1970年初版 小川超/訳 矢吹申彦/ケース・イラスト
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
思春期のもどかしさ、誰にも理解されない孤独な心情や
初恋の燃え上がるような興奮と、相手の言動にどうしようもなく振り回されて
意味もなく泣きたくなる気持ちなどなど、いちいち共感しながら読んだ
日記という形態だから、いろんな気持ちや事象を衝動にまかせて書き殴った感じで
時に支離滅裂だったり、急に大人びた表現を使っていたりして
意味がうまく読み取れない部分も多かった
【内容抜粋メモ】
登場人物
父 母の再婚相手
アクセル 父の亡き前妻の息子
母 ハイディー
ギーザ ハイディーの娘 18歳
ベルベル 学校の隣りの席の子
セバスチアン
ヒルパート 傷痍軍人
シビレおばさん ハイディーの古い友
事の起こりは、ギーザがアクセルのカバンを借りて、プールに行き
カバンを盗まれたことから始まる
その3日前、プールで感じのいい青年に会い
また会えるかと期待したがそんな偶然はなし
ギーザの母は高校教師で、父とは再婚同士
父の息子アクセルと同居していて、19時半の門限とか
古いルールにウンザリしている
アクセルは新品同様のカバンを買って返せと言い
母に相談しようにも、学校や家事で話し合う時間がない
隣りの席のベルベルに話すと、新聞の求人広告でバイトを見つければいいと教えられ
足が不自由な傷痍軍人ヒルパートさんの家の掃除をするバイトを始める
ヒルパートさんは画家で、しばらく通ううちにギーザを描きたいと言われてモデルになる
ベルベルの家に遊びに行くと、母親は子どもと一緒に話したり、遊んだりして
自分の両親、家庭と真逆で羨ましく思う
*
大学生から『限界状況下の若い世代』の講演を聞こうと誘われて行くと
プールで見かけた青年セバスチアンがいて、ハスキーな声に惹かれる(分かるな
それからギーザの生活は一変し、セバスチアン中心となる
ヒルパートさんはギーザの変化にいち早く気づく
アクセルに誘われた少年合唱団でもセバスチアンと会い、電話番号を教えた
*
ギーザ:私、家がイヤでたまらないの
アクセルはバカにしたような古い歌をうたって2人で盛り上がる
セバスチアンから電話がかかり、競馬場で夕食をとるデートに誘われる
ギーザは勉強に身が入らず、歴史の授業でカンニングしたのがバレて落第する
大人なんてなにも分かってない
子どもは黙っていても母親に分かってもらえるはずと無意識に思っていた
母親は察してくれると本に書いてあるが、現実は似ても似つかない
ヒルパート:
大事なのは、力いっぱい打ち込むことだ
人間なにかをやる時は火の玉になって燃え立つことだ(岡本太郎さんみたいだな
セバスチアンの心を勝ちとろう 私の中の熱い炎で
大人になるまで待ちなさい、という決まり文句はもう飽き飽きした
*
アクセルがガーデンパーティーに誘う
客が余興を披露して、教授が審査して賞をもらうから
2人で例の歌をうたおうということになる
アクセルはギーザに白いドレスまで新調してくれた
2人の歌は大喝采を送られ、ギーザはたくさんの男性と踊った
セバスチアンもギーザの新たな一面に驚いて褒めてくれて有頂天になる
*
夏休み
父とハイディーは旅行の予約をしていたが、ハイディーが病気になる
ギーザは祖父母の家に行く予定だったが、母の看病を口実に
セバスチアンと会えるのを楽しみにして
母の病気を喜んだことに罪悪感を感じる
なのに、セバスチアンと会えるのは週に1回か2回
次に会う日も決めずに別れるのも不安をかきたてられる
(分かる! 相手の都合に合わせすぎると消耗するよね
ハイディーは亡き実父の生命保険が下りて、ギーザの教育費としてまとまった金額を渡す
貯金通帳をつくり、ギーザを信用して自分で管理するよう言う
ギーザは部屋にカギをかける引き出しもないのを前から不満に思っているが
「18くらいの時は隠しごとはないほうがいい」という父の意見に押されている
ハイディーはギーザに親友のシビレおばさんの所に行ってはどうかとすすめる
セバスチアンは郷里へ帰るのにお金がないと愚痴り
ギーザはハイディーからもらった10マルクを貸す
セバスチアンに絵のモデルをしたと話すと、観たいと言うのでヒルパートさんの家に一緒に行く
絵の中のギーザはアマゾンのように大胆で、勇気にあふれている
セバスチアンは心の底から感心した様子
ヒルパート:人生はとても素晴らしいんだよ 本当なんだ!
ギーザはヒルパートさんといる時のほうが素の自分でいられて楽しかった
クラスの友だちも、母の前ですら“いい子に見せたい”と思って肩ひじ張って疲れてしまう
初めて踏み込んだ質問をして、一度結婚して、男の子がいると分かる
*
シビレおばさんは美人じゃないが、とても魅力的
バルテルス夫人も気に入る
診察室はいつも満杯で、シビレおばさんの婚約者“たわしさん”もいる
バルテルス夫人:
祈りには2種類しかない
1つは賞賛と感謝、もう1つは力をお願いするお祈り
「主なる神よ 汝が課したもうものに耐える力をお与えください」
シビレおばさん:私の宗教は人のために働くこと
ギーザは結婚して、男の子を持ちたいと思う
シビレおばさん:
自分の器量が悪いのをハンディキャップだと思っていた
でも、人間の価値は別のところにあると分かった
あっという間に滞在の10日間が過ぎる
恋がなくても幸福は存在するのだ 恋をしているとそれが分からない
*
ギーザはみんなが知らない間に体力章をとろうと頑張る
セバスチアンと喫茶店で会い、父とけんかしたと話す
ギーザ:ここを出る?
セバスチアン:そうだ 飛び出そう ましなことをやろう!
*
セバスチアンが2、300ほど金を貸して欲しいと言う
ギーザは迷いつつ、セバスチアンの力になりたいと思い、貯金通帳から下ろして渡す
(だから、相手が友だちでも恋人でもお金の貸し借りはトラブルにしかならんて/汗
全的な人がうらやましい
100%善良、100%不良になれる人が
私はなんでも中途半端だ
(これもよく感じるけど、自分以外になろうとすること自体違うんだよね
ハイディーの引き出しに睡眠薬を見つけて、ポケットにしまう
セバスチアンからなにも連絡がなく、不安な日々が過ぎる
誰にも相談できず、泣き暮らすギーザ
幼児か、生まれる前に戻りたいと考える
手紙を書いて問いただすと、長い返事が返ってきた
セバスチアンは28歳で、4年前に婚約した
婚約者の父のなさけで大学で勉強することになったが、法科は合わない
追い込まれていた時にギーザに会い、勇気、実行力、自由に生きる姿に感銘を受けた
友人がスペインに行こうと誘ってくれて、借りたお金で旅をしている
写真を送るから、新聞社に売って、半々にしよう
婚約は解消するつもりだ
(売れるかどうかも分からん写真をGFに売ってもらうってズルすぎる
ヒルパート氏は君を愛しているが、君には歳をとりすぎている
セバスチアンは一度も自分を愛してくれたことなどないと分かり
婚約者がいるのにキスしたりデートに誘ったのはどうしてだ!?と頭が混乱し
ギーザはヒルパートさんを訪ねる
ベッドを借りて寝て起きると、シビレおばさんが来ている
2人はギーザの日記を読んで事情を知る
シビレおばさん:
あなたは本物の恋をした 全的に
これは素晴らしい体験だ
大事なのは、あなたが彼を愛したということ
とにかく、力いっぱい生きること
相手は自分の都合だけで勝手に縁組を破棄するような男
仕事についてもすぐ辞めてしまうし
自分を「要求ばかりで行動のエネルギーを持たない」と言って
それを不敵と思って得意がってる
どんなに愛情や理解があっても、母親と話し合えるのは娘自身も子どもを持ってから
その自然法則は認めるより仕方ない
あなたのような体験をした人は、自分の子どもに今何が起きているか
いち早く気づくと思う
“明日の母親”は、夫と並んで、子どもたちの後ろに壁のように立ち
人生に飛び立とうとする時、背後を守ってあげられるでしょう
私の貯金からハイディーに返すから
診察室の助手になって、月賦で払って
アクセルはあなたが好き
ヒルパートさんの足は思ってるより悪いから医師に見せること
正式にお世話すること
両親とかけあって、ギーザの部屋にカギをかけられるよう交渉した
お父さんは「子どもらが30分早く起きてくれれば家族で話ができるのに」と言っていた
■あとがき
リーゼ・ガスト
西ドイツの家庭小説・少女小説の作家として知られる
夫は戦死、8人の子どもを育てながら小説を書いた
『若い母ランディー』
『海辺のポニー』
『ポニーとわたしたち』
『山の家の少女』
など
「犬と子どものしつけは世界一」と言われるドイツの家庭で
当人は深刻に苦しんでいるのに、大人たちには鼻であしらわれる孤独感などが描かれる
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
思春期のもどかしさ、誰にも理解されない孤独な心情や
初恋の燃え上がるような興奮と、相手の言動にどうしようもなく振り回されて
意味もなく泣きたくなる気持ちなどなど、いちいち共感しながら読んだ
日記という形態だから、いろんな気持ちや事象を衝動にまかせて書き殴った感じで
時に支離滅裂だったり、急に大人びた表現を使っていたりして
意味がうまく読み取れない部分も多かった
【内容抜粋メモ】
登場人物
父 母の再婚相手
アクセル 父の亡き前妻の息子
母 ハイディー
ギーザ ハイディーの娘 18歳
ベルベル 学校の隣りの席の子
セバスチアン
ヒルパート 傷痍軍人
シビレおばさん ハイディーの古い友
事の起こりは、ギーザがアクセルのカバンを借りて、プールに行き
カバンを盗まれたことから始まる
その3日前、プールで感じのいい青年に会い
また会えるかと期待したがそんな偶然はなし
ギーザの母は高校教師で、父とは再婚同士
父の息子アクセルと同居していて、19時半の門限とか
古いルールにウンザリしている
アクセルは新品同様のカバンを買って返せと言い
母に相談しようにも、学校や家事で話し合う時間がない
隣りの席のベルベルに話すと、新聞の求人広告でバイトを見つければいいと教えられ
足が不自由な傷痍軍人ヒルパートさんの家の掃除をするバイトを始める
ヒルパートさんは画家で、しばらく通ううちにギーザを描きたいと言われてモデルになる
ベルベルの家に遊びに行くと、母親は子どもと一緒に話したり、遊んだりして
自分の両親、家庭と真逆で羨ましく思う
*
大学生から『限界状況下の若い世代』の講演を聞こうと誘われて行くと
プールで見かけた青年セバスチアンがいて、ハスキーな声に惹かれる(分かるな
それからギーザの生活は一変し、セバスチアン中心となる
ヒルパートさんはギーザの変化にいち早く気づく
アクセルに誘われた少年合唱団でもセバスチアンと会い、電話番号を教えた
*
ギーザ:私、家がイヤでたまらないの
アクセルはバカにしたような古い歌をうたって2人で盛り上がる
セバスチアンから電話がかかり、競馬場で夕食をとるデートに誘われる
ギーザは勉強に身が入らず、歴史の授業でカンニングしたのがバレて落第する
大人なんてなにも分かってない
子どもは黙っていても母親に分かってもらえるはずと無意識に思っていた
母親は察してくれると本に書いてあるが、現実は似ても似つかない
ヒルパート:
大事なのは、力いっぱい打ち込むことだ
人間なにかをやる時は火の玉になって燃え立つことだ(岡本太郎さんみたいだな
セバスチアンの心を勝ちとろう 私の中の熱い炎で
大人になるまで待ちなさい、という決まり文句はもう飽き飽きした
*
アクセルがガーデンパーティーに誘う
客が余興を披露して、教授が審査して賞をもらうから
2人で例の歌をうたおうということになる
アクセルはギーザに白いドレスまで新調してくれた
2人の歌は大喝采を送られ、ギーザはたくさんの男性と踊った
セバスチアンもギーザの新たな一面に驚いて褒めてくれて有頂天になる
*
夏休み
父とハイディーは旅行の予約をしていたが、ハイディーが病気になる
ギーザは祖父母の家に行く予定だったが、母の看病を口実に
セバスチアンと会えるのを楽しみにして
母の病気を喜んだことに罪悪感を感じる
なのに、セバスチアンと会えるのは週に1回か2回
次に会う日も決めずに別れるのも不安をかきたてられる
(分かる! 相手の都合に合わせすぎると消耗するよね
ハイディーは亡き実父の生命保険が下りて、ギーザの教育費としてまとまった金額を渡す
貯金通帳をつくり、ギーザを信用して自分で管理するよう言う
ギーザは部屋にカギをかける引き出しもないのを前から不満に思っているが
「18くらいの時は隠しごとはないほうがいい」という父の意見に押されている
ハイディーはギーザに親友のシビレおばさんの所に行ってはどうかとすすめる
セバスチアンは郷里へ帰るのにお金がないと愚痴り
ギーザはハイディーからもらった10マルクを貸す
セバスチアンに絵のモデルをしたと話すと、観たいと言うのでヒルパートさんの家に一緒に行く
絵の中のギーザはアマゾンのように大胆で、勇気にあふれている
セバスチアンは心の底から感心した様子
ヒルパート:人生はとても素晴らしいんだよ 本当なんだ!
ギーザはヒルパートさんといる時のほうが素の自分でいられて楽しかった
クラスの友だちも、母の前ですら“いい子に見せたい”と思って肩ひじ張って疲れてしまう
初めて踏み込んだ質問をして、一度結婚して、男の子がいると分かる
*
シビレおばさんは美人じゃないが、とても魅力的
バルテルス夫人も気に入る
診察室はいつも満杯で、シビレおばさんの婚約者“たわしさん”もいる
バルテルス夫人:
祈りには2種類しかない
1つは賞賛と感謝、もう1つは力をお願いするお祈り
「主なる神よ 汝が課したもうものに耐える力をお与えください」
シビレおばさん:私の宗教は人のために働くこと
ギーザは結婚して、男の子を持ちたいと思う
シビレおばさん:
自分の器量が悪いのをハンディキャップだと思っていた
でも、人間の価値は別のところにあると分かった
あっという間に滞在の10日間が過ぎる
恋がなくても幸福は存在するのだ 恋をしているとそれが分からない
*
ギーザはみんなが知らない間に体力章をとろうと頑張る
セバスチアンと喫茶店で会い、父とけんかしたと話す
ギーザ:ここを出る?
セバスチアン:そうだ 飛び出そう ましなことをやろう!
*
セバスチアンが2、300ほど金を貸して欲しいと言う
ギーザは迷いつつ、セバスチアンの力になりたいと思い、貯金通帳から下ろして渡す
(だから、相手が友だちでも恋人でもお金の貸し借りはトラブルにしかならんて/汗
全的な人がうらやましい
100%善良、100%不良になれる人が
私はなんでも中途半端だ
(これもよく感じるけど、自分以外になろうとすること自体違うんだよね
ハイディーの引き出しに睡眠薬を見つけて、ポケットにしまう
セバスチアンからなにも連絡がなく、不安な日々が過ぎる
誰にも相談できず、泣き暮らすギーザ
幼児か、生まれる前に戻りたいと考える
手紙を書いて問いただすと、長い返事が返ってきた
セバスチアンは28歳で、4年前に婚約した
婚約者の父のなさけで大学で勉強することになったが、法科は合わない
追い込まれていた時にギーザに会い、勇気、実行力、自由に生きる姿に感銘を受けた
友人がスペインに行こうと誘ってくれて、借りたお金で旅をしている
写真を送るから、新聞社に売って、半々にしよう
婚約は解消するつもりだ
(売れるかどうかも分からん写真をGFに売ってもらうってズルすぎる
ヒルパート氏は君を愛しているが、君には歳をとりすぎている
セバスチアンは一度も自分を愛してくれたことなどないと分かり
婚約者がいるのにキスしたりデートに誘ったのはどうしてだ!?と頭が混乱し
ギーザはヒルパートさんを訪ねる
ベッドを借りて寝て起きると、シビレおばさんが来ている
2人はギーザの日記を読んで事情を知る
シビレおばさん:
あなたは本物の恋をした 全的に
これは素晴らしい体験だ
大事なのは、あなたが彼を愛したということ
とにかく、力いっぱい生きること
相手は自分の都合だけで勝手に縁組を破棄するような男
仕事についてもすぐ辞めてしまうし
自分を「要求ばかりで行動のエネルギーを持たない」と言って
それを不敵と思って得意がってる
どんなに愛情や理解があっても、母親と話し合えるのは娘自身も子どもを持ってから
その自然法則は認めるより仕方ない
あなたのような体験をした人は、自分の子どもに今何が起きているか
いち早く気づくと思う
“明日の母親”は、夫と並んで、子どもたちの後ろに壁のように立ち
人生に飛び立とうとする時、背後を守ってあげられるでしょう
私の貯金からハイディーに返すから
診察室の助手になって、月賦で払って
アクセルはあなたが好き
ヒルパートさんの足は思ってるより悪いから医師に見せること
正式にお世話すること
両親とかけあって、ギーザの部屋にカギをかけられるよう交渉した
お父さんは「子どもらが30分早く起きてくれれば家族で話ができるのに」と言っていた
■あとがき
リーゼ・ガスト
西ドイツの家庭小説・少女小説の作家として知られる
夫は戦死、8人の子どもを育てながら小説を書いた
『若い母ランディー』
『海辺のポニー』
『ポニーとわたしたち』
『山の家の少女』
など
「犬と子どものしつけは世界一」と言われるドイツの家庭で
当人は深刻に苦しんでいるのに、大人たちには鼻であしらわれる孤独感などが描かれる