残さなかった









ウィリアムは夢だったダーモット号の処女飛行を成功させる
結婚の日取りが決まり、マークが父の代わりに出席することが決まる

ドロシー:なにか起これば、ウィリアムとサンディは空軍に入るって言ってたわ



飛行大会の当日、記録的な大観衆が集まった
ドロシーはマークに会いに行ったと思われ
クリスチナはフレディとエミリーとともに見学するが途中ではぐれる

1機が金切り声をあげながら墜落
亡くなったのはサンディだった









翌日、ウィリアムは予定通りテスト飛行を成功させて
念願の国立航空機製作所の設計の仕事に受かるが
かねてから考えていたとおり、イギリス空軍に志願すると明かす

サンディが以前「人間は時間をかければ何にでも慣れるものだ」と言ったのを思い出す

サンディの葬儀後、「オーストリア、宣戦布告」のニュースが流れる
クリスチナ:もう何があっても平気!

2日後、大英帝国はドイツに宣戦布告

ウィリアムとクリスチナの結婚式が済み、2人は新婚旅行に出かける












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