「冬のソナタ」を見て以来、韓国ドラマに親しんで来たので、今回は日本の隣国・韓国済州島の旅に出た。
行ってみてまず驚いた事は、済州島の風土だった。
韓国本土から90km南に位置する済州島は、日本の福岡県と緯度を同じくするが、250万年前の遙か昔は海の中にあり、70~80万年前に火山噴火によって海中から隆起し、その後110回もの噴火によって今の島が形作られたのだという。
島の中央に位置する1950mの漢(ハル)ラ山の最後の噴火は1002年というが、溶岩流が山から海岸に向かって数十回も流れたため、海岸には奇岩怪石が沢山できた。(写真①龍頭岩)
溶岩流が流れた場所がやがて空洞になって、現在は地下に5つの溶岩洞窟がある。私達はその二つを探索したが、その内の1つ、世界遺産に指定されている萬丈屈(写真②萬丈窟の入出口。数えたら地下まで113段の階段を下りた。)は、30万年前にできた7.4kmもの洞窟で、1948年に発見されたそうである。私達はその内の1kmの深さまで入ったが、その巨大さに驚いた。(写真③は別の溶岩屈の入り口)
① ② ③
また、噴火の度に降り注ぐ石や灰が島中に積もり、硬い石だらけの大地は農地には全く適さないのである。そんな訳で歴史的には朝鮮時代の流刑地の役割を果たして来たのだ。
現在では農家の収入の半分は蜜柑に頼り、他はきゅうりやニンニクなどを栽培しているという。農業や海女は女がやり、男は漁師として海に出るから、済州島の女は働き者だとガイドは説明する。
そんな土地でも麦と粟は採れたそうで、それを主食にしていたという。
1960年代に日本に習って蜜柑の栽培をした所、温暖な気候が適し、かなり良い収穫ができたそうである。初めの頃はその蜜柑が高値で売れ、そのお金で子どもに大学教育を受けさせることができたそうだが、やがて我も我もと多くの人々が蜜柑を栽培し出すと、供給過剰から価格が暴落し、栽培のうま味はなくなったそうで、今は観光のための栽培が中心だという。
2006年、韓国で初めての「特別自治道」に指定されて以来、現在の済州島の人々はその独特な自然遺産を観光に活かす道を進めているのである。丁度時期的にドラマ「春のワルツ」で感嘆させられた菜の花畑もあちこちに見られ、桜もほころび始めていて、満開の真っ赤な椿も私達を歓迎してくれた。