延べ5日間の韓国旅行だったが、ガイドさんの話などで知る事ができた隣国、韓国の現代事情を少し書くことにする。
【少子化が進んでいる】
ガイドの話によると、最近は「DINKS」の夫婦が多くなっているというのだ。
ご存知の様に「DINKS」とは、「Double INcome No Kids」の頭文字で、共働きをしていて収入は二人分あるが、豊かな経済生活を追求するために子どもを産まない夫婦のことである。
韓国では現在、大学まで出すと子ども一人にかかる教育費は23,000万W(日本円で2,300万円)だという。それにアパートを買おうとすれば1坪600万W(60万円)するので、30坪なら18,000万W(1,800万円)になるのだという。だから合計特殊出生率も1.2人と低くなったと言っていた。
ガイドさん自身も40代らしかったが、子どもを一人育てながら日本語ガイドを続けているのだという。
勿論、晩婚化も進み、平均初婚年齢は男性31才、女性28~29才だという。いずれも日本とよく似た晩婚化、少子化事情だと思った。
旅の終りにソウルに寄った時、学生達が高すぎる授業料に対して抗議するデモの行列に出逢った。年配の女性ガイドは、「このデモは、親たちも賛成しています。」と言っていた。
【国民の三大義務】
納税の義務、教育の義務は日本と同じだが、韓国には2年間の徴兵義務がある。
兵役は20才以上になった男性に義務づけられるが、本人が病気だったり、老親を扶養していたり、オリンピックなどでメダルを取って国威を高めた人は免除されるそうだ。教育を受けている場合は、兵役期間がその分延期されるそうだ。老親を扶養している場合の免除規定は、儒教思想が強い韓国ならではだと思った。
そう言えば大人気のあるタレントが、兵役を逃れていた事が問題になった事がある。タレント生命を考えると、売れている最中に軍隊には行きたくないという気持ちも分かる。(彼は2年間兵隊に行ったが、戻ってきてからも人気は衰えなかったらしい)
韓国に敵対する北朝鮮がある限り、政治的軍事的な緊張が続くので、徴兵の義務は韓国の若者にとって実に悩ましい問題なのだろうと思う。
【男女の社会的な地位】
韓国は古くから儒教思想が国民の生活に強く影響して来たので、男尊女卑の社会風潮は伝統的に日本よりもずっと強かったらしい。
結婚すると日本と違って夫婦はそのまま別姓だが、今までは子どもが産まれると子の姓は父親の姓になっていた。父系制度だったのだ。ところが今回のガイドの説明によると、今年から戸籍制度が変わって、子どもの姓は父の姓か母の姓かを選べるようになったそうである。韓国の民主化運動の影響なのだと思う。
振り返って日本の戸籍制度を見ると、男女が結婚した時、どちらかの姓を選ぶのだが、これは実際には片方の姓を捨てることを意味する。現状では98%の女性が自分の姓を捨てているが、ここに日本の男女の社会的地位の格差が反映しているとも言える。
10年以上も前から何度か、結婚する夫婦が別姓も選択できるようにするという民法の改正案が国会に出されたが、そうなると日本のより良い家族制度の伝統が壊れるというある政党の強い反対によって未だに日の目を見ていない。こうしてもたついている日本に比べて、韓国の法律上の男女平等は速いスピードで進んでいるように感じた。