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『アートコミック まんが西洋美術史3』(美術出版社)
高階秀爾/監修
<目次>
第1章 後期印象主義→世紀末の美術
まんがゴッホ、後期印象主義の美術、まんがセザンヌ、世紀末の美術
第2章 20世紀前半の美術
20世紀前半の美術、まんがマティス、超現実主義「シュルレアリスム」の仲間たち、ピカソ
第3章 20世紀後半の美術
20世紀後半の美術
<本書抜粋メモ>
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ゴッホ
オランダ生。叔父のつてで画廊で働く→ロンドンに転勤。ウージェニーに失恋→パリ本店に移る
→牧師→27歳で画家を目指す→娼婦クリスティーヌと同棲して別れる→弟テオとパリで暮らす。
テオは29歳で画廊の支配人。ゴッホは400枚もの浮世絵を収集。→酒びたり→
南フランスのアルルでゴーギャンと暮らすが1ヶ月で仲違いし、耳を切り落とす→精神病院に入院
「赤い葡萄畑」が売れた→オーベールでガッシュ博士の治療を受けるが、37歳で自殺。テオも半年後死去。
生前1万6000点描いて1点しか売れなかった。1日1点の勢いで描いたって凄い。。
「後期印象主義」
「象徴主義」
日常の生活やものを描きながら、生と死、愛、神秘的な世界など直接絵にするのが困難な事柄を、
なにかのたとえを使って表現しようとした→ナビ派、フォービズム
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ゴーギャン
日曜画家→職を捨てゴッホとアルルへ→タヒチへ
強い色彩、浮世絵に影響された構図、縁取りの線が特徴
「新印象主義」(点描主義)
スーラ カラー印刷の原理(赤・青・黄)と同じ。「反対色対比」
「ナビ派」ナビ=ヘブライ語で預言者の意。
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セザンヌ
フランス生。現代絵画の父と呼ばれる。親友ゾラ(作家)。
ピサロが師となるが、自然を再構成して時間もかかるため、描いている花は枯れ、季節が移り変わる様子も描いた。
サント・ピクトワール山を60回以上描く。
●世紀の終末
ルドン、モロー、ムンク、マンソール、クノップフ、ベックリンらは、心の奥にある不安感を描いた。
「アール・ヌーボー」
ジークフリート・ビングという画商がパリで開いた美術工芸品店の名前に由来。
「新しい芸術」の意。東洋+ケルト。
マンソール、クノップフ、ベックリン、ロートレック(初のポスター美術)、ミュシャ、エミール・ガレ
鉄+ガラスを使った建築。ギマール(メトロ入口)、ウィリアム・モリス、アンリ・ベン・デ・ベルデ
「表現主義」
心の動きや感情など、内側の世界を描く絵画。
「フォービズム」(野獣派)
1905年マティスから。「ブリュッケ(橋)」(キルヒナー)や「青騎士」(カンディンスキー、クレー)というグループが中心。
「キュビズム」
対象をいったん多くの図形に解体し、それらを改めて画家自身の感覚によって再構成する絵画の革命。
ピカソがセザンヌの画面構成+原始美術の影響を受けてはじめた。「アビニョンの娘たち」。
現実の空間をまねるのでなく、絵画の中にしか存在しない空間を創造した。
ブラックは「コラージュ」を発明。
「未来派」
イタリアの詩人マリネッティが宣言した。
これまでの文化や政治を否定し、スピード感と機械に代表される現代のダイナミックな感覚を讃える。
「シュプレマティスム」(絶対主義)
幾何学的な形態だけで絵画を構成する。マレービッチ。
「構成主義」
ロドチェンコ、タトリン 芸術家→技師
「デ・ステイル」:モンドリアン
「幻想絵画」:ルソー、デ・キリコ
「ダダ」
大戦から逃れてスイスのチューリヒに集まった芸術家たちによって始まった。
「キャバレー・ボルテール」という店で即興詩の朗読、歌や騒音音楽、仮面舞踏などを催した中から生まれた。
デュシャンはレディメイド(既製品)の便器を作品として提出。
自動記述法、コラージュ、フォト・モンタージュ、フロッタージュ、オブジェなど開発された。
「シュルレアリスム」
詩人アンドレ・ブルトンが自動記述法(オートマティスム)を開発。
人間の意識の裏に隠された想像力や不思議な力を解放した。
2つの大戦の間の世代は、常に不安を抱いていた背景がある。
メンバの入れ替わりが激しく、ブルトンの死で終わった。
エルンスト、ミロ、ダリ、マン・レイ(ソラリゼーション、レイヨグラフ)、マグリット(夢のイメージの写実的な再現)、デルボー、イブ・タンギー、マッソン、ジャコメッティ、メレット・オッペンハイム、ボロック、ゴーキーなど。
デ・キリコ(イタリア画家。形而上派。デカルコマニー)「芸術作品とは現実の常識や論理を超えた世界を表すものだ」と考えた。
「エコール・ド・パリ」(パリ派)
モンマルトルに集まり、酒や麻薬で荒れた生活を送りながら、戦争の不安やパリの反映を描いた。
モディリアニ、シャガール、ユトリロ、キスリング、藤田嗣治、ローランサン
●バウハウス
1919年にドイツでグロピウスが作った美術、デザイン、建築の総合的な教育機関。クレーやカンディンスキーが教授を務めた。
「アール・デコ」
1925年のパリ国際装飾博覧会で広く知られるようになった美術様式。工業製品や日用品などにまで普及。
アール・ヌーボーのような華やかさはないが、洗練された美しさ+機能的なデザインが受けた。
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マティス
北フランス生。21歳入院先で絵を描き始める。モローの推薦で入学。
ピサロの紹介した画商ボラールからセザンヌを購入。
印象派→点描画→自由な独自の色で描いて「野獣派」と呼ばれた。
20世紀の美術は、大きく「抽象」(カンディンスキー、クレー)と「幻想」(ルソー、デ・キリコ、シャガール)に分けることができる。
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ピカソ
スペインの港町マラガ生。父は画家。子どもの頃から絵を描く。→ラ・コルーニャ→バルセロナ→マドリッド→パリ「青の時代」→「洗濯船」で共同生活→「バラ色の時代」→人類博物館で原始美術に感銘を受ける。
→セザンヌの「大水浴」をもとに「アビニョンの娘たち」を描く→ブラックとキュビズムを探求
→「藤いすのある静物」で初のコラージュ→ジャン・コクトーと出会う→ローマ→「第二古典主義」
→シュールレアリスムと出会う→「ゲルニカ」を描く。「絵画は壁の飾りなんかじゃない!破壊をもたらす敵に対しての、守りと攻撃の手段だ」
戦地に留まって歌をうたいながら描き続けたってスゴイ!→「猿の母子像」→1973年死去
「絵画が終わることはない。たいていの場合、それは、何者かによって中断させられるだけである」
一体何人の妻と恋人、子どもがいたんだろう?!驚
第二次大戦以降、ヨーロッパから多くの芸術家がアメリカに亡命し、芸術の中心がパリからニューヨークに移る。
ジョージア・オキーフ、エドワード・ホッパー
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彫刻
ロダンからはじまる。マイヨール、ブランクーシ(無限柱)、ヘンリー・ムーア、ジャコメッティ
ドルメン=支石墓(しせきぼ)。新石器時代から初期金属器時代にかけて、世界各地で見られる巨石墓の一種である。基礎となる支石を数個、埋葬地を囲うように並べ、その上に巨大な天井石を載せる形態をとる。
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建築
19C末に鉄筋コンクリートが考案される。芸術→環境の一部へ。ポスト・モダン建築(1970~)
ガウディ、フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジエ、ヨルン・ウッツォン(オペラ・ハウス)
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写真
1839年にダゲールが写真術を完成。20世紀にカラーに。戦争の報道で発達。
アルフレッド・スティーグリッツ、ロバート・キャパ、ジョン・ハートフィールド、ロバート・フランク
「アール・アンフォルメル」(非定形の美術)
戦争の影響が濃い。フォートリエ「人質」、フランシス・ベーコン、デュビュッフェ、ヴォルス、
ジャクソン・ポロック(ドリッピングなどのアクション・ペインティングを始めた)
「ネオ・ダダ」
1950年半ば、オブジェ、コラージュなど。デュシャン、ジャスパー・ジョーンズ
「ポップアート」
1950年~アメリカ。アートと大量消費文化(マスメディア、マスプロダクション)が結びついた。
アンディ・ウォーホル(「繰り返せば有名になれる」)、ロイ・リキテンスタイン、リチャード・ハミルトン、アルマン、イブ・クライン
「ミニマリズム」
1960年~アメリカ。最小限にまで切り詰められた表現。ロバート・モリス、フランク・ステラ
「オップ・アート」
視覚効果による美術。ブリジット・ライリー、ビクトル・バザーリ
「キネティック・アート」(動く美術)
アレキサンダー・カルダー:風で動くモビールを作った(1930)のがはじまり。
ダン・フレイビン(ライト・アート。光の芸術)
「パフォーマンス・アート」
ベトナム戦争に反対する若者からはじまる(1960)。
観客と交流する「ハプニング」、身体を素材にした「ボディ・アート」など
「コンセプチュアル・アート」(考えだけを伝える芸術)
ジョセフ・コスース
「パブリック・アート」
1960~アメリカ。公共の美術作品。イサム・ノグチ(大阪万博の噴水)
日常生活がアートになった
ルチオ・フォンタナ、イブ・クライン、ジャン・ティングリー(スクラップアート)
「アース・アート」
1960~イギリス、アメリカ。人工素材をまったく使わず、自然と一体化する作品をつくる。エコロジーと関係。リチャード・ロング
「アッサンブラージュ」(寄せ集め):キーンホルツ夫妻
「インスタレーション」
室内や屋外の空間全体を取り入れた大規模な作品。ダニエル・ビュラン、ウォルター・デ・マリア、クリスト(傘)
「フォト・リアリズム」
1960半ば~1970半ば。アメリカ。あたかも写真のように見える極端に写実的な描写で表現する絵画。
カメラを通して見た映像の奥行きのなさや、その平面性を細密に画面に表した。
チャック・クローズ、リチャード・エステス、マルコム・モーリー
「ビデオ・アート」
ナム・ジュン・パイクがビデオ映像を数時間後に別の場所で上映した時にはじまる(1965)。
「メディア・アート」
ジェニー・ホルツァー:電光掲示板に文章を流した。ジョディが主演した映画「バックトラック」のモデルなんだ/驚
情報に動かされて生きるわたしたちへの警告でもある。
「新表現主義」
アンゼルム・キーファー「アタノール」、キース・ヘリング、フランチェスコ・クレメンテ
「アプロプリエーション」(流用、コピー文化の美術)
芸術作品は本物でなくてはならない、という考え方を捨て去った。
マイク・ビドロ、ヘリー・レビン、ジェフ・クーンズ
「マルチプル」
複数つくられる版画と同じような立体作品。ダニエル・スペーリ。
「ポリティカル・アート」
創造するという人間の能力を通じて、社会を変えることに関わる。ハンス・ハーケ「ゲルマニア」、ヨーゼフ・ボイス
「マイノリティの美術」
シンディ・シャーマン